Vanhawksが160万ドルを調達。いよいよスマート自転車「Valour」の出荷を開始

Y Combinatorの2015年ウィンタークラスのメンバーであり、スマート自転車を手がけるVanhawksがReal Ventures、オリンピックのトライアスロンで金メダルを獲得したSimon Whitfield、Relentless PursuitのパートナーであるBrenda Irwinや、その他のエンジェル投資家より160万ドルの資金を調達した。昨年のKickstarterキャンペーンで82万ドルを獲得したスマート自転車のValourを、出資者に対して間もなく送り出すための費用としても利用する。コンセプトから実現にいたるまでに必要となった各種費用にも充て、さらには自転車業界向けのソフトウェアプロダクトの第一人者となるための成長プランの実現のためにも活用していくそうだ。

Vanhawksの共同ファウンダーであるAli Zahidはインタビューで、実際にプロダクトを出荷するにあたって、Kickstarterでの調達額以上が必要となったのも致し方ないことであると述べている。すなわち、ZahidらにとってVanhawksが最初のスタートアップ体験であり、実際のプロダクト製作にどういった種類のお金が必要になるかを知るための経験を持っていなかったのだ。Kickstarterでの出資者に対し、本来は昨年末のうちに出荷を開始したいとしていたが、間に合わせることができなかった。しかしZahidによれば現在は各種作業も順調に動いていて、この春から25台ないし50台くらいずつ出荷できる見込みなのだそうだ。そのペースで進めば夏ごろにはバックログも解消し、そして2、3週間の納期で新たなオーダーを受けることもできる予定なのだとのこと。そしてVanhawksは、自転車製作以外の分野でも成長を目指していくこととなる。

さらにZahidの言葉を引いておこう。「自転車を作って売るだけというビジネスを目指しているのではないのです」とのこと。「自転車業界におけるソフトウェア部門の担い手となることを目指しています。世界のさまざまな分野でソフトウェアが用いられるようになっていますが、自転車業界でもソフトウェアの重要性は増ししていくはずなのです」。

Zahidは、数年のうちに自転車業界における標準ソフトウェアのようなものの担い手(Vanhawksもここを目指している)が登場してくると踏んでいるわけだ。ヨーロッパはもちろん世界中の多くの地域で、自転車は重要な移動手段として普及している。北アメリカでもますます自転車の利用頻度が上がってくるはずだと見ている。1990年から2011年の間をみても、都市生活者による自転車人気は高まっている。すなわちVanhawksのターゲットとるする市場は、大いなる成長市場であると考えられるのだ。

Vanhawksの成長戦略の中で、Valourは「自転車用ソフトウェア」のショーケースとしての役割も持っていることになる。たとえばナビゲーションシステムであるとか、後方からの接近を検知する仕組み、あるいは道路コンディションを通知する機能なども搭載している。もちろん移動距離や高低差などを記録しておくこともできる。Wazeのように、クラウドソーシングを活用した情報共有機能を提供することもできる。また、盗難対策用トラッキングシステムも搭載しており、オーナーが自分の自転車のために投じた金銭、時間、労力を保護する仕組みも備わっている。

自転車というのは、全身の集中力を投入してこそ安全に走ることができるという面もある。自転車に乗りながら、自分でさまざまなデータを入力するようなことはできないと考えた方がいい。しかし自転車をさらに魅力的な乗り物にしていくにあたって、自動的にデータを収集するような仕組みは大いに役立つはずだ。

Valourには、自転車そのものとしての魅力もある。ただし、多くのテック系スタートアップと同様に、ソフトウェアこそがVanhawksの提供するサービスの中核を担うものとなっていくのだろう。

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(翻訳:Maeda, H