ロボットが昼食のサラダボウルを調理してくれるようになる日は近い

Hyphen(ハイフン)という企業については、8月に同社がステルス状態から脱した際に、筆者のニュースレター(翻訳されているので是非ご覧いただきたい)で簡単に紹介した。食事の準備を自動化することは、今後、大きな意味を持つことになるだろう。新型コロナウイルス感染症が流行し始めた初期の頃、多くの人がそう予想した。外出自粛要請やウイルス感染への不安が拡がった時、多くのレストランオーナーは、最終的にどの程度のプロセスを自動化できるだろうかと考えていた。

だが、多くの人がそれは一時的な問題になると考えていたのではないだろうか。ウイルス感染拡大から2年が経過した今、人々の「一時的なもの」に対する予想は、多少変化したと言ってもいいだろう。しかし、一部の地域では感染拡大が収まっているものの、低賃金であることが多い外食産業の人材確保は、依然として問題となっている。

このような理由により、業務用厨房の自動化を実現する企業には、多くの投資家から関心が集まっている。数年前から盛り上がっていたロボットによるフードデリバリーに、この分野も追いつきつつあるようだ。当初は、自動化が比較的容易な食品に、特に注目が集まるだろう。ピザは、そのシンプルさと、そして多くの人がピザを好むという事実から、当面は間違いなく最初に選ばれる対象となるはずだ。

サラダボウルも有力な候補だ。サラダボウルは完結型の料理で、コンピューターの画面から離れられる時間がますます減っている労働者にとって、手軽なランチの選択肢として人気が高まっている。

Hyphenが提供する「Makeline(メイクライン)」は、カウンターの下で行われるベルトコンベアのようなプロセスを通して、ボウルの調理を自動化するモジュール式のソリューションだ。そのカウンターの下に収められているという仕様は、とりわけ興味深い。このような企業の多くは、自動化を外に向けて見せるものと位置づけているからだ。見方によっては、ロボットが自分のランチを作ってくれるというのは、クールな、あるいは少なくとも斬新な、アイデアだと思われるかもしれない。しかし、Hyphenのシステムは、人間が顔を出して顧客と対話するというような、人間を前面に出すことを前提としている。

サンノゼを拠点とするHyphenは先日、2400万ドル(約27億6000万円)のシリーズA資金調達を実施したことを発表した。Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導したこのラウンドによって、Hyphenの資金調達総額は3440万ドル(約39億6000万円)に達した。この新たな資金は、研究開発の強化、生産設備の増強、市場の拡大など、ロボット関連の資金調達に予想されるとおりの用途に使われる。同社は、今後2年間でMakelineシステムを5つの市場に展開することを想定しているというが、具体的な内容についてはまだ発表していない。

画像クレジット:Hyphen

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Chowboticsが、サラダ調理ロボットのために500万ドルを調達

Chowboticsが、フードサービスロボットの開発に向けたベンチャーファンディングのシリーズAで、500万ドルを調達した。これらのマシンは、レストラン、カフェテリア、ホテルで、あるいは空港、ショッピングモール、病院のフードコートで、食品を準備するためにデザインされている。同社の主力製品であるSallyは、20種類の異なる食材を入れたキャニスター(上の写真の筒状の容器)を用いて、1000種類以上のサラダを作って提供することができるサラダロボットだ。

ChowboticsのCEO兼創業者のDeepak Sekarによれば、同社はSallyのパイロット生産を終了し、この春から市場に投入する準備が整っているということだ。家庭用Sallyは開発していないのかという質問を受けて、Sekarはその開発は現在は行っておらず、おそらくあと5年以上は手を付けないだろうと答えた。CEOは次のように説明した:

「60年代には、部屋一杯のサイズのコンピュータがあり、価格も天文学的数字でした。メインフレームですね。その後、70年代にはミニコンピュータが現れ、企業にも手の届き易いものになりました。パーソナルコンピュータの出現にはさらに10年待たなければなりませんでした。現在、食品業界は『ミニコンピュータ時代』を迎えているのです、ロボットが工場を出て商用のキッチンに入り始めました」。

沢山のパイロット顧客が既に、Chowboticsのサラダロボットの試験運用に合意している。Sally の試験運用は、Campbell、カリフォルニアに本拠を置くイタリアンレストランのMama Mia 、そしてサンフランシスコのコワーキングスペースGalvanize 、そしてテキサスのH-E-B Groceryの社内カフェテリアでも、この春から行われる。

Sallyが、レストランのキッチンで顧客にサラダを提供するために利用できる一方で、同社は、サラダをオーダーするタッチスクリーンとクレジットカードリーダーを備えた自動販売機型のデバイスも製造している。Sallyは空港、ジム、そして病院といった、24時間の運営が行われていて、いつでも健康的な食事の提供が求められている場所で上手く働くことだろう。

Chowboticsのロボットによって作られたサラダは厳密に計量されているので、顧客たちは、注文した食事にどれくらいのカロリーが入ったのかを正確に知ることができる。Sekarは、ファーストフードやクイックサービスレストランが、より健康志向の顧客を引きつけるためにSallyを使い始めてくれることを期待している。ほとんどのファストフードチェーンは、限られた種類のサラダしか提供できていない、と彼は言う。そしてそれらはそれぞれ概ね400キロカロリー以上になることが多い。Sallyのユーザーは、Chowboticsが提供するレシピを用いたり、独自のレシピをロボットに入力したりすることができる。

フードサービスロボットSallyによって作られたサラダを持つ、Chowboticsの初期からの従業員たち

Chowboticsが新たに調達した資金は、雇用や製造、そして他の種類の食品を準備できる新しいロボットの開発に投入される。Sekarは、朝食、ブリトー、タコス、そしてある種のエスニック料理などが考えられると述べた。Chowboticsの投資家としてはFoundry GroupTechstars VenturesGalvanize Ventures、そしてGeekdom Fundなどが関わっている。来月にはカリフォルニアのレッドウッドシティーに移転するこのスタートアップは、企業アクセラレーター組織のTechStars Austinの卒業組だが、その当時はCasabotsという名で知られていた。

(訳注:ロボットの名前 Sally は、Pig Goat Banana Cricket というテレビシリーズに出てくる、The Salad Sistersの片割れの名前Sally Saladにちなんだもの)

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(翻訳:Sako)