AWS Re:Inventでアマゾンがクラウド化が遅れる産業界向けプロダクト多数発表

Amazon(アマゾン)は開催中の「AWS re:Invent」2020で産業部門のシステムや機器のさらなる効率化を目的としたサービスを多数発表した。クラウドコンピューティングで取り残されている印象があった分野の1つが産業部門だ。この分野ではクラウドにフィットしないレガシーデバイスや閉鎖的な独自システムが含まれていることが多かったためだ。アマゾンはこれを大胆に変えようと図っている。

Amazon Monitronは、機器をモニターし、故障の可能性があるときにエンジニアのチームに信号を送信するサービスだ。工場管理者が機器が故障しそうだと予め知ることができれば、不都合な時間帯に突然故障するのではなく、メンテナンスチームを待機させるといった対策を取り悪影響を最小限に止めることがが可能になる。

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディー・ジャシー)氏は、「経験ある優秀なエンジニアなら音や振動などの微妙な変化によって機械が故障しそうだと知ることができます。しかし機械自身が常時自分自身をモニターして故障しそうだと教えてくれるならエンジニアにとって非常に好都合でしょう」と述べた。

ジャシー氏はキーノートで次のように語っている。

多くの工場では機械にセンサーが備えられていない、あるいはセンサーがあっても最新ではないことが多い。またセンサーから一貫したデータ系列を取得してクラウドに送信するノウハウがない、機械学習モデルを構築する方法がわからないこともあるでしょう。AWSが協力しているメーカーは、これらの点の解決するエンド・ツー・エンドのソリューション構築を我々に強く求めていました。ここで、そうした機器モニターのエンド・ツー・エンドソリューションであるAmazon Monitronを発表できることに興奮しています。

このサービスではまず、正常な機械の状態がどのようなものであるかを把握する機械学習モデルを構築する。その情報をベースに機械をモニターして異常を発見する。さらにシステムが利用しているデータに基づいて当該の機器のメンテナンスに必要な情報をモバイルアプリ経由でエンジニアのチームに送り返す。

最新のセンサーシステムを備える現場で、Monitronが提供するフルパッケージを必要としない場合もAWSは役に立つという。センサーは最新だが、高度な機械学習モデルはないという場合は多い。AWSはこのデータを取り込んで機械学習アルゴリズムを適用し、Monitronのフルパッケージの場合と同じように異常を発見、通知することができる。

「こうした(最新のセンサーを装備している)顧客企業向けにも発表があります。それは、機械の異常検出を行うAmazon Lookout for Equipmentです」とジャシー氏は述べた。

さらに、同社は現場で監視カメラを利用している企業向けにPanorama Applianceを発表した。これは高度な認識能力を持ったコンピュータービジョンを使いたいが、それを実行するためのハード、ソフトを欠いている企業向けだ。「企業が既存のオンプレミスのスマートカメラに機械視覚を付加できる新しいハードウェア、AWS Panorama Appliance(未訳記事)を発表します」とジャシー氏は述べた。

さらに、カメラ・ハードウェアのベンダーがPanoramaに基づいてスマートなカメラを構築するのに役立つPanorama SDKもリリースされた。

こうしたサービスはすべて顧客企業がどのレベルのテクノロジーを利用していても、その段階に適したクラウドおよび機械学習テクノロジーにアクセスできるようデザインされているのが特長だという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS re:InventAWSAmazon機械学習

画像クレジット:Andy Jassy on stage at AWS re:Invent 2020 AWS

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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