【コラム】暗号資産による送金は世界で最も弱い立場にある人々の生命線

アフガニスタンからの米国の突然の撤退により、Western Union(ウエスタンユニオン)が一時的に業務を停止し、国内の銀行も引き出しを厳しく制限するなか、暗号資産(仮想通貨)による送金がアフガニスタンの人々の生命線となっている。

米国や英国などの送金側の規制当局は暗号資産に目を向けている。彼らは、世界で最も弱い立場にある人々にとって、暗号資産がどれほど欠かせないものであるかを忘れてはならない。

アフガニスタンだけでなく他のどの国であっても、現地通貨が入手困難になり、価値の貯蔵手段としての信頼性が低下すると、暗号資産はますます不可欠なものとなる。紛争はインフレを招き、通貨の価値を下げ、時には無価値にしてしまう。

もし、国内の暗号資産タカ派をなだめるために暗号資産の送金を規制したら、この資産クラスを最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々やその他多くの人々に(再び)背を向けることになる危険性がある。

タリバン占領後、アフガニスタンの金融システムも凍結されてしまった。世界銀行によると、アフガニスタンのGDPの約4割を占める海外からの援助が止まった。同様に、アフガニスタン中央銀行の外貨準備も凍結された。その額は約90億ドル(約1兆円)

さらに、タリバンによる占領と欧米諸国による対外援助停止を受け、Western UnionやMoneyGram(マネーグラム)などの国際送金会社がサービスを停止した(今のところ再開しているケースもある)。そのため、一般のアフガニスタン人は世界の金融システムにアクセスできず、そしてここが重要だが、海外の親族からの送金を受け取れなくなった。

送金とは、豊かな国から「母国」にお金を送ることで、アフガニスタンのGDPの約4%を占める。現金に大きく依存する経済において、現地の金融インフラが突然崩壊することは、多くのアフガニスタン人にとって生死を分けることになり得る。

送金が生命線であり続けるためには、迅速でなければならない。お金が必要なときは、すぐに必要になることが多い。例えば、国内で避難生活を送る人々は、資金が決済されるまで3~5日も待つことはできない。彼らは今すぐにでも食料、燃料、医薬品を必要としている。

ビットコイン「過激主義者」は、暗号資産が世界の経済システムをいかに変えるかについて、目を輝かせて主張する。彼らを信じるかどうかは別にして、私たちの前で、暗号資産は不安定で紛争が絶えない場所での送金に、すでに革命を起こしている。アフガニスタンは、破綻した国家における暗号資産の教科書的な使用例を示している。

時として、切迫する必要性が新技術導入の強力な論拠となる。アフガニスタンは、ブロックチェーンのデータプラットフォームであるChainalysisのGlobal Crypto Adoption Indexで、154カ国中20位に位置している。ピア・ツー・ピアの取引(送金を含む)を加味すると7位だ。2020年には、アフガニスタンはリストにすら入っていなかった。

アフガニスタンだけではない。レバノン、トルコ、ベネズエラでは最近、暗号資産の使用率が急増した。人々は一攫千金を狙っているわけではない。海外の親族から資金を受け取り、高インフレ時に資産消滅を防ごうとしているだけだ。

ベネズエラを拠点とする暗号資産コンサルタントのJhonnatan Morales(ジョナタン・モラレス)氏は「多くの人々は、モノを手に入れるためではなく、ハイパーインフレから身を守るために暗号資産を採掘したり取引したりしています」と見ている

インフレ率が世界で最も高いベネズエラ(3000%に向かっている)では、経済が不安定になるにつれ、暗号資産の導入が進む。

レバノンもその一例だ。リラがその価値の80%を失う中、例えばビットコインウォレット「BlueWallet」のレバノン人によるダウンロード数は、2020年に前年比1781%増加した

だがアフガニスタンは、グローバルサウス(南半球の発展途上国)が暗号資産を必要とする理由を示す、最も緊急かつ悲劇的なケースかもしれない。現金が不足し、物価が高騰し、タリバンがこれまで頼りにしていた外国からの援助を失うと、すでに崩壊しているアフガニスタンの通貨はさらに弱くなる。アフガニスタンの人々が自らの富をビットコインで受け取り、保管し、使うことができるようになれば、破綻国家の最悪の影響から自分たちを守ることができるかもしれない。

そしてこれこそが、欧米で暗号資産を規制する際に忘れてはならないことだ。規制は投機家に影響を与えるだけでなく「母国」に送金したい人にも打撃を与える。最も失うものが大きいのは送金を受け取る人々だ。

