YouTubeは、有力ビデオクリエーターに対して事実上拒否できない提案を持ちかけた。応じなければ彼らのコンテンツは消滅する。今日(米国時間10/21)YouTubeは、広告収入を得ている「パートナー」は、同社の新サービスYouTube Redの9.99ドル広告なし定期購読の広告収益分配契約に署名しない場合、そのビデオは広告付、広告なしいずれの一般公開対象からも外れることを正式発表した。これには、人気のコメディアン、ミュージシャン、ゲーム解説者、DIYインストラクターなどが含まれる。
これは容易にはのみにくい提案であり、YouTubeはいじめっ子のように見える。既存のファンを無料視聴者から有料購読者に変えることは、クリエーターにとって広告収入が増えることを意味するが、契約の強制は高圧的に感じる。
Googleによると、目標は一貫性を守ることであり、Redを購読しようとするユーザーが、広告なしサービスでお気に入りのチャンネルを利用できなくなる心配をしなくてすむためだという。しかし、なぜ契約していないクリエーターのビデオに “Not On Red” というしるしを付けるのではなく、「署名さもなくば削除」という戦略を取らなければならないかの説明はない。
最高事業責任者、Robert Kynclは今日のYouTube Red発表イベントで、YouTubeで見られているコンテンツの99%は引き続き利用可能だと語り、大部分のクリエーターが署名に応じたことを強調した。しかし、クリエーターたちに選択の余地はなく、さもなければ既存の広告収入も、新たな購読収入も、ファントのつながりも断たれることになる。
Kynclによると、YouTubeは「収益の大きな、大きな部分を」クリエーターに支払うと言っているが、パーセンテージの詳細については繰り返し説明を拒んだ。音楽定期購読サービスのSpotifyは70%を支払い、Apple Musicは71.5%を支払っている。今年変更されたYouTubeパートナープログラム規約には、クリエーターは収益のわずか55%を受取る書かれている。これは他と比べて低い率だ。
報酬は視聴時間に応じて分配されるため、長編ビデオのクリエーターは短編制作者より実入りが大きい。そして誤解のないよう言っておくと、削除される状況が起こりうるのは、YouTubeパートナー ― 非常に人気のあるクリエーターで既に55%の広告収入を自作ビデオから得ている ― だけだ。ホームビデオをYouTubeにアップロードしている一般人は何の心配もいらない。
Google Play Musicの権利保有者がどう影響を受けるのは不明だ。もし定期購読収益の同じあるいはもっと低いパーセンテージを、音楽制作者とYouTube作者の間で分配しているなら、双方とも実入りが減ることになる。しかし、私がYouTubeから非公式に聞いたところ、しくみはそうなってはいないとのことなので、Play Musicの権利者にとってこれが何を意味するかに関しては今後の情報を待ちたい。
理論的に、もしYouTubeが、クリエーターの制御を著しく損うことなく収益を増やす方法を提案したなら、彼らは喜んで応じるはずだ。しかしそこに無理強いがあれば、将来YouTubeとGoogleがクリエーターとどうつきあっていくかに関して、気がかりな前例を作ることになる。インターネットの事実上の標準ビデオプラットフォームという存在は、従わなければコンテンツを削除するという脅威を盾に、強大な力を彼らに与えている。さらに契約条件を変えることを誰が止められるだろうか?
Googleは、その膨大なリーチを不適切に利用していると批判されてきた。特に、Google+およびGoogle Placesが検索結果で有利な扱いを受けてきたことについて。今回YouTubeが、コンテンツを無料有料いずれのサービスでも常に利用できる、彼らが「一貫性」のあるユーザー体験と呼ぶものを、コンテンツ所有者本人の願望よりも優先していることは明らかだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)