米食品医薬品局承認の減量製品Plenityを誰もが利用できるように市販するオンライン薬局Roの挑戦

遠隔医療処方を提供するスタートアップRo(ロー)の重要な新事業の開発の第一歩となる可能性があるものとして、ついに減量製品Plenity(プレニティ)の一般的な商業利用可能性を発表した。

胃腸障害の治療薬を作るバイオテクノロジー企業のGelesisによって開発されたPlentiyは、クエン酸とセルロースを使用して無毒のペーストを作成し、摂取後に満腹感を感じるようにする減量治療薬だ。食事の前に服用するとピル(錠剤)が膨張して胃の約25%を占める物質になるので、人々はより少ない量で満腹感を得られる。

この製品は、米国食品医薬品局(FDA)によってすで承認されており、ほかの減量製品よりもはるかに幅広い層の人々が利用できるようになっている。ほとんどの処方薬は肥満の人々向けに想定されており、Gelesis製品も太りすぎている人々のために作られている。

Gelesisの最高経営責任者兼執行役員であるDavid Pass(デビッド・パス)氏によると「対象者はBMIが25〜40の1億5000万人の米国人の大人です」と説明する。

Plenityは昨年4月にFDAの承認を受け、GelesisはすぐそのあとRoと共同作業を開始した。アイデアは、医療機器と薬物ではなく、分類されている治療を得られる戦略を作ることだった。できるだけ早く多くの患者の手に届けるために。

Roの場合は、Gelesisとの契約は、来るべき潜在的なものの兆候です。同社は、プレニティ治療の排他的なオンラインプロバイダーであり、Roの創業者のZachariah Reitano(ザッカライア・ライターノ)氏は、信じられないほどの可能性があることを言ったこれらの種類の取引の多くに従事する。

RoにとってGelesisとの合意は、将来の事業展開の可能性を示すものだ。同社はPlenity治療の独占オンラインプロバイダーであり、Ro創設者のZachariah Reitano(ザッカライア・ライターノ)氏は、「これらのタイプの取引にもっと関与することについて、信じられないほどの高い確率があります」と語る。

「製薬会社と提携して流通コストを削減したいと思っています。私たちは、体重管理のためのエキサイティングな治療ソリューションを構築することに興奮していました。私たちのハイレベルな使命は、患者さんからのファーストコールになることです」と続けた。

「Gelesisとの提携により、Roに非常に望ましい治療法を追加することができます。一方で、すでに治療楽を提供しているほかの疾患の重症度を高める要因にもなり得えます」とライターノ氏。

同氏は「現在、当社が治療している疾患の中には、太りすぎや肥満によって症状が悪化するものがいくつかあります。体重管理に苦労している人にもEDが発生します。肥満は心不全や脳卒中、冠動脈性心疾患、低血圧、うつ病につながる可能性があります」と説明する。「対象者の幅の広さは興味深いです。FDAが承認したのはBMIが25から40までですが、FDAが承認した治療対象は30から40の間でした。この承認により、治療をより多くの人々の、より多くの疾患を持つ人々は利用可能になります」とのこと。

Roは、治療の唯一のオンラインプロバイダーとして摂食障害に苦しむ人々がPlenity治療を乱用しいないことを確認するために、オンボーディングプロセスを開発した。「私たちのオンボーディングでは、患者さんに体重管理について質問するだけではありません。画像をアップロードして、プロバイダーと一緒に撮影しなければならない連続した作業を伴います。これは私たちが時間とエネルギーをかけて確認してきたことです」と同氏。

Roが提供している他の治療法と同様にPlenityも現金払いの処方箋薬だ。「減量治療は通常保険でカバーされない」とのこと。Roのようなオンライン薬局と協力して新しい治療法の流通を提供することの利点は、両方のスタートアップにとって明らかだ。

「私たちは、消費者を私たちがすることすべての中心に置くことによって、この市場をその頭の上にひっくり返しました」とGelesisのパス氏は説明する。同氏によると、この治療法のコストは月98ドル(約1000円)で、他の治療法やブランド薬が月300ドル(約3150円)や350ドル(約3600円)になる可能性があるのと比較しても治療法のコストは高いという。

「私たちは消費者を私たちの活動の中心に据えることでこの市場をひっくり返しました」とパス氏。同氏によると、他の治療法やブランド医薬品が月に300ドル(約3150円)から350ドル(約3600円)かかるのに対し、この治療法は月に98ドル(約1000円)という。

Gelesisが薬の価格を下げることができる1つの理由は、それを売るためにに大規模な販売力を必要としない点が挙げられる。同社はそのためにRoと連携している。「通常、製薬会社は営業部隊を雇って戸別訪問をしなければならず、それは新薬のコストを増加させます。RoはPlenityのような新しく革新的な治療法を全国で利用できる展開できます」とライターノ氏は締めくくった。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:RoGelesisPlenityオンライン薬局

