中国のテック企業はこぞってグローサリー分野に注力する

中国の大手インターネット企業のほぼ全社がオンライングローサリーに関与している。ちょうど11月29日の週、Alibaba(アリババ)が創業2年のグローサリー共同購入会社Nice Tuan(ナイス・トゥアン)の4つめの資金調達ラウンドとなる1億9600万ドル(約205億円)のC3を共同でリードした。

中国の人々は、グローサリーを含め、ほぼすべてのものをオンラインで購入する。当初、グローサリーのeコマースの利用者は主に、eコマースの便利さに頼りながら育ったデジタルに精通しかつ配達のための料金を払うことを厭わない人たちだった。一方、多くの高齢者は一般に食材が安くで手に入る従来の生鮮市場に足を運ぶのを好む。

いま、中国のテック企業は全世代のグローサリー買い物客を急いで囲い込んでいる。かなりの資金を集めている新しいビジネスモデルとしてはNice Tuanがある。同サービスはいわゆるコミュニティ共同購入だ。

従来型のグローサリーeコマースにおいては、Alibabaのような仲介プラットフォームは通常、個人の買い物客を数多くの小売業者に結びつけ、玄関先まで商品を配達する。中国ではそうした商品は通常1時間以内に配達される。

それとは対照的に、コミュニティ共同購入は近所を管轄するマネージャーに頼っている。マネージャーは往々にしてパートタイムの仕事を探している主婦で、マネージャーが近所で販促をし、人気のWeChatメッセンジャーによるグループチャットで注文をまとめる。そしてマネージャーはサプライヤーに共同購入の注文を入れ、コンビニエンスストアなど地域のピックアップ場所で客に商品を渡す。

受け渡されるのを待つグローサリーバッグが山ほど店舗の隅にある光景は最近では珍しいものではない。このモデルは米国居住の中国人起業家に動機付けを与えた。

eコマースがユビキタスなものになっている中国においてすら、グローサリーショッピングの大半はいまだにオフラインで行われている。それが急速に変化している。調査会社iiMediaによると、グローサリー共同購入が始まったエリアは2020年に前年比100%増で、マーケット規模は720億元(約1兆1400億円)に達すると予想されている。

グローサリー共同購入と客によるピックアップは、玄関先まで配達される利便性が当たり前だった世界からの後退のように聞こえる。しかしグローサリー共同購入モデルにはいくつかのセールスポイントがある。グループチャットでのテキストによる注文は高齢者にとって利用しやすい。eコマースアプリはたくさんのボタン、そしてわかりにくい販売ルールがあり、使いづらさを高齢者は感じている。また、まとめ注文によりセールスマネジャーはサプライヤーからお得に購入できるかもしれない。もし共同購入会社が攻めの姿勢なら、展開するサービスにラストマイル配達をいつでも追加することができる。

中国のテック企業は明らかにオンライングローサリーについて強気で、成功のための投資を確固たるものにしようとポートフォリオを多様化している。Tencent(テンセント)はNice Tuanの主な競合相手であるXingsheng Youxuanの投資家だ(Bloomberg記事)。フードデリバリーサービスのMeituanは自前のグローサリー部門を抱えていて、従来型のデジタルグローサリー店舗、そしてWeChatベースの共同購入モデルを展開している。eコマースの新興企業Pinduoduoもグローサリー共同購入に対応している。Alibabaはすでに、オンラインとオフラインどちらでも展開しているHemaスーパーマーケットを運営している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ネットショッピンググローサリー中国

画像クレジット:A Nice Tuan user picks up her grocery order from a group-buying manager. Photo:Nice Tuan

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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