Carbon HealthとColorの創業者はコロナ禍に米国医療を最先端にする力を見出す

新型コロナウイルスによるパンデミックは、米国における医療の2つの相反する現実を露呈させた。1つは、高額で複雑な治療を得意とする医療システムと、地域レベルでの十分なアクセスを提供できない医療システムだ。

公衆衛生インフラへのアクセスの欠如は、米国にとって最大の課題かもしれない。しかしながらこの現実は、ヘルスケアスタートアップにとってのチャンスも生み出している、とCarbon HealthとColorの創業者たちは、米国時間9月14日から始まったTechCrunch Disrupt 2020で語った。

Colorの創業者でCEOのOthman Laraki(オスマン・ララキ)氏はDisruptのTech, test and treat: Healthcare startups in the COVID-19 era(テクノロジーと検査と処置:COVID-19の時代のヘルスケアスタートアップ)で「ヘルスケアを誰にでも利用しやすくすることを考えると、費用に注目しがちであり、それは間違いなく大きな問題だ。しかしヘルスケアを利用しやすくするためには、ヘルスケアをそれが生活の一部となっている人たちへ実際に届けることです。恵まれない人びとのコミュニティなどでは、費用よりもアクセス性の方が大きな問題であるケースが多くあります」。

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プライマリケアのスタートアップであるCarbon HealthとColorは、すでにこの問題に取り組んでいる。Carbon Healthの場合は、質の高いプライマリケアを地域レベルで実現する同社のビジネスモデルが、それにより新型コロナイルス流行に対して早い段階での洞察を与えた。

Carbon Healthには現在、25のプライマリケアの拠点が25あり、共同創業者でCEOのEren Bali(
エレン・バリ)氏は早ければ2020年2月に、中国の武漢からCOVID-19に似た症例の患者が直接クリニックに訪れるようになったという。

Carbon Healthの技術プラットフォームは、患者が訪れる前に問診し、それにより重要なデータを収集して、事前に患者の症状や問題を評価する。このような早期の洞察により、Carbon Healthに2つの選択肢が残されていた。閉鎖して新型コロナの嵐が過ぎ去るのを待つか、その嵐に飛び込むかという選択肢だ。バリ氏によると、Carbon Healthは後者を選んだ。

ララキ氏とバリ氏のTechCrunch Disruptにおける9月14日のコメントは、両社のビジネスモデルと成長の過程をよく表現している。新型コロナウイルスはただ、そのスピードを速めただけだ。

今週初めにCarbon Healthは、ポップアップ方式のクリニックを新たに立ち上げた。クリニックは現在、ブルックリンとマンハッタン、ロサンゼルス、サンフランシスコそしてシアトルにある。今後数週間でデトロイトなどにも開設され、最終的には1カ月に10万人の患者に対応できる100カ所の新型コロナウイルス検査施設を新たに立ち上げる。サンフランシスコのクリニックでは、ColorがCarbon Healthと提携している。

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一方、パンデミックが全米を吹き荒れる中でColorは、新型コロナウイルス検査をめぐる物流やとサプライチェーンの制約を緩和するためのプラットフォームを構築した。ベイエリアで大規模な自動化された検査ラボを運営する同社は、同地区での検査の75%を処理している。

今日でも、このようなハイパーローカルレベルの医療には限界がある。例えば手術が必要な人は病院へ行かなければならないが、そこまで数時間かかることもある。

「手術まで『エッジ』で行えるようになるのは、そう簡単なことではありません。しかし現在起きていること、そして今後10年間で起きるであろうことは、真の意味でのエッジ分散型の医療を実現につながるものなのではないでしょうか」とララキ氏は手術を例に説明する。

このアイデアは、テクノロジーによってヘルスケアが費用対効果の高いモデルでコミュニティに取り込まれることが可能になり、よりアクセスしやすくなるというものだ。「現在の米国ではまだ存在していないが、実際にアイデアは実現され初めていると考えています。根本的にはテクノロジーの問題だと思います」とララキ氏は付け加えた。

カテゴリー:ヘルステック

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画像クレジット: Carbon Health

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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