Instacartが普段の食料品の買い物の仕方を変える


普段の食料品の買い物を支援するアプリのInstacartは、商品の選択、包装と配送をオンデマンドで簡便化する独自の方法を考え出した。

TechCrunchでは同社において人とテクノロジーが実際にどのように機能するのか、サンフランシスのコストコに実際に出向いて取材を行った。明らかになったことは、このサンフランシス発のスタートアップは食料品店の売り方を永遠に変えてしまったということだ。

同社の最高執行責任者であるRavi Guptaによれば、Instacartの核となるイノベーションはそれほどハイテクという訳ではない。肝となるのは、同社が食料品店で量の多いオーダーをさばく為の専用のレーンを確保して、そこに会計、袋詰め、タグ付けを行う専属スタッフを配置することだ。

Instacartで買い物を実際にする人は、顧客がオンラインで注文したもの全てをピックアップし、料金を支払い配送用に袋に詰める。Instacart専用の特別レーンがコストコ、Whole Foodsやサンフランシスコ地元のMollie Stone’s、Andronico’sやBi-Riteなどの食料品店で用意されており、買い物はあっという間に終わる。

最終的には、Instacartはまず同社で働いているショッパーに対して、レジでの支払いをスキップできるようにしようとしており、ゆくゆくはその機能を同アプリを使っている人全員が使えるようにするつもりだ。これが実現すれば、買い物客はレジでの支払いをスキップでき、代わりに品物をスマホでスキャンして支払いを済ませることが出来るようになる、とGuptaは言った。

今の時点では、Instacart専属ショッパーにとっては、同社専用レーンだけでも十分にショッピングのスピードアップが図られているようだ。

Screen Shot 2016-08-30 at 4.43.39 PM
ハイテクに関して言えば、Instacartは主要な食料品店チェーンから品目のリストと店内レイアウトのデータを取得して、協力して店内の売り場マップを作成することも行っている。店内マップがあれば、買い物客は買い物リストに並ぶ品々を簡単に見つける事が出来る。目眩がするほどたくさんのパッケージやラベルの並ぶ売り場の棚から、探し回ることなく欲しいものを素早く見つけることができ、以前一度も買ったことがないものでも容易に探し出せる。

この店内マップのサービスについては、協力関係にあるすべての店舗で展開している訳ではないが、現在そのサービスを拡張中だと、Guptaは言った。

Instacartのシフト・リードであるGloria Shuによれば、店内マップのサービスは現在のところサンフランシスコのコストコでは行われていない。しかし、それはInstacartのアプリ中にある数多くの重要な機能の内の一つである、そういった機能の多くは現在同社のショッパーとドライバーに使われているが、顧客には見えないようになっている。

バックエンドにおいては、Instacartアプリは同社のショッパーが効率よく買い物が出来るよう手助けをする、と彼女は付け加えた。つまり、ショッパーの買ったアイスクリームが溶けてしまわないように、また調理済みの暖かい食料が冷めてしまわないように、Instacartはショッパーに最も効率が良い買い物ルートを教えて、そういった冷凍物や温かい食料は最後にピックアップするよう指示を出す。

Screen Shot 2016-08-31 at 5.51.43 PM

Instacartが大量のオーダーを処理する店舗においては、温かい食品や冷たい食品は袋詰めされた後、運転手がピックアップに来るまでの間、温度コントロールがされた場所で一時保管される。

次回にWhole Foodsやコストコ、もしくは他の主要食料品店で買い物をする時は、Instacart専用のチェックアウトレーンや買い物の一時保管場所、Instacart専属ショッパーがスマホ片手に店内を動き回っている様子に目を向けてみよう。同社特有の緑のTシャツが目印だ。

Instacartは今の所競争をリードしているようだが、競合他社も間違いなく同様の特別レーンを店内に確保しようと躍起になるだろうし、独自のテクノロジーを開発して優位に立とうとするだろう。

同じベンチャー・スタートアップであるPostmatesからGoogleのShopping Expressサービス、さらには地元の物流サービス会社に至るまでの全てがInstacartと競合する可能性があるのだ。

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。