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

オンライン薬局運営の「ミナカラ」が3億円調達、製薬メーカーとPB医薬品の共同開発強化へ

オンライン薬局を運営するミナカラは8月24日、3億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先は、既存投資家のSpiral Innovation Partners、インキュベイトファンド、STRIVE、カイゲンファーマ、新規投資家として朝日メディアラボベンチャーズが加わった。なお、製薬会社のカイゲンファーマ以外は、VCもしくはCVCだ。今回の調達により同社の累計調達額は10億円となった。前述した以外の既存投資家は以下のとおり。

  • AGキャピタル
  • グロービス経営大学院
  • ジャパンメディック
  • 千葉道場
  • 本田 圭佑氏(プロサッカー選手・個人投資家)

同社は今回調達した資金を、集合調剤・物流施設としてのセントラル薬局の開発、製薬メーカーとの共同開発医薬品(PB医薬品)の企画開発、製薬メーカーのD2C展開の各種支援を行う事業に投下する。

同社が運営するオンライン薬局の「minacolor」(ミナカラ)は、一般的な対面式の薬局と同様に自分の症状にあった薬を薬剤師のアドバイスを受けながら、薬の代金をネット決済後、自宅まで届けてくれるサービス。ネット経由で薬剤師による服薬管理もサポートしてくれる。具体的には、薬剤師とは無料チャットで相談ができ、OTC薬の購入も薬剤師と相談のうえで自分にあったものを購入可能だ。現在提供している薬を中心とした商品の取り扱い点数は800種類(SKU)とのこと。

ミナカラで代表取締役を務める喜納信也氏

現在、一部の医薬品は販売許可を得たECサイトから手軽に購入できるが、本当に自分の病状・症状に合っているかどうかは、購入者自身が各ECサイトの説明文を読み込んで納得するか、CMなどで認知度の高い医薬品を選ぶというの現状だ。minacolorでは、こういった購入者の独自判断だけでなく、薬剤師の的確なアドバイスを基に最適な医薬品を購入できるのが最大の特徴となっている。

現在、オンラインで販売可能なのは、第一類医薬品まで。要指導薬医薬品などは販売できないが、多くの患者は病院の医師や薬剤師の適切指導を受けた後、2年程度で処方薬から手に入りやすい第一〜三類に移行するケースがほとんどとのこと。

ミナカラで代表取締役を務める喜納信也氏によると、前述の薬剤メーカーとのPB医療に品の共同開発については、オンラインとの相性がいい疾患・テーマから先行して製品開発を開発しているとのこと。具体的には、しみ治療、痔、いぼ、女性用薬、水虫、カンジダなど、対面で相談しにくいテーマや継続的に使用する必要のあるテーマだ。元々運営しているメディアコマースのユーザーデータやマーケデータで把握できており、勝算の高いテーマから展開できているというのが同社PB展開の強みだ。

「風邪などのすぐ治したいというニーズが高い急性疾患などは配送時間のかかるECが出遅れているが、こちらについても将来的には配置薬、つまり富山の配置薬のネット版のようなサービスでカバーしたい」喜納氏。

気になる薬が届くまでの時間だが、同社によると注文時間にもよるが現状は沖縄などの一部地域を除けば、土日休日を問わず翌日到着になるという。また喜納氏は、今回の資金調達に加わっているSpiral Innovation Partnersには、LPとしてセイノーホールディングス(西濃運輸)が入っており、西濃運輸とはファイナンスとセットで事業提携が決まっていることを教えてくれた。物流大手の西濃運輸を組み、オンラインで医薬品を配送するのに最適な物流拠点の確保など、物流周りの課題解決も継続的進めていく。

画像提供:ミナカラ

カナダのオンライン薬局PocketPillsが全国展開へ8.2億円調達

カナダで唯一のオンライン薬局をうたうPocketPillsが全国展開に向け新たに735万ドル(約8億2000万円)を調達した。

Pacific Blue Crossといった保険業者との提携を通じて、PocketPillsは処方箋薬の自己負担を軽減する。「他の薬局と同じように我々は市民がプラットフォームに参加できるオプションをもっている」と共同創業者で最高執行責任者のHarj Samra(ハージ・サムラ)氏は述べた。

サムラ氏は2018年に、カナダで全国展開している薬局の経営者Raj Gulia(ラジ・グリア)氏と、シリアルアントレプレナーでRocketFuel共同創業者のAbhinav Gupta(アビナブ・グプタ)氏とともに創業した。RocketFuelの新規株式公開後、グリア氏とサムラ氏の方から接触があったとき、グプタ氏は消費財会社に関するいくつかのアイデアを温めていた。

