Doorportはマンションのインターホンシステムをさらにスマートにする

都会に住んでいて、マンションのインターホンシステムに嫌気がさしているという人も多いのではないだろうか。その電子的な門番は、画面も小さく、ボタンは押しづらく、訪ねてきそうな友達の名前のリストは長過ぎる。

Doorportは、このような従来のシステムを、少しでも賢いものにしたいと考えている。それを実現するために、彼らは既存のインターホンシステムを利用して、そこに機能を追加できるデバイスを開発した。それにより、スマホを使ってマンションのドアを解錠することが可能となる。自分が帰宅したときも、来客を入れるときも、画面をタップするだけでいい。このデバイスを取り付けても、従来のインターホンの機能はそのまま動作する。ただし、以前よりちょっと賢くなるのだ。

この会社が作成したプロトタイプのハードウェアは、現状でちょうど一揃いのトランプほどの大きさに収まっている。すでに設置されているインターホンシステムの中の空きスペースに潜り込ませることができるように考えられたものだ。創業者によれば、取り付けには、ほんの5〜10分ほどしかかからない。磁石でインターホンの筐体の内側に固定し、2本の電線で電源を取り、あと2本の配線を解錠をコントロールする部分に接続するだけ。

Doorportのアプリを開くと、近くのアクセス可能なドアをBluetoothで探索する。画面に表示された鍵のマークをタップすれば、ドアを解錠できる。ICタグをスキャンしたり、暗証番号を打ち込む必要はない。友人にも、Doorportのアプリをインストールしておいてもらう。そうすれば、友達はアプリであなたを呼び出し、話をすることもできる。居住者がその建物から引っ越した場合には、管理人は、管理者用のパネルを使って、その人のプロファイルを削除するだけでいい。以後、退去者はアクセスできなくなる。

Doorportでは、当初、既存のインターホンの装置を丸ごと置き換えるフル装備のハードウェアを開発するつもりだった。ビデオ通話や、暫定的な1日限りのアクセスコード発行機能などを備えたものだ。しかし、市場調査によって、家主はそのような総入れ替えが必要なものには興味を示さないことがわかった。まったく新しいシステムを導入すると、古いハードウェアを撤去し、従業員を再訓練したり、すべての住民に新しいICタグを配ったりすることが必要となる。そこで、そうする代わりに、既存のシステムの上に付加できるタイプのものにシフトすることにしたのだ。

この会社は、まだまだ初期段階で、従業員は3人だけ。3Dプリンターを利用して筐体を作成し、何度もプロトタイプを作り直している。ほんの数ヶ月前、同社が初めてY CombinatorのWinter 2019クラスに入ったとき、共同創立者のReggie Jean-Brice氏は、「ハードウェアは文字通りブレッドボード上で動いています」と私に明かした。それに対して、私が最近目にしたデバイスは、側面に「Mark II」という刻印のある、きれいな小さな箱に収められていた。

新しい会社にはよくあることだが、Doorportはまだ彼らの製品の原価ががいくらになるのか、正確に把握しきれておらず、いろいろな値付けのモデルを検討している最中だ。その1つのモデルは、最初に取り付ける際に、家主に約350ドルを負担してもらう。その後は、マンションの1世帯あたり毎月1.5ドルを支払ってもらうというもの。別のモデルでは、1世帯あたり年間約30ドルのコストを、居住者に負担してもらう。家主は、より便利な付帯設備として、それをウリにすることができる。共同創立者のBen Taylor氏によれば、同社は現在プロトタイプのデバイスを、サンフランシスコ、オークランド、さらにニューヨークでテスト中とのことだ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。