VCは後回し、収益とユーザーを最優先にしたスタートアップを設立する方法をDisrupt 2020で学ぼう

一般的に信じられているのとは異なり、シリコンバレーで成功に万能型アプローチは存在しない。ベンチャーキャピタルを立ち上げる従来の方法やあらゆる犠牲を払って成長を追求する戦略ではなく、王道とは少しそれた方法で成功をつかんでいる人々がスタートアップエコシステムにはいる。

米国時間9月14日~18日に開催されるTechCrunch Disruptでは、Conductor(コンダクター)のCEOであるSeth Besmertnik(セス・ベスメトニック)氏、Driver’s Seat(ドライバーズシート)のCEOであるHays Witt(ハイズ・ウィット)氏、Black & Brown Founders(ブラック&ブラウンファウンダース)とZebras Unite(ゼブラズユナイテッド)のAniyia Williams(アニヤ・ウィリアムズ)氏と話す予定だ。彼らは皆さんが思う「従来の」創設者やCEOではない。3人とも従来とは違う方法で起業家としての道を歩んできた。協同組合を立ち上げたり、技術系の大手企業からスタートアップを買い戻して従業員がほとんどを所有する会社に変貌させたり、社会問題に取り組むスタートアップに投資する組合資金組織を立ち上げたりしている。

ベスメトニック氏は2018年3月にConductorをWeWork(ウィーワーク)に売却したが、1年足らずでWeWorkの傘下にいるメリットはないと気付いた。その時から、ベスメトニック氏はWeWorkから抜け出す方法を模索し始めた。現在、Conductorの経営陣と250名を超える従業員が会社の約90%を所有している。もっと詳しく言うと、従業員はベスメトニック氏が「共同創設従業員」と呼ぶもので、代表者を取締役会に任命できる。

「社内の全員が所有者になり、物事の良し悪しの判断に参加できる環境にしたいと思いました。この状況だからこそできたことです」とベスメトニック氏は以前TechCrunchに語っている。

Conductorは協同組合ではないが、Driver’s SeatとZebras Uniteは協同組合である。設立の方法にもよるが、協同組合モデルでは労働者と利用者に本当の意味での会社の所有権と管理権が与えられる。生み出される利益はメンバーに返されるほか、会社に再投資される。

ウィット氏が率いるDriver’s Seatは、ギグワーカーがそれぞれのデータを所有して活用することで、収益を最大化できるようデザインされている。このためには、配車サービスのドライバーに、協同組合がそれぞれのデータを収集して利用する方法を説明するアプリをインストールしてもらう必要がある。それと引き換えに、アプリは経費を差し引いた後の本当の時間給と運転戦略を変えることで時間給がどのように変化するか詳しい情報を提供する。

同社は、ドライバーに払い戻される分配金の割合をまだはっきり算出していないが、LCA(Limited Cooperative Association)として運営するための要件を満たすために、余剰利益の51%以上をメンバー所有者に渡さなければならない。

「利益の大部分をドライバーに戻し、企業統治の大部分をドライバーが担うビジネスモデルを実現したいため、協同組合という形にしました。この実現を法的に約束したのです。私たちは、この使命に賛同していただける投資者を求めています」とウィット氏は述べている。

ウィリアムズ氏が共同創設者であるZebras Uniteは主に、収益を上げながら、社会的な問題に取り組むビジネスを構築するスタートアップを支援している。協同組合の少し新しい考え方で、所有権のレベルはまだ検討中であるが、創設者が理念を犠牲にする必要がないテクノロジーエコシステムの提供を目的としている。

米国時間9月14日~18日に開催されるDisrupt 2020では、VCを後回しにして、収益、ユーザー、従業員を優先させる会社を設立した方法についてこれら創設者から話を聞くことができる。今年のDisruptは完全なバーチャル形式で行われる。数種類のDigital Proパスが購入可能で、自宅でくつろぎながらDisruptに参加できる。詳細は以下の特集ページから確認して欲しい。

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(翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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