手書き文字入力機能を搭載するアプリ「7notes」や「Note Anytime」を開発するMetaMoJiが9日、最大100人規模のユーザーがリアルタイムに手書きの文字や図形を同じ文書に書き込めるアプリ「Share Anytime」を公開した。
Share Anytimeで共有できるドキュメントはPDFやWord、Excel、PowerPointのほか、2012年9月に公開した手書きノートアプリ「Note Anytime」の文書形式にも対応。1画面だけでなく、複数枚からなるドキュメントも共有できる。
利用方法としてはまず、会議の開催者が共有するドキュメントをShare Anytimeで読み込み、会議情報を設定した「シェアノート」を作成する。これをメールやクラウドストレージなどで会議の参加者に配布し、参加者は端末にインストールしたアプリで開く。
「司会者」の権限を与えられたユーザーは会議の進行にあわせてシェアノートの表示を進めると、参加者の端末にも反映される。ユーザーがシェアノートに手書きの文字や図形を書き込むと、リアルタイムに全ユーザーのシェアノートに反映される仕組み。
シェアノートへの書き込みは、会議の参加者全員と共有する「シェアモード」と、自分だけのメモとして保存する「プライベートモード」を選べる。プライベートモードで下書きしたメモを後から共有することも可能だ。
リアルタイムにドキュメントを共有するにあたっては、シェアノートへの書き込みだけを差分データとしてサーバーに送信する技術を開発。これにより、「リアルタイムな応答性を実現した」とMetaMoJiの浮川和宣社長は説明する。
主な利用シーンとしては、グループミーティングやセミナー、学校の授業などを想定。例えば、会議で参加者全員にシェアノートを配布すれば、ペーパーレスで会議を進められ、参加者はどこからでも文字や図形を自由に書き込める。
実際にMetaMoJiでは、開発拠点のある徳島県と、本社の東京間での会議に活用。それまではSkypeのビデオチャットで手書きの文字や図形を書き込んだ文書をカメラに映していたというが、Share Anytimeを導入したことで会議の効率が劇的に上がったという。
「会議の『ここが大事』というポイントは、言葉だけでは伝えきれないこともある。Share Anytimeではそんなポイントを言葉や矢印、イラストで記入すれば、もっと意図が伝わるだろう。」(浮川社長)
9日に開催された記者説明会では、出席者約40人でプレゼン資料に同時に書き込むデモを実施。その際は、各人があまりに自由に書き込んだせいか、本来のプレゼン資料が書き込みで隠れてしまう想定外の展開となったが、実際の会議では有用な使い方ができそうだ。
製品構成は、1カ月に無制限回の会議が開催できる「Share Anytime」が700円(発売記念セール期間は170円)のほか、1カ月に10回までの会議、同時利用ユーザーが10人までの制限がある無料版の「Share Anytime Free」を用意。どちらもデータ転送料は1カ月あたり1GBまで。
データ転送料の目安としては、「20〜30人が参加する1時間の会議で1回20MB程度。1GBであれば、1カ月に20〜30回は会議ができる」(浮川社長)。1GB以上のデータを転送する場合は、100MBの容量(当日のみ有効)を85円で購入できる。
現時点ではiPad版のみだが、年内にはiPhone版、Windows版、Android版を順次公開する予定。来春には、ユーザー管理やセキュリティ機能を強化した「Share Anytime法人パック(仮称)」も販売する予定だ。
MetaMoJiでは、Share Anytimeの公開にあわせて、同アプリに搭載される日本語手書き変換エンジン「mazec」をバージョンアップ。最新版の「mazec 3」では、くせ字認識や略字登録を搭載し、認識されない文字を登録することで、認識率が向上するという。