Apple純正ビデオクリップアプリ「Clips」、想像以上に動画編集が楽だった

SnapchatやInstagramストーリーなど、毎日のちょっとした1コマを録画してシェアするアプリが人気を博しているが、Appleも動画領域で存在感を高めていきたいようだ。3月21日、Appleは真っ赤なiPhoneなどを発表した同じ日に、誰でも簡単に楽しい動画が作れるアプリ「Clips(クリップス)」をローンチすると予告した。そして4月6日、ついにこのアプリがローンチしたので、TechCrunch Japanでも早速試してみた。

ClipsはVineみたいにクリップを撮影して、フィルターや絵文字をつけて編集できるアプリだ。Clipsでは四角い動画が撮影でき、クリップをつなぎあわせることで少し長めの動画を作ることもできる。

クリップのフィルタと文字や記号のオーバーレイ機能

アプリを立ち上げるとすぐ動画撮影画面が現れる。赤い「長押しで録画」ボタンを押すと撮影が始まり、離すと録画が止まる。クリップに適応できるフィルターはコミック風のものなど7種類あり、文字や記号、絵文字なども選んで付け加えることができる。絵文字の大きさや角度を変えるのもピンチ操作ででき、直感的だ。ただ、Instagramストーリーにあるような手書き入力の機能はない。

動画撮影の部分でClipsが他社アプリと違うのは、録音中の登場人物の発言を拾ってテキストに起こしてくれる「ライブタイトル」機能があることだ。Appleのプレスリリースによると、このライブタイトル機能は36言語に対応しているという。

しばらくClipsを使ってみたが、とにかく編集方法がわかりやすく、使いやすかった。それもInstagramストーリーやSnapchatのようにフィルターや絵文字を加えたレベルの動画編集ではなく、もう少し手の込んだ編集ができる。例えば、Clipsは動画の最初や最後、シーンの切り替え時などに使えるアニメーションをいくつか用意している。映画の最後にぴったりな「完」のアニメーションや「お誕生日おめでとう」などの画面があるので、動画の用途に合わせて選べる(文字を変えることも可能)。

タイトルアニメーションとサウンドトラック画面

クリップの並び替えもトリムの操作も簡単だ。クリップの並び替えはクリップをタップしてドラッグする。トリムは「はさみ」アイコンをクリックして、動画のタイムライン上で必要な部分を指定するだけだ。

作った動画にBGMが付けられるのも気が利いてる。右上の音符アイコンをタップして、サウンドトラックから「ポップ」「センチメンタル」「レトロ」などのテーマ別の音楽があるので、動画に合うものが選べる。ClipsはAppleのミュージックアプリとも連動していて、購入した楽曲をBGMとして選択することも可能だ。

今回はエフェクトをいろいろ試していたのもあり、この7秒程度の動画を作るのに数十分かかってしまった。使い方に慣れれば、もっと短時間で作れると思う。

完成した動画はFacebook、YouTube、LINE、Messengerなどに投稿する機能はあるが、それ以外のソーシャル機能はない。ClipsはVineやFacebookのように他のユーザーが投稿した動画を見れるようなソーシャルアプリではなく、動画編集に特化したツールと言える。その特徴は、Appleが1999年に発表したiMovieと共通しているとも言えるだろう。2000年にiMovieの新バージョンiMovie 2を発表した時、スティーブ・ジョブズは「iMovie 2により、コンシューマユーザの皆さんがご自分のMacで、より簡単にプロフェッショナルクオリティのデスクトップムービーを作ることが可能になり、作品を友人や家族、クラスメートと共有できるのです」とリリースに記している。このClipsは、今度はモバイルで手軽に楽しくムービーを作ることを可能にしたい考えのようだ。

東南アジアの技術メディア企業E27が220万ドルを調達

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シンガポールに拠点を置くメディア企業E27が300万シンガポールドル(220万米ドル)でシリーズAラウンドをクローズした。難しい時期を乗り越えた同社は、技術関連に特化したニュースサイトとイベント事業の再開発を目指す。

E27は、過去にもシードラウンドで調達を行っており、直近では昨年の夏に65万ドルを調達しているが、ここ1か月ほど新たな資金調達の話が持ち上がっていた。今回の発表は、それぞれ初期段階にある技術に従事する新しい投資家グループからの調達をE27が認めた格好だ。今回のラウンドのリードインベスターは中国拠点のTechTemple Groupであり、ほかにはこちらも中国のLinear Venture、インドネシアのConvergence Ventures、さらにシンガポールからはVenturecraftとベンチャービルダーの Spacemobの2社が参加した。

東南アジアでは、E27はニュースサイトe27.coと、長年開催されているEchelonのイベント事業で知られている。2007年創立の同社にとって、昨年レイオフやリストラを行うなど厳しい1年となった。しかし、新たに資金を調達したことでE27の共同創立者でCEOのMohan Belani氏は、全社的に新しい人材を獲得し、編集チームとイベントチームを拡大するほか、求人情報サービス、Crunchbase型のデータベース、サードパーティがバンドル化した製品を販売可能な「マーケットプレイス」などの新規事業も展開する計画を明かした。

「目的とするのは、メディアのみに限られない環境的なプレイヤーです」と、Belani氏は電話インタビューの中で語った。「当社にとってメディアは最初の足掛かりでしたが、会社が成長するにつれ課題も変化することがわかりました。E27のデータベースとマーケットプレイスが合わされば、より大きなコミュニティにサービスを提供できます。さらにイベント事業と組み合わせることで、オンラインとオフラインをバランスよくとり合わせることもできます」

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Belani氏によれば、E27は新しい投資家たちとかなり直接的にやり取りをする予定であるといい、TechTemple Groupと提携して中国でコワーキングスペースやインキュベーションサービスなどの、スタートアップを支援するさまざまなサービスを提供するイベントを開催したり、初期段階での投資に注力するConvergence Venturesとインドネシアでイベントを開催することが示唆された。同様に、ほかの投資家にも専門分野でのタイアップの可能性があるという。

「特に注力するのは、イベント事業とオンライン事業です。また、最もなじみが深く、得意としていることから東南アジアのマーケットに重きが置かれる予定です」と Belani氏は付け加え、中国やインドの技術コミュニティが東南アジアのポテンシャルに対する関心を強めている点に言及した。

E27にとって強力なライバルとなるのが、同じく編集事業とイベント事業を手掛けるTech In Asiaだ。Tech In Asiaは現在までに400万ドルを調達した昨年のラウンドを含む700万ドルを調達しており、Y Combinator出身のアジア向けのCrunchbase型の分析サービスであるTechlistなどの事業に70名以上が従事している。これら2社に加えて、東南アジアには技術ニュース専門ブログとしてDigital News AsiaDeal Street Asiaがある。

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(翻訳:Nakabayashi)