今やモバイルの中心はメッセージ・サービスだ。そこでFacebookはメッセージでもできるだけ多くの広告を表示したい。Facebook Messengerにディスプレイ広告を表示する試みはオーストラリアとタイで「有望な結果をもたらした」という。
FacebookではMessgerにおけるディスプレイ広告のベータ・テストを世界に拡大する。広告主はMessengerにスペースを買うことができるようになる。今月末から、一部のユーザーはMessengerアプリのホーム画面に広告が表示されるのを見るだろう。
TechCrunchの取材に対し、FacebookはMessenger広告の表示は「ユーザーが用いるモバイルデバイスのディスプレイのサイズ、精細度、また開くスレッドの数などによって変化する」と述べた。
来月までかけてFacebookは徐々にMessenger広告を世界に拡張する計画だ。広告はAds ManagerまたはPower Editorから購入できる。これらのサービスでMessengerはFacebook本体、Instagram、Audience Network参加サイトと並んでモバイル広告を自動的に配信するメインの媒体の一つとなる。広告はユーザーが書いたメッセージ内容とは連動せず、通常のFacebook広告と同様のターゲティングを受ける。また視認性を確保するため広告はディスプレイのピクセルの50%以上を占める必要がある。
FacebookはMessengerでディスプレイ広告のテストを始めたのはこの1月からだが、表示デザインはその後変化している。当初は水平に移動させるカルーセル・デザインだったが、その後、単純な1枚のページに変わった。これは最近Messengerのデザインが改良され、ユーザーがスワイプできるようになったことに対応している。つまりうっかり広告もスワイプしてしまうことを防ごうしたもののようだ。【略】
昨年の4月、Facebookは企業によるスポンサード・メッセージの送信を可能にすべての企業がMessengerでの広告を利用できるようになった。 Facebook本体のニュースフィード広告をクリックしたユーザーがMessangerで企業と会話を続けることができる仕組みは2015年から導入されている。
Messengerのディスプレイ広告は通常のウェブページで、アプリの内部ブラウザでレンダリングされる。またクリックしてメッセージへという広告(Click To Message)と同様、ユーザーがディスプレイ広告をクリックすると企業はメッセージでユーザーと会話し、さらにプロモーションを続けることができる。こうしてユーザーが企業と会話することを選ぶと、企業は将来ユーザーにスポンサーード・メッセージを送信することが可能になる。
Facebook広告の専門家でBlitzMetricsのCTO、Dennis Yuによれば、「Facebookの場合はこうした新機能の導入を徐々に行うのが普通だが、購入と支払いを統合できるのがMessengerプラットフォームが特に優れた点だ。またMessengerにFacebookのAIアシスタント、Mが導入された。FacebookとAmazonはフリクションのないコマースを実現するという点で競争関係にある。FacebookはMsessengerの利点をできるだけ活かそうとするだろう」と述べた。
YuによればMessengerにはP2Pの送金に利用されているアプリ内支払機能があるため、FacebookではMessengerでユーザーが直接プロダクトを購入できるようにしていくだろうという。M AIアシスタントはユーザーのメッセージを分析して何かを購入しそうとだと判断するば関連するプロダクトを推薦できる。
一部のユーザーにとって、Messenger広告は私的に会話に割り込んできて狭いスペースを占領する邪魔者だ。Messenger広告を 完全にオフにする方法はない。しかし画面下部の下向矢印をタップすれば非表示やスパムを報告するなどのオプションが現れる。
いずれにせよディスプレイ広告は、スポンサード・メッセージのように広告であるにもかかわらず通常のメッセージと紛らわしいというようなことはない。ディスプレイ広告は、表示される頻度によるが、受信トレイに入り込む頻度があまり多くないのであれば、FacebookはMessengerのユーザー体験をあまり悪化させることなく収益化することが可能になるかもしれない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)