YouTubeネットワークと呼ばれるサービスは、クリエイターたちに制作支援を提供したり、ビデオに関してコラボレーションできる人たちを結びつけたりする。しかしここでご紹介するFullscreenは、クリエイターたちにいくつかの技術的なツールを提供する点で独特な存在だ。
それらのツールを組み合わせた同社のCreator Platformは、自分のネットワークからビデオを配布するクリエイターたちに、視聴者数を調べたりビデオを管理するためのより良い方法を提供する。ユーザにはダッシュボードが提供され、そこからチャネルのアクセス分析や収益報告を見ることができる。つまりクリエイターは、一つ一つの自分のビデオについて、そのYouTube上の‘成績’を知ることができる。また、視聴のパターンや、トラフィックのソース(起源)、FacebookやTwitterなどソーシャルネットワーク上の共有の広がり、なども分かる。
さらに、ビデオの発表時期のスケジューリングなど、ビデオライブラリの管理方法も提供される。クリエイターが自分のビデオ用に音楽のライセンスを取得するためのツールもある。それに、ビデオクリエイターの多くがミュージシャンでもあるので、このプラットホームから自分の音楽のライセンスを提供することもできる。
そしてFullscreen Gorillaと呼ばれるツールを使うと、企業や製品の広告キャンペーンに自分のビデオを参加させられる(下図)。つまりFullscreenは、クリエイターたちの収益化(monetize, マネタイズ)も助けるのだ。
FullscreenのCEO George Strompolosの説では、“今日のクリエイターは、自分自身のためのメディア企業でもある”。つまり、ビデオを撮影し編集しアップロードするだけでなく、広告主たちとの交渉や、自分とコラボレーションできるほかのクリエイターの発見など、経営管理的な仕事も多い。Creator Platformは、そういう方面の仕事を手伝ってくれる。
しかしFullscreenのネットワークを利用するのは、クリエイターだけではない。たとえば、企業のビデオのマーケティング効果の測定を代行するスタートアップもある。彼らは、視聴者とコンテンツとの対話の様相を調べて、消費者の好感度などを判定するのだ。また企業自身もこのプラットホームを利用して、自分のビデオチャネルのパフォーマンスを競合他社のそれと比較できるし、YouTube上の影響力の大きいカリスマ的人物を見つけて自社のメッセージを広めてもらう、といったこともできる。
そのため、NBCUniversalやRyan Seacrest Productionsなどもビデオの管理と視聴分析のためにFullscreenを利用している。2011年にローンチした同社はその後急速に成長し、今では同社のプラットホーム上に15000あまりのチャネルがある。視聴数や会員数でも同社は最大のネットワークで、月間のビデオ視聴数が25億あまり、クリエイターたち全員が抱える会員総数は2億を超えている。
Fullscreenは最近、The Chernin Groupが仕切りComcast VenturesとWPPの投資部門WPP Digitalが参加した投資ラウンドにより、約3000万ドルを調達した、と推測されている。社員数は150名あまりで、主にロサンゼルスのオフィスに勤務する。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))