2016年は間違いなくオンデマンドの年だ。ライドシェアではUberやLyftが未来の交通手段としての地位を固め、他にもPostmatesの様なオンデマンドのサービスが、ものを「オンデマンド」で注文する、という需要が確かに存在するということを明確に示した、そんな年だ。
しかし問題がある。オンデマンドアプリを使うにはスマホが必要だが、アメリカにはまだスマホを持っていない人が7500万人もいる、つまりこれらの人々はこの生活の仕方を一変させてしまうようなサービスを受ける資格すら与えられていないのだ。
これらの人々は経済力も居住地も様々だが、1つだけ共通点があるようだ。それは、年齢の高い人ほどスマホは愚か、携帯すら持っていない可能性が高くなるということだ。
そこで登場するのがGoGoGrandparentだ。この会社は、Y Combinatorの2016年夏のクラス出身だが、そのミッションとはスマホを持っていない人々でも、Uberの様なオンデマンドサービスを使用できる方法を開発することだ。
会社設立当初は、JustinとDavidは文字通りホットラインを設置し、電話を受け付け自分たちのスマホでUberの配車を手配していたが、この方法では今後規模を拡大できないことは明白だった。そこで彼らはTwilioを使って、自動電話サービスを構築した。
まず、オペレーターと話をしてクレジットカードと住所を渡す。そして、もう一度電話した際に全自動のサービスに入り、1を押すと家にお迎えが来る。同社はUberに配車を依頼し、顧客は運転手にどこに行きたいか伝えれば良い。もし、家以外の場所でピックアップして貰いたければ、同社のホットラインに電話して人間のオペレーターと話が出来るようにリクエストすれば良い。システムは前に顧客を降ろした場所を覚えているので、そこをピックアップポイントとしてリクエスト出来る。
GoGoGrandparentは1回の乗車につき13%のコミッションを徴収し、バックエンドのコストをカバーする為の1.80ドルが別途必要だ。同社によると1回の乗車にかかる手数料の合計は平均で大体2.50ドルほどだ。確かに、自分でUberを呼ぶよりは高くつくが、それで移動性を確保できるのであればお安いものだとも言える。
しかしながら、Uberがその気になればこの様なシステムを自分で組み込んでGoGoGrandparentを廃業に追い込むことなど一夜にして出来そうなものだが、なぜそうしないのだろうか。Booogaardの説明によれば、実際彼等はライドシェア専門の会社とこの件について話し合ったそうだが、そこで耳にしたのはこの様な「古い」タイプの人々はUberの顧客中たった3%を占めるに過ぎないということだ。つまりは、Uberは「収穫しやすい果実」に注力し、GoGoGrandparentがUberの為に重労働をしてくれるなら、それは結構なことだと考えているのだ。その間Uberはスマホ世代のさらなる顧客の開拓に精を出すという訳だ。
それでは、同社は将来をどの様に考えているのだろうか。創業者の考えによれば、最終的には同社は非営利団体や市政と組んで、このサービスを設備的に恵まれない人々、つまり必ずしも年寄りではないがスマホを買う余裕のない人々、に提供して行きたいと考えている。また、同社はこのサービスが現在ほとんどの大都市で目にする、いわゆる補助的交通手段(訳注、高齢者や障害者のための予約制交通システム)の代替になるのではないかと考えている。そのような補助的な交通手段は高くつき効率的とは言えないからだ。
最後に、同社は最終的には顧客に他のサービスも提供したいと考えている。それは他のオンデマンドアプリへのアクセス、例えばPostmatesやInstacartかもしれないし家の雑事をこなすHandy、または介護サービスかもしれない。こう言ったサービスを追加することでGoGoGrandparentは収入面で多様化し多くのビジネスチャンスにも恵まれるし、多額の紹介料を手にする可能性もある。
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(翻訳:Tsubouchi)