Facebook、Messenger最新版で広告メッセージの利用を一般企業に公開

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本体であるソーシャル・ネットワークのFacebookとは独立にリアルタイムのコミュニケーション・チャンネルとしてMessengerが着実にユーザーを増やしている。今日(米国時間11/8)、FacebookはMessengerの新バージョンを発表した。これによりデベロッパーにとってMessengerを利用してコンテンツを拡散するためのツールが増えた。同時にFacebookとしてはMessengerに対して広告主からのトラフィックが増えることを期待しているようだ。

Facebookによれば、今日のアップデートで発表されたMessenger v1.3では、「スポンサー・メッセージ」が利用可能になるという。ほとんどすべてのFacebook広告主はMessengerプラットフォームを通じてユーザーに広告メッセージを送信できるようになる。TechCrunchでは6ヶ月前の記事でFacebookが一部のブランドとユーザーを対象にMessenger広告のテストを始めたことを紹介した。

今回のニュースは、ポルトガルのリスボンで開催中のWeb SummitカンファレンスでMessengerのプロダクト担当副社長, David Marcusがステージ上で発表したものだ。これは興味あるタイミングだった。直前にFacebook本体と傘下のサービスであるWhatsApp間でデータを共有する計画を当面停止することが発表されたばかりだった。Facookがこのような決定を行ったのはイギリスとデータ保護団体、ICOからの要請があったためだという。

WhatsAppとFacebook間のデータ共有についてはEUレベルでも批判がある。また多くのユーザーも不満を募らせている。というのもFacebookがWhatsAppを190億ドルで買収したときに、双方のサービスのユーザーを安心させるべく、両社はまったく独立した事業体として運営されると繰り返し約束していたからだ。

しかしこれは話が脱線したようだ。今年4月にFacebookの広告メッセージの実験について書いたとき、われわれはMessengerのユーザーは(通例)特定の友達からのメッセージのみ受信することを予期しているのに、未承諾で広告メッセージが送りつけられるようなことがあればユーザー体験を低下させる危険性があると指摘した。

Facebookではこの危険を避けるためユーザーにある程度の「オプション」を与えるようだ。当面、企業はユーザーに無差別にメッセージを送ることはできない。すでに企業の運営するスレッド内にいる相手にしか送信できない。ユーザーが過去に企業スレッド内に入ったことがあり、そのことを忘れているのに企業側から突然広告メッセージが送りつけられるというような場合も考えられる。こういうときユーザーはそのメッセージないし送り主をブロックすることができる。私はこのブロックの有効期間などの詳細をFacebookに問い合わせているので、情報が得られたらこの記事をアップデートするつもりだ。

さて企業はそもそもこの新ツールをどのように利用できるのだろうか? これにはいくつかの方法がある。企業が提供するボットをユーザーが利用した場合、ユーザーがすでに何らかのサブスクリプション契約に加入していた場合のアップデート、あるいはユーザーがニュースフィード広告になんらかの反応を示した場合などが考えられる。これにはユーザーがクリックすると企業にメッセージが送られる各種の場合が含まれる。こうした機能は広告のボス、Andrew “Boz” Bosworthが昨年9月のTechCrunch Disruptで紹介したものだ。今日、Marcusはこの仕組が一般広告主からも利用できるようになったことを明かした。Facebookによれば、ベータテスターにはAbsolut
Vodka、Tommy Hilfiger、Activisionなどの各社が含まれるという。

ニュースフィード広告をクリックないしタップしたときにMessengerにリンクさせることができるというのは興味ある仕組みだ。ユーザーがニュースフィード広告に関心を持ったとき、ユーザーはFacebookを離れて企業サイトにジャンプするのではなく、Facebook内に留まったままMessengerで企業との会話を続けることができるわけだ。このとき企業側で対応するのは人工知能を利用した何らかのボットになる場合が多いだろう。

今日、Facebookはこの他に、v1.3プラットフォームのボット関係のいくつかのアップデートを発表した【原文参照】。

取材中…

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

投稿者:

TechCrunch Japan

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