個人間送金アプリ「Kyash」が実店舗での決済対応を見込み、UIをリニューアル

個人間送金アプリ「Kyash」を提供するKyashは3月5日、決済もまとめて行えるウォレットアプリとしての機能強化を目指してアプリのUIリニューアルを行い、公開した。新UIでは、初期画面にチャージや買い物、送金、請求の各機能がまとめられた。

Kyashは個人間で送金や請求が無料でできるアプリとして、2017年4月にiOS版が公開された(Android版は同年7月にリリース)。アプリを介して受け取ったお金は、アプリ内のバーチャルなクレジットカード「Kyash Visaカード」に貯めることが可能。また、クレジットカードおよびコンビニや銀行ATM、オンラインバンキング経由で、Kyash Visaカードへのチャージができる。

カードに貯まったお金は、国内外のVisaが使えるネットショップで決済に利用できるほか、モバイルSuicaにチャージしてコンビニや交通機関などで使用できる。ただし、現時点ではモバイルSuicaを使う以外に、実店舗での買い物に利用することはできない。

同社では「今春以降、実店舗での支払いへの対応を予定している」と述べており、「今回のUIリニューアルは、買い物もまとめてKyashアプリで完結するウォレットアプリとしての進化を目指したもの」としている。チャージ方法についても、現在の手段以外に、仮想通貨や各種ポイントなどからのチャージを可能にすべく、多様化を検討しているという。

個人間送金に使えるアプリとしては、LINEの「LINE Pay」やヤフーの「Yahoo! ウォレット」、割り勘での利用を想定したAnyPayの「Paymo」などがあるが、このうちLINE PayとPaymoではQRコード・バーコードを利用した、実店舗での決済が既に可能となっている。

リアルタイム送金でVenmoに対抗するZelleが、30以上の米国の銀行を従えて今月ローンチ

Venmoに対する米国銀行業界の回答が到着した。今月からZelleと呼ばれる新しい個人間支払いネットワークが、米国の8600万人以上のモバイルバンキング顧客に提供される。PayPal、Venmo、Square Cashといったライバルたちよりも、迅速なデジタル支払い手段を約束している。送金に一晩もしくは数日かかるのではなく、Zelleの利用者たちはお金を1つの銀行から別の銀行へほんの数分で移動させることができる。

これまでも銀行は、即時送金を提供する手段を持っていたものの、現行のシステムでは、顧客たちが口座をもち、口座に紐付いたルーティング番号を持っている必要があった。一方Zelleは、現在人気のある支払いアプリのように、より簡単な方法を提供することを目的としている。Zelleのユーザーが知る必要があるのは、相手の電話番号や電子メールのような情報だけだ。

実は顧客たちがお互いにデジタル支払いを行うことができるこのサービスは、Bank of America、Wells Fargo、そしてJP Morgan Chaseが協力してclearXchangeと呼ばれるジョイントベンチャーとして2011年から運用されていた。

だがコンソーシアムはその後数年の間、パートナーを増やすという意味では、遅々とした進展しか行うことができていなかった。しかし、昨年いくつかのテコ入れが行われた。clearXchangeは昨年の夏、より消費者に親しみやすい “Zelle”ブランドに変身した。その後10月には、clearXchangeを数年に渡って運営していた銀行傘下のEarly Warningが、Zelleが19の米国金融機関をメンバーに迎え、Zelleサービスを2017年の早い段階で開始することを約束すると発表を行なった。

Zelleの正式な開始はその約束には少し間に合わなかったものの、ついに提供が始まった。

今朝(米国時間6月12日)行われたEarly Warningからの発表によれば、Zelleは今週からパートナーに展開を始め、今後12ヶ月間にわたって継続していく予定だ。Venmoのようなスタンドアロンのモバイルアプリではなく、当初Zelleは参加している金融機関のそれぞれのモバイルバンキングアプリ内で利用できるようになる。

サポートする銀行のリストには、例えば以下のようなものが含まれている(アルファベット順で):Ally Bank、Bank of America、Bank of Hawaii、Bank of the West、BB&T、BECU、Capital One、Citi、Citizens Bank、Comerica Bank、ConnectOne Bank、Dollar Bank、Fifth Third Bank、FirstBank、First Tech Federal Credit Union、First Tennessee Bank、First National Bank、Frederick County Bank、Frost Bank、HomeStreet Bank、JP Morgan Chase、KeyBank、M&T Bank、MB Financial Bank、Morgan Stanley、PNC Bank、SchoolsFirst Federal Credit Union、Star One Credit Union、SunTrust Bank、TD Bank、USAA、U.S. Bank、そしてWells Fargo。

このシステムを機能させるために、Early Warningは、CO-OP Financial Services、FIS、Fiserv、そしてJack Henry and Associatesを含む、銀行業界のトップペイメント処理業者たちと戦略的パートナーシップを結んでいる。これらの合意は、Zelleをコミュニティバンクと信用組合へ拡大するのに役立つだろうと言われている。

一部の米国の銀行は既に、Zelleの基盤となっているclearXchangeネットワークを使用していた。2017年第1四半期には5100万件を超える取引がこのネットワークを流れ、取引金額の合計は160億ドルを超えた。Early Warningによれば、2016年には、このネットワークは550億ドルのP2Pトランザクションを行なったということだ。これはVenmoよりもはるかに大きい。Vemoの最近のレポートによれば、直近の四半期に於ける取引量は合計68億ドルということだ

Zelleの目標は、既存のclearXchangeネットワークを利用して、Venmoのように相手の電話や電子メールを知るだけで送金できるということを、消費者たちに周知させることだ。Venmoのように、Zelle迅速で個人的な支払いを提供しようとしている。例えば友人たちとの夕食の割り勘をしたり、ルームメイトたちから光熱費や家賃の分担金を集めたりする用途だ。

「断片化が消費者たちの欲求不満を募らせていました。一貫性のない方法が、銀行間での送金を難しくしていたのです」Early Warning ServicesのCEOであるPaul Finchは、Zelleの開始を告げる発表でこのように語った。「Zelleは背後にあるリアルタイムP2Pペイメント機構を使って、数百万人の消費者のために金融コミュニティを統合します」と彼は付け加えた。

「私たちは協力して金融から摩擦を取り除き、口座間での送金をシームレスかつ即座に行えるように努力しています。この送金革命は、現金と小切手に代わる現実的な代替手段を消費者に提供することになるでしょう」。

Zelleは銀行のウェブサイトとそれぞれのアプリで動作する。送金者が受取人の電子メールまたは電話番号と金額を入力すると、受取人は支払いを完了させる方法を説明する通知を受け取る。お金は数分後には利用可能となる。この後専用Zelleアプリも登場するだろうが、Early Warningは「数ヶ月のうちに」という以上にはっきりしたコメントは行わなかった。

Zelleが自分の銀行でいつ使えるようになるのかについては、それぞれの銀行に問い合わせて欲しい。金融機関の間で展開の状況は異なるからだ。

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(翻訳:Sako)