Uberは現地時間5月2日より、ムンバイを皮切りにインドでUberEatsをスタートさせた。
今年中にはムンバイを含むインドの計6都市にUberEatsを展開させる予定だと同社は語っているが、今後進出を予定している都市名については明かされなかった。インドの三大ビジネスハブのひとつで2000万人の人口を誇るムンバイは、スタート地点としてはうってつけだ。
「国内外を問わず多彩な食文化が溢れるムンバイでは、食のビジネスが盛り上がっています。そんなムンバイを最初の都市としてUberEatsがインド市場に進出するというのは、世界中へのビジネス展開を目指す私たちにとって大きなステップであると同時に、インドへの私たちのコミットメントを見せる良い機会でもあります」とUberEats Indiaでトップを務めるBhavik Rathodは声明の中で語った。
1月には既にテストが行われていたインドへの進出により、UberEatsが利用できる地域は世界中で26ヶ国78都市に拡大した。2014年にパイロットプロジェクトとしてロサンゼルスで産声をあげた同サービスは、当初Uberアプリの機能のひとつでしかなかったが、その後スタンドアローンのアプリがリリースされた。昨年3月のシンガポールでのサービス開始でアジア市場への初進出を果たし、その後東京とバンコクでもUberEatsは営業している。
もちろんインドは世界的にも注目が集まっている国だが、特にUberは中国市場からの撤退後、それまでにないくらいの熱量で同国でのビジネスに力を入れている。the Internet and Mobile Association of Indiaが共著したレポートによれば、インドのオンライン人口は2017年6月までに4億5000〜4億6500万人に到達するとされており、タクシーや車、食べ物などさまざまなモノがネットを通じて消費者と繋がるようになっていくだろう。例えばEC業界だけを見てみても、2020年までには売上額が480億ドルを突破すると、調査会社のForresterは予測している。
一方で、ムンバイにはUberEatsのライバルも数多く存在し、これまで何年間もFoodPandaやSwiggy、Zomatoなどがしのぎを削ってきた。先月には、Googleでさえもがインドでフードデリバリーサービスや家事代行サービスを利用できるアプリを発表した。しかしインドにおけるUberのライバルOlaは、フード事業に手を出したものの昨年12か月も経たないうちに同サービスを終了した。
Uberは競合サービスへの対策については、あまり情報を発信していない。他の街では、利用できる飲食店のキュレーションに力を入れている(逆にFoodPandaをはじめとする他社は利用できる飲食店の数に力を入れている)が、もちろん彼らはOlaと熾烈なバトルを繰り広げている配車サービスをインドビジネスの柱としていくのだろう。
どの企業が先頭を走っているのかについては明確な指標がないが、Olaは継続的に資金調達を行っているイメージがあり、評価額の低下が懸念される。最近でも30億ドルの評価額で2億5000万ドルを調達したとThe Economic Timesが報じていたが、2015年の同社の評価額は50億ドルだった。このダウンラウンドは、インドの農村部にテックビジネスを展開することの難しさのあらわれなのかもしれない。また、常にOlaにつきまとうUberの影も関係しているのだろう。
営業地域の拡大以外にも、Uberは最近UberEatsに力を入れており、最近のアップデートではユーザーごとのレコメンデーション機能や配達場所の指定機能、新しいフィルター機能などが導入された。さらに同社は飲食店向けのマネジメントサービスをスタートさせ、経営に役立つデータの配信を行っている。
[原文へ]
(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)