MITの魚ロボット、フィジーで本物を調査

MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)は同所で開発したロボットフィッシュ、Sofiの動画を公開した。フィジーの珊瑚礁を泳ぐ姿はくつろいでいるようだ。プロジェクトの目的は本物の魚にできるだけ似せた自動水中乗り物を作ることだ。海洋生物の邪魔をすることなく研究できることを願っている。

システムは柔らかいロボット筋肉を中心に作られていて、本物の魚の尾と同じように動作する。「シリコンエラストマーを使って体表面に等しく圧が分散するように空洞を置いた」と同研究の筆頭著者であるRobert KatzschmannがTechCrunchに話した。「バルーンチャンバーを2つ作り両者の間に水を行き来させる。圧の変化によって尾が波のようにうねる」

原理は既存のソフト・ロボティクスが利用しているものと似ている。多くのシステムが空気圧の移動を利用して関節を動かしている。この方式は魚が一定の動作を続けることが可能で、水中を進む際に発生する音が少ないのが特徴だ。

しかし研究チームは、音を別の目的で使用している。防水されたSuper Nintendoを持ったダイバーが専用の音響システムを使ってSofiを遠隔操作する。

「水中では電波信号が非常に早く吸収されるため、Wi-FiやBlootoothが1メートル以内でしか使えないことが課題だった」と大学院生のJoseph DelPretoが言う。「音は水中を速く進むので電波の代わりに使った。リモコンが発信する高い音は人間には聞こえないがロボットは解読できる。これを使ってロボットに高いレベルのコマンドを送ることができる」

今のところシステムから得られるのはすてきな動画だけだが、Sofiの内蔵カメラと魚眼レンズを活用すれば、海洋生物学者はこれまでに類をみない形で研究対象を調べることができるとチームは期待している。

「この魚ロボットは鯨の生態を理解するうえで非常に大きな役割を果たす可能性をもっている」とCSAILのDaniel Rus所長が話し、鯨の出産をビデオで捕らえるのは非常に難しいことを付け加えた。「われわれ作った魚を静かな観察者として使い、これまで見たことのない画像や映像を撮影するところを想像してほしい。私たちは海洋生物についてずっと多くのことを学べるようになるだろう」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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