スマホでQRコードを読み取