AWSがBabelfish for Aurora PostgreSQLでMicrosoftのSQL Serverを追撃

米国時間12月1日AWSは新しいデータベース製品を発表した(AWSブログ)。この製品は明らかにMicrosoft(マイクロソフト)のSQL Serverの後を追うものであり、SQL ServerユーザーのAWSクラウドへの移行を、より簡単に、そしてより安価に行えるようにすることを目的としている。新しいサービスの名前はBabelfish for Aurora PostgreSQL(バベルフィッシュ・フォー・オーロラ・ポストグレスキューエル)だ。AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏が、米国時間12月1日の「AWS re:Invent」2020の基調講演で、このサービスを指して伝えたかったのは、おそらく「必要のないSQL Serverのライセンスに、お金を払うのはやめましょう」というメッセージだ。そして、このことにどれだけ真剣に取り組んでいるかを示すために、同社はこのツールのオープンソース化も行っている。

Babelfishが提供するのは、SQL Serverが独自に持つSQのL方言(T-SQL)と通信プロトコルのための翻訳レイヤーである。これを使うことで企業がAWSのAuroraリレーショナルデータベースに自由に切り替えられるようになる(ただし、既存のデータを移行する作業は残される)。SQL方言の翻訳はもちろんSQLコマンド、カーソル、カタログビュー、データ型、トリガー、ストアドプロシージャ、関数の翻訳も提供する。

ここで約束されていることは、企業がデータベースドライバーを交換したり、データベースリクエストを書き換えて検証したりしなくても、この移行が可能になるということだ。

「私たちは、Babelfishを傑出したものだと信じています。なぜならそれは単なる移行サービスの1つではなく、考えられる限り便利なサービスだからです。Babelfish使うことで、マイクロソフトのSQL Server用に書かれたアプリケーションからの、データベースリクエスト(コマンドとプロトコルの両方)を、ライブラリ、データベーススキーマ、SQLステートメントの変更を行うことなく、PostgreSQLが理解できるようにすることができます」と、AWSのMatt Asay(マット・アセイ)氏は発表の中に書いている。「これは、開発者の労力を最小限に抑えながら、はるかに迅速な『移行』を実現できることを意味します。またそれは『正しさ』を中心に考えられています。つまりSQL Serverの機能を使用するように設計されたアプリケーションが、PostgreSQL上でもSQL Server上と同じように動作するということを意味します」。

PostgreSQLは、AWSが正しく指摘しているように現在の市場で最も人気のあるオープンソースのデータベースの1つだ。多くの企業が自社のリレーショナルデータベースをPostgreSQL上に移行したい、少なくとも既存のデータベースと組み合わせて使いたい、と考えている。今回の新サービスで、その作業はかなり楽になるだろう。

オープンソースのBabelfishプロジェクトは2021年に立ち上げられ、Apache 2.0ライセンスでGitHub上で公開される予定だ。

AWSのCEOのアンディ・ジャシー氏は「リレーショナルデータベースの圧倒的多数がオンプレミスであることは、いまでも事実です。顧客の皆さまは、これまでのやり方にうんざりなさっているのです」という。re:Inventでのお約束に従って、ジャシー氏は基調講演の中ではOracleに対する多少の当てつけをしたものの、AWSが本日データベース領域でローンチした製品の真の攻撃対象は、明らかにマイクロソフトである。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AWS re:InventAWSAmazon機械学習

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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