そして3人は保険会社が節約できるよう、オンライン薬局モデルをカナダにもってこようとPocketPillsを立ち上げた。

「保険会社にとって、カナダでは後発医薬品の使用が米国に比べ浸透していないことが問題となっている」とグプタ氏は話した。「その差はかなりかなり大きい。後発医薬品の充足率は米国が90%なのに対し、カナダは70%だ」。

PocketPillsは、通常のカナダの薬局が扱わない規制のある薬や催眠剤などもカバーする。同社がこれまでに対応した処方箋の多くは、慢性的な症状のものだ。

同社は、注文の管理などを行うフルフィルメントセンターをノバスコシアに開き、そして間もなくケベックにも開所し、全国展開を視野に入れている。

成長と継続的な発展を支えるために、PocketPillsは投資会社Waterbridgeに735万ドルの支援を求めた。

「PocketPillsはテクノロジーのイノベーションを通じて、いいタイミングでカナダのヘルスケア産業にかなりの価値を生み出そうとしている。コスト(保険業者や雇用主)、利便性(患者)、医療(慢性病)とポイントを押さえている」とWaterBridge VenturesのマネージングパートナーManish Kheterpal(マニッシュ・ケターパル)氏は声明文で述べた。

画像クレジット:ironstealth

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Amazon、オンライン薬局のPillPackを10億ドル以下で買収

Berkshire Hathaway、JPMorganとのヘルスケア共同ベンチャーのCEOを指名して1週間。Amazonは今日、買収を発表した。今回の買収には、今後ヘルスケア業界で直接的かつ商業的な役割を担うという意味合いが込められている。Amazonが買収するのは、消費者が処方箋薬を購入できるオンライン薬局PillPackだ。

Amazonは買収金額を明らかにしていないが、今回の買収に詳しい情報筋によると、10億ドル以下だったようだ。PillPackはAmazonの最大のライバルの一社であるWalmartと買収の交渉をしていると報道され、我々もその事実を確認していた。“しかし、別の誰か”(この場合Amazonだが)が“より高い額で買収を提案してきた”。

PitchBookによると、PillPackは2016年に資金調達を行い、企業価値3億6100万ドルとなった。今回の買収は今年後半に完了する見通しだ。

今回の動き(これに伴う株価の上昇)は、eヘルスのマーケットがいかにホットになりつつあるかを示している。またAmazonはこのオンライン薬局を、消費者(そして医療機関も)がヘルスケア分野で必要としているもので、同社が取り込むべき主要な未開拓領域ととらえている。

商業分野でのAmazonの力は、このマーケットが今後拡大するのに大きなな役割を果たす。というのも、今回の買収は、PillPackが事業拡大するだけでなく(少なくともAmazonのヘルスケアJVを通じてではない)、他の医薬品会社も何かしら動かざるを得ないからだ。これまでのところ、Amazonの参入により、迎え撃つヘルスケア企業の株が売られるなどの影響が出ている。

「PillPackの経営計画チームは薬局業界で十分な経験を持つとともに、テクノロジーにも焦点を合わせている」とAmazonの世界コンシューマービジネス担当CEO、Jeff Wilkeはニュースリリースで述べている。「PillPackは顧客の生活改善にかなり貢献してきた。今後も人々が時間を節約し、生活をシンプルなものにしつつ、健康的な生活を送れるよう、PillPackを手伝いたい。客のために何ができるか、楽しみにしている」

PillPackは米国50州での事業ライセンスを持ち、認証機関URACやVIPPSの認定も受けているが、国際展開はしていない。 PharmacyOS ーPillPackのベースとなるシステムーは患者のデータを管理できるプラットフォームで、安全な服用量となるよう処方箋薬の組み合わせを患者と一緒に考える。

PillPackが直面している課題は差し迫っている。米国は大量の薬を消費していて、一部では乱用の蔓延がみられる。長期的、短期的にこの問題に取り組むべきことはたくさんあるが、少なくとも処方された薬の服用をコントロールすることは解決に向けた1つの取り組みとなる。

PillPackの創業者でCEOのTJ Parkerは経営に残るようだ。

「PillPackは、患者が正しい薬を正しい時間に服用し、健康でいるのをシンプルにした」とTJ Parkerは発表文で述べた。Amazonとともに、ヘルスケア産業のパートナーとの協業を促進し、よりよい薬局体験で米国民が恩恵を受けられるようサポートしたい」。

ニューハンプシャー州マンチェスターに拠点を置くPillPacは、2013年にボストンのTechstarsで創業した。当時はKatie Raeが率いていた。以来、 Accel、Accomplice、Charles River Ventures、そしてMenlo Venturesなどを含む投資家から1億2300万ドルの資金を調達してきた。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)