植物性の冷凍食品を届けるMosaic Foodsが約6.8億円調達、食餌療法を行うVCトップが高評価

植物性食品の食品企業Mosaic Foodsは、米国時間11月23日に600万ドル(約6億8000万円)のシード資金を獲得し、もっと多くの製品を開発していくと発表した。

2019年に食品の世界に登場したニューヨーク拠点の同社は、Matt Davis(マット・デイビス)氏とSam McIntire(サム・マッキンタイア)氏の2人が創業し、ピーナッツ豆腐ボウルやバターナッツ・スクワッシュ、セージパスタなどの菜食メニューのベジボウルを冷凍食品として提供している。

Mosaicを立ち上げる前のCEOのデイビス氏とCROのマッキンタイア氏は、それぞれBain & Coにいた。そこで彼らは、植物性のダイエット食品をおいしく食べて成功するためには工夫が必要で、特に肉がなくても満足できるおいしい料理が必要だと悟ったという。

Mosaic Foodsの核には、人間はもっと植物を多く食べて肉を減らすべきだという2人の信念がある。しかし彼らは、植物性の食事はおいしくないから食べないという言い訳をよく耳にする。

Mosaic Foods共同創業者のマット・デイビス氏とサム・マッキンタイア氏(画像クレジット:Mosaic Foods)

「植物を多く食べることへの言い訳をなくし、おいしくすれば、人々は植物を多く食べることを楽しみにするようになり、大きなインパクトを与えることができるでしょう」とマッキンタイア氏はいう。

また「私たちは、植物性食品をテイクアウトで注文するのと同じくらい簡単に食べられるようにしたいのです。自分たちの好きなレシピを料理することになり、最初の6品は私たちのキッチンから生まれました」とデイビス氏はいう。

Mosaicの仕組みは次のとおりだ。8食または12食のミールプランを選択、スキップやキャンセルも可能だ。朝食、昼食、夕食のオプションを選択し、冷凍庫に保存できる急速冷凍食品を受け取る。1食あたりの平均価格は4.99ドル(約570円)だ。

発売から2年で、商品数は6種類から50種類に増え、売上は15倍になった。ニュージャージー州に1万6000平方フィートのキッチンを開設し、カリフォルニア州にも出荷を拡大している。また、オートミールボウル、スープ、ファミリーミールなどの製品ラインアップを拡充するとともに、トップシェフやフードパーソナリティとのパートナーシップにより生み出された食事のキュレーションコレクション「Mosaic+」も開始した。

シードラウンドはGather Venturesが主導し、GreycroftとAlleycorpが参加した。今回の投資により、Mosaicの資金調達総額は約1000万ドル(約11億3000万円)となった。

「アダム(スルツキー)と一緒に仕事をすることは、大きなチャンスを掴むことになると思っている。資金調達で、より早く、より多くの人々に影響を与えることができるでしょう」とデイビス氏はいう。

Slutsky(スルツキー)氏はMoviefoneの創業者で、Mimeo.comの前CEO、そしてTough Mudderの元社長だ。彼は2019年にGatherを興し、植物ベースの企業だけに投資している。

ただしその部分は彼の個人的な領域で、42歳で心臓病と診断され食生活を変えさせられたことが契機だ。投資対象は自らの目と判断で選ぶため、1年に4件程度だ。

「現在、世界が便利さの追求から健康と環境とその他の倫理的価値の追求に変わりつつある。それが安価に手に入るならより良いことだ。Mozaicのメンバーはそれを行っている」とスルツキー氏はいう。

現在、従業員は40名で、東海岸を中心に全米の約50%をカバーしている(ただし、直近では7月にカリフォルニア州が加わった)。また、2021年末までに100万食の販売を達成する予定だ。

今回の新たな資金調達は、すでに配置されているチームの強化、自社キッチンの継続的な運営を含むインフラへの投資、および新製品の発売に充てられる。共同設立者らは、2022年の今頃には、DTCに加えて他のチャネルでも販売することを期待している。

画像クレジット:Mosaic Foods

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

溶かして楽しむ冷凍コーヒーのCometeerが約39.4億円を調達し、本格的に製品販売を開始

マサチューセッツ州グロスターに本社を置く「Cometeer(コメテア)」は、設立から9年目を迎えた。この間、同社はコーヒー業界に新風を吹き込むために、マッドサイエンティストのようなコーヒー科学者、機器、プロセスを構築してきた。元冷凍魚介食品工場を拠点とする同社は、瞬間冷凍する小さな「パック」で、豆の風味を損なわないようにカプセルに封入するため、数百万ドル(数億円)をかけて独自の生産ラインを構築している。これで、10倍に抽出されたコーヒーが、すぐに楽しめる。

豆を選ぶ。焙煎する。豆を挽く。水を入れる。飲む。本来コーヒーは複雑である必要はないのだが、毎年十数社の新しいスタートアップが、さえない無意味なテクノロジージャーナリストに、コーヒーの味とカフェインを注入すべく新しく革新的な方法を見つけようと躍起になっている。それらのスタートアップ企業の大半は、年末に「各社の現在の状況」記事を書こうと思う頃には消滅しているので、安心して無視していい。しかし、ひと握りの投資家が総額1億ドル(約114億円)をスタートアップ企業に投じるとなれば、どんなにコーヒーを飲んでいない記者でも、しぶしぶ爪楊枝を突っ込んでまぶたを開き、注意を払ったほうがいいだろう。

前回のラウンドは5000万ドル(約57億円)で、2020年の4月にクローズした。今回の資金調達では、D1 Capital(D1キャピタル)、Elephant(エレファント)、Tao Capital(タオ・キャピタル)、Addition Ventures(アディション・ベンチャーズ)、Avenir(アベニール)、Greycroft Partners(グレイクロフト・パートナーズ)、TQ Ventures(TQベンチャーズ)に加え、コーヒーに精通したエンジェル投資家から3500万ドル(約39億9400万円)を調達した。同社は、今回の資金調達ラウンドの評価額を公表していない。

ポッドを淹れるには、お湯または水を入れたカップにパックを入れて「溶かし」、少し待てば、新鮮なコーヒーを飲むことができる。必要なのは水、もしホットコーヒーを飲みたいのであれば、その水を温める道具だけだ。カプセルは、冷凍庫で保管すれば3年間、冷蔵庫で保管すれば3日間は新鮮な状態を保つことができる。

Cometeerのカプセルは、味を保つために液体窒素で瞬間冷凍されている。冷凍庫に入れておけば、約3カ月間鮮度を保つことができる。(画像クレジット:Cometeer)

コーヒーは、すべて豆から始まる。

「私たちの焙煎パートナーは、Cometeerのバックボーンです。優れた味の焙煎と同様に重要なのは、コーヒー農家を支援し、フェアトレードの最低価格の何倍もの公正な価格で直接取引して購入することを決めているということです」と、Cometeerの共同設立者兼CEOのMatt Roberts(マット・ロバーツ)氏は説明する。「私たちは、ユニークな背景、調達技術、焙煎スタイルを持つ、多様な焙煎パートナーのグループを構築することに注力しています。これらのパートナーとともに、コーヒー業界の脱コモディティ化をサポートしていきたいと考えています」。

Cometeerは、過去数年間で非常に大きな成長を遂げており、前回の資金調達時には12人だった従業員が120人にまで増えている。今のところ、同社は消費者への直接販売に注力している。

「今は消費者向けのサービスに注力していますが、ボストンにあるGeorge Howell(ジョージ・ハウエル)カフェでオンプレミス環境でのサービスを試したり、企業へのギフトを中心としたB2Bのコーヒーソリューションを試験的に行っています」とロバーツ氏は説明する。

同社は本日、ウェイティングリストを閉じ、クレジットカードを持っていてコーヒーテクノロジーの新境地を求める人なら誰でもこのコーヒーを入手できるようにした。カプセルは2個入りで、価格は約2ドル(約220円)だ。基本出荷量はカプセル32個で64ドル(約7300円)となる。

画像クレジット:Cometeer 

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

電子レンジで温めるだけの植物由来食品を宅配するAllplantsが59億円を調達

ベジタリアン向け食事宅配サービスを提供するAllplants(オールプランツ)は、Draper EspritがリードするシリーズBラウンドで3800万ポンド(約59億円)を調達した。英国の消費者に、家で温める、植物由来のおいしい食事を提供することを目指す。

今回のシリーズBラウンドの規模は、ヨーロッパの植物由来食品の企業としては過去最大とのことだ。

ロンドンを拠点とするAllplantsは、2018年にシリーズAで750万ドル(約8億5500万円)を、またエクイティ・クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrsを通じても資金を調達している。

同社によると、2017年の創業以来、収益は毎年2倍以上で推移しているという。

シリーズBに参加した他の新規投資家には「パーパス・ドリブン」の消費財ファンドThe Craftory、シリコンバレーを拠点とするTriplePoint Capitalに加え、イングランドの国際的なサッカー選手であるChris Smalling(クリス・スモーリング)氏とKieran Gibbs(キーラン・ギブス)氏、英国の独立系スナック菓子会社Proper Snacksの創業者でMBE(大英勲章第5位)のCassandra Stavrou(カサンドラ・スタブロウ)氏などがいる。

また、既存の投資家からFelix Capital(オートミールベースの代替ミルク「Oatly」を開発したベンチャー企業)とOctopus Venturesも参加した。

近年、欧米では、食肉生産にともなう気候変動への懸念が高まり、植物由来の代替品への関心が高まっている。

さまざまなスタートアップが肉に代わる便利な製品を幅広く開発してきた。Allplantsのような消費者に直接届ける食事や、Heuraのような植物由来の肉代替製品などの選択肢がそうだ。後者の製品はAllplantsの食品の原材料になるかもしれない。

関連記事:スペインの100%植物由来チキンのスタートアップ「Heura」が英国に進出

Alplantsは「植物由来の食品に興味がある人々」、つまりフレキシタリアンの消費者市場が急速に拡大していることが同社の成長要因だと分析する。同社によると、現在、英国だけで100億ポンド(約1兆6000億円)、先進国市場では年間1000億ポンド(約16兆円)の市場規模があるという。今のところ英国のみの展開だが、同社のウェブサイトには、世界進出も視野に入れているとある。

今回の資金は、ロンドン北部のウォルサムストウにある植物由来食品のキッチンを現在の6倍に拡張するために使用するという。急増する国内需要に対応する。

現在、同社のキッチンでは140人のシェフが24時間体制で働く。冷凍された状態で消費者に届けられるため、従来の電子レンジ食品と同様、食べる前にオーブンや電子レンジで再加熱する必要がある。

現在のメニューは、朝食、昼食、スナック、おやつ、夕食をカバーし、カレーやチリ、パスタやリゾットなど、さまざまな種類の世界の料理を提供している。肉の代替品としてはビーガンのタンパク源となる、ビーガンチーズ、豆腐、豆、ビーガンチョリソーなどが含まれている。

ユーザーは、宅配用に用意された料理の中から、1人分または2人分の量を選び、6食入りの箱を作る。

また、好みに合わせて「肉の代替品」のみの食事(いつも肉の塊がお皿にのっていることに慣れている人向け)や「最もチーズの効いた」料理(100%ビーガンのチーズを使用)のセレクションなど、バラエティに富むセットを販売している。

同社は、肉を使った食事を植物由来の食品に変えることが、環境への負荷を減らす最も効果的な方法の1つだと指摘する。植物由来の食事を週に1日増やすだけで、英国の平均的な消費者の食品からの二酸化炭素排出量を年間10%以上削減できるとしている。

さらに、シリーズBにおける計画として、他の販売チャネルへ迅速に進出する能力を構築するという。つまり長期的には、スーパーマーケットなどの小売店を含めたマルチチャネルでの販売を視野に入れているようだ。

今回の資金調達は、チームの大幅な拡大にも充てられる。料理学校で研修を受けたシェフをはじめ、オペレーション、イノベーション、マーケティング、テクノロジーなど、ビジネスのあらゆる機能に関して採用を予定している。

また、シリーズBの計画には、拡大する顧客層の好みに合わせて食事の範囲を広げることや、より幅広いカテゴリーの製品を開発することなどが含まれる。

Allplantsの創業者兼CEOであるJonathan Petrides(ジョナサン・ペトリデス)氏は、声明の中で次のように述べた。「我々が料理に関わり始めてからの5年間で、植物由来食品の需要が爆発的に増加していることを実感しています。我々には、このムーブメントをより多くの人々のキッチンに届けるためのエキサイティングな計画が多数あり、今回の投資はそれを可能にしてくれます」。

「食品の選択は非常に個人的なものです。ですから、品質と味は常に我々の最優先事項です。それが我々のすべての活動の原動力であり、顧客が妥協することなく、より多くの植物を食生活に取り入れることを可能にしています」とペトリデス氏は付け加えた。「我々は今、より多くのおいしいレシピや製品を想像して創造し、そして提供することができます。そして最終的には、植物由来の生活が我々の地球の未来にもたらす変革を加速させることができるのです」。

Draper EspritのパートナーであるNicola McClafferty(ニコラ・マクラファティ)氏は投資にともなう声明で次のように述べた。「今回の投資は、Draper Espritにとって非常にエキサイティングです。Allplantsは、今日の食品消費において最も急速に成長している複数の分野が交差する場所で、ユニークな位置にいます。消費者にとって非常に便利な方法で、味、持続性、栄養に配慮しながら高品質の植物性食品を提供しています」。

「ペトリデス氏と彼のチームは、非常に明確な価値観を持ち、信じられないほど力強い成長と忠実な顧客ベースを持ちあわせた、すばらしいブランドを確立しています。Allplantsは、消費者への直販ビジネスを拡大すると同時に、英国内および海外の新しいチャネルにも進出する可能性を秘めています。植物由来の食品に興味がある消費者に栄養、味、利便性を提供する、世界的なブランドになれると信じています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi