Pandoraが対話できる音声認識広告のテストを開始

音楽ストリーミングサービスを運営するPandora(パンドラ)は、リスナーの声に反応する新型広告のテストを開始した。この新しい広告では、質問の後に音が鳴り、リスナーは「イエス」と答えるよう促される。その後、広告は質問に即した製品やブランドの詳細を説明する。

この広告のテストに参加する最初の広告主には、Doritos(ドリトス)、Ashley HomeStores(アシュレイ・ホームストア)、Unilever(ユニリーバ)、Wendy’s(ウェンディーズ)、Turner Broadcasting(ターナー・ブロードキャスティング)、Comcast(コムキャスト)、Nestlé(ネスレ)などが名を連ねている。

広告はまず、どこの広告か、そしてそのように働くかを説明する。そして、簡単な短いメッセージの後に質問が伝えられ、リスナーの返答を待つ。

例えばウェンディーズの広告では、お腹が空いているかどうかをリスナーに尋ねる。「イエス」と答えると、何を食べたらよいか、お勧めのメニューを広告が教えてくれる。DiGiorno(ディジョーノ)のピザの広告では、ピザにまつわるジョークのオチを聞きたければ「イエス」と言ってほしいとリスナーにねだる。Ashley HomeStoresの広告は、良質な睡眠をとるコツを伝授する。などなどだ。

この新形式の広告は、Pandoraの音声技術を応用している。これは今年の初めにローンチされた同社のスマート音声アシスタントアプリであるVoice Mode(ボイス・モード)を支えている技術でもある。Voice Modeは、Pandoraのユーザーが手を使わずに声で音楽の操作ができるようにするためのものだが、この音声認識広告は、画面をタップしたり詳しい情報のリンクを開いたりすることなく、手を使わずにリスナーが広告に応対できることを目的にしている。

Pandoraでは、この種の広告は、リスナーの注意を強制的に惹引きつけることで説得力を高められると確信している。企業の広告主からすると、音声認識広告は、どれだけの人に広告がリーチできたかを直接計れる手段となる。従来の、クリックに対応しない言葉が流れるだけの広告では不可能だったことだ。

Pandoraは、このインタラクティブな音声認識広告のテストを、まずはサンフランシスコのアドテック企業であるInstreamatic(インストリーマティック)と行うと今年の4月に発表していた。そのとき、新形式広告のベータテストを第四四半期に行うと話していたが、そのとおりに実施されたわけだ。

この広告は、SiriやAlexaやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントに話しかけることを一般の消費者が普通に感じられるようになった今の時期に登場した。Fire TVやAppleTVに話しかけて見たい番組を探したり、PandoraやSpotifyに好きな曲を流すよう声で依頼するといった、音声の命令に対応するサービスへの期待も高まっている。

しかし、インタラクティブな音声認識広告を消費者が喜ぶかどうかは、まだまだ未知数だ。Amazonですら、本来の使い心地が阻害されたと感じたユーザーが離反してしまうことを恐れて、Alexaプラットフォームでの音声認識広告制限している。Spotifyも今年、音声認識広告を行ったが限的的だ。

Pandoraの場合、ユーザーは質問に応じる必要がない。ユーザーが数秒間黙っていたり「ノー」と返事したときは、そのまま音楽の再生に戻るとのこと。

Pandoraは、この広告はPandoraアプリのごく一部のユーザーに米国時間12月12日から流されると話している。

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(翻訳:金井哲夫)