米連邦準備制度理事会(FRB)のJerome Powell(ジェローム・パウエル)議長が、暗号資産規制の次の段階に関する報告書を発表する際には、暗号資産を最も必要としている人々、つまりアフガニスタンの人々や、彼らのような世界中の何百万もの人々のことを忘れないで欲しいと思う。

欧米はアフガニスタンの人々に背を向けたのかもしれないが、私たちは自国の法律が彼らを暗闇に置き去りにしたままにすることがないようにしなければならない。暗号資産の規制は、重要な金融の生命線が失われないようにしなければならない。さもなければ、暗号資産を最も必要とする人々の希望の扉をまた1つ閉じてしまうことになる。

編集部注:本稿の執筆者Joshua Jahani(ジョシュア・ジャハニ)氏は、コーネル大学およびニューヨーク大学の講師であり、中東・アフリカを専門とする投資銀行Jahani and Associates(ジャハニ・アンド・アソシエイツ)のボードアドバイザー。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKY/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

原文へ

(文:Joshua Jahani、翻訳:Nariko Mizoguchi

Airbnb登録ホスト以外の人もアフガン難民に宿泊を提供できるように

Airbnb(エアビーアンドビー)は現地時間8月26日、貸し出せるスペースを持っている人なら誰でもアフガニスタン難民への宿泊提供を登録できるようにすると発表した。この取り組みは、アフガン難民2万人に一時的な住まいを無料で提供するという同社の最初の発表に続くものだ。

関連記事:Airbnbがアフガン難民2万人に仮住まいを提供へ、費用を全額負担

既存のAirbnbホスト、そしてその他の人も専用の緊急宿泊提供ウェブサイトを通じて登録し、無料あるいは割引価格で宿泊をアフガン難民に提供できる、と同社は話す。難民の宿泊に関する手数料はすべて免除される、とも説明している。住まいを提供することはできなくても何かしらサポートしたいという人はアフガン難民の住まいをサポートするために寄付することができる、と同社は語る。

同社は8月24日にアフガン難民2万人に宿泊を提供するという最初の約束を発表し、同社の非営利組織Airbnb.orgへの寄付による基金、同部門が設立した難民基金、同社CEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏の個人的な寄付などを使って宿泊にかかる費用をすべて負担すると述べた。

「発表以来、アフガン難民に宿泊を提供するというAirbnbとAirbnb.orgの取り組みをサポートする方法を模索しているAirbnbコミュニティ内外の人たちから多大な関心が寄せられました。その多くが、自身が所有する住まいを無料で提供したいという申し出です」と同社は声明文で述べた。「反応は我々の予想をはるかに上回り、アフガニスタンから逃れてくる人々のために、一時的な緊急宿泊に対する前代未聞のニーズに対応する取り組みの拡大をどうやってサポートできるのか、さらに詳細な情報を共有します」。

Airbnb.orgとAirbnbはまた、連邦政府ならびに必要に応じて宿泊を提供するために難民を受け入れることに関心を示した州や市も支援する。

同社の宿泊提供の取り組みは、何万もの人々がアフガンから逃れようとしている中でのものだ。危機の真っ只中にあり、企業や政府はアフガンを脱出する難民の支援という増大しつつあるプレッシャーに直面している。国連難民高等弁務官事務所によると、現在250万人近くが難民として登録されている。

関連記事:Airbnbに触発されテレヘルスのHims & Hersはアフガン避難民に1万回の無料医療訪問を提供
画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Airbnbに触発されテレヘルスのHims & Hersはアフガン避難民に1万回の無料医療訪問を提供

米国時間8月26日、Hims & Hersの共同創業者でCEOのAndrew Dudum(アンドリュー・デュダム)氏は、同社が故国を脱出したアフガン難民のために1万回のプライマリーケアとメンタルヘルスのための診察を提供すると発表した。

2017年にサンフランシスコで創業したHims & Hersは、消費者と医師などの専門家を結びつける複数科目のテレヘルスプラットフォームを構築した。

デュダム氏はブログで、Hims & Hersは「緊急に対応すべき道徳的責任を感じた」と述べている。

「現在、世界中の目と心が当然ならアフガニスタンとその大量の避難民に注がれている。これらの人たちが求めているのは、人間として最低限の要求だ」とデュダム氏はいう。

デュダム氏によると、Hims & Hersは、厳選されたNGOや非営利団体、翻訳者やプラットフォーム上のプロバイダーなどの関連パートナーと協力して、「難民がこれらのサービスを認識し、必要な緊急支援を受けられるようにする」ことを計画している。難民の人たちには、すぐに診察を受けることができるようにする。

医療費はHims & Hersが負担するが、医師などの専門家からの、サービスの無償提供にも期待しているとCEOは述べている。

デュダム氏はTwitter上で、AirbnbのCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏による、アフガニスタンでタリバンが権力を握ろうとしている間、世界中で生まれるアフガン難民の内およそ2万名に仮住居を提供する計画についての最近の発表がヒントになったという。

関連記事:Airbnbがアフガン難民2万人に仮住まいを提供へ、費用を全額負担

画像クレジット:Twitter

同社がこの計画を展開しようとしている間、何万人もの人びとがアフガニスタンを脱出しようとしている。そして各国の企業や政府はこの危機の中、国を逃れてきた難民の支援という圧力の高まりを感じている。国連難民高等弁務官によると、アフガニスタンからの登録難民は現在250万近くになる。2021年8月半ば以来、首都カブールから同国を脱出した人たちは今週初めの時点でおよそ5万8700名にのぼる。

WhileHims & Hersは現在、テレヘルスのプラットフォームに成長したが、今でもそのルーツであるミレニアル世代のための性のウェルネスといった健康サービスは続けている。同社はブランクチェック企業Oaktree Acquisition Corpとの逆(さか)さ合弁を完了し、1月にニューヨーク証券取引所に上場している

関連記事:Airbnbがアフガン難民2万人に仮住まいを提供へ、費用を全額負担

画像クレジット:Hims & Hers

原文へ

(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Airbnbがアフガン難民2万人に仮住まいを提供へ、費用を全額負担

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は米国8月24日、アフガニスタンでタリバンが権力を握りつつあるなか、世界中で最大2万人のアフガニスタン難民に仮住まいを提供する計画だと述べた。

チェスキー氏は、非営利団体Airbnb.orgへの寄付金と同部門が設立した特定の難民基金からの資金、そしてチェスキー氏の個人的な寄付を使ってAirbnbが住まい提供の費用をカバーする、と話している。Airbnbはまた、危機に直面している人々に緊急用の住宅を提供するのに、Airbnb.orgを通じて非政府組織(NGO)とも協力する。

「米国やその他の国へのアフガン難民の避難と再定住は、現代における最大の人道危機の1つです。我々はさらに取り組む責任があります」とチェスキー氏はツイートしている

続くツイートでは、住まいを進んで提供するAirbnbホストは間もなく、アフガンを逃れてくる難民家族を受け入れるための登録ができるようになる、と説明した。同社はこの取り組みをホストや幅広いコミュニティがどのようにサポートできるのか、詳細を共有する計画だ。同社の取り組みが他のビジネスリーダーたちに同様の動きを促すことを期待している、ともチェスキー氏は述べた。

Airbnbはすでに、パートナーと協業して先週末米国にたどり着いた難民165人を安全な住宅に案内した、と明らかにした。同社は取り組みの促進と必要に応じたサポート提供で再定住機関と協業する。

同社の取り組みは、何万もの人がアフガンから逃れようとしている中でのものだ。危機の真っ只中にあって、企業や政府は同国から逃れる難民を支援するというますます高まっている圧力に直面している。国連難民高等弁務官事務所によると、現在250万人近くが難民として登録されている。8月15日以降、各国はアフガンの首都カブールから約5万8700人を避難させた

「何万ものアフガン難民が世界中で再定住し、滞在する場所が新しい生活の第1章になります。2万人の難民が休んで生活を再始動させる安全な場所をAirbnbコミュニティが提供するだけでなく、難民を暖かく迎えることが私の願いです」とチェスキー氏は声明で述べた。

Airbnbがここ数年、困っている人々に無料で宿泊を提供してきたことは記すに値する。2017年に同社は行き場のない難民、学生、そして前Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の難民を制限する大統領令の影響を受けたグリーンカード保持者に無料で宿泊を提供した。直近では、新型コロナウイルス感染症パンデミックの最中にヘルスケアワーカー10万人に無料あるいは割引価格で宿泊を提供した。過去4年で難民約2万5000人を仮住まいを提供した、と同社は話している。

関連記事
ソーシャルプラットフォームはタリバンの扱い方で歩調揃わず
タリバンが米軍の生体認証装置・データを押収し現地協力者に報復リスク、人権団体が「Face ID」利用の防御策助言
画像クレジット:Thomas Trutschel/Photothek / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi