深層学習技術、機械学習技術の研究開発を行うPreferred Networks(PFN)。これまでもトヨタやファナックを始めとした大企業から出資を受け、各業界の課題解決に向けて共同研究を進めてきたこのAIスタートアップが、また新たな企業とパートナーシップを組むようだ。
同社は7月26日、中外製薬と東京エレクトロンから総額で約9億円を調達することを明らかにした。内訳は中外製薬から約7億円、東京エレクトロンの子会社から約2億円。2018年8月に出資を受けることで合意したという。
調達した資金を基にPFNでは組織体制や財務基盤の強化、計算環境の拡充を進める計画。また中外製薬とは医薬品研究の分野において、東京エレクトロンとは半導体製造分野において深層学習技術(ディープラーニング)を用いた共同研究に取り組む。
PFNは2014年3月の設立。これまでも何度か紹介しているが、代表取締役社長の西川徹氏が2006年に立ち上げたPreferred Infrastructure(PFI)からスピンオフする形で始まったスタートアップだ。
2017年10月にトヨタから約105億円の資金調達を実施した際には話題となったが、それ以前にも日本電信電話(NTT)やファナックから出資を受けているほか、直近では2017年12月に博報堂DYホールディングス、日立製作所、みずほ銀行、三井物産にファナックを加えた5社から20億円を超える資金を集めている。
PFNではこれまで「交通システム」「製造業」「バイオヘルスケア」という3つのドメインを重点事業領域として設定。トヨタやファナック、日立、国立がん研究センターなどと各分野の研究開発を進めてきた。具体的には自動運転やコネクテッドカーに関する技術、ロボティクスや工作機械への応用、医用画像の解析や血液によるガンの早期診断技術といったものだ。
今回出資を受けた2社とも同様に事業面での連携を進めていく方針。東京エレクトロンとは半導体製造分野で最適化・自動化などをテーマに深層学習技術を用いた共同研究をすでに開始している。
中外製薬とも革新的な医薬品・サービスをはじめとする新たな価値創出を目的とした包括的パートナーシップ契約を締結。深層学習技術を活用して医薬品研究開発の解決を目指すとともに、より探索的な取り組みも含めて複数の共同プロジェクトに取り組む方針だ。