Odys Aviation(旧Craft Aerospace)が「吹き出し翼」を採用するユニークなVTOL旅客機で14.3億円調達

地方の空の旅を一風変わった垂直離着陸航空機で改革しようとしているスタートアップが、社名を変えて1240万ドル(約14億3000万円)の資金を調達した。Craft Aerospaceは今後「Odys Aviation」という名称となり、資金は主に2022年に予定している1人乗りプロトタイプ機のデモ飛行に投じられる。

VTOL機に「吹き出し翼」を採用したその興味深い方式は、この記事に詳しい説明がある。簡単にいうと翼を曲げることで、ローターの推力を下方や後方に細かく調節することができる。過去に試されたことのある方法だが、これほど大規模ではなかった。Odysは、ボックスウィングとハイフラップの組み合わせは、可能であるだけでなく、地方で回数の多い離着陸を繰り返す短距離の航程に他に類似技術のない姿で適していると考えている。

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その機体は理論的に乗客9人と操縦士2人を高度9000m、時速555km、最大航続距離1600kmで運ぶ。そのフライトはLA-SF間や東京-大阪間、NY-DC間といった頻繁な行き来に適しているが、もちろん離着陸の場所が必要だ。現在、同社はMojave AirとSpace Portと協働しているが、他からの引き合いもある。

共同創業者でCEOのJames Dorris(ジェームズ・ドリス)氏は「小さな空港との統合は実用性が高い。これまですでに2つのVTOL空港の開発企業と協力して、私たちの機体が離着陸できるように努めており、また米国最大の空港の1つとも話をしています」という。

規制とインフラ次第では、同社の機体は、大規模な空港よりも近くて混雑のない地方空港を利用したり、あるいは都心に近い専用施設を利用するだろう。これもまだ仮説にすぎないが、新しい形の航空事業を志向しているスタートアップはすべて、その構想にVTOLの実用化を織り込み済みのようだ。

現状、Odysはまだサブスケールのプロトタイプをテストしている段階だ。しかし、私が見た動画を同社はまだ公開していない。しかし、テスト飛行は今後の予定に入っている。ドリス氏は「次のサブスケールのプロトタイプも1人用だが、年内にフライトさせる予定だ。本格的なプロトタイプのテスト飛行は2023年の後半になるだろう」という。

もちろん今回の1240万ドルは、これらの実現を後押しするだろう。ただしシードラウンドの性格として、2021年の350万ドル(約4億円)は130万ドル(約1億5000万円)のプレシードと、現在のラウンドの一部へと分割された。という細かなな話はともかくとして、今回の投資家はGiant Ventures、Soma Capital、Countdown Capital、Nikhil Goel(ニヒル・ゴール)氏、そしてKyle Vogt(
カイル・フォークト)氏だ。

画像クレジット:Odys Aviation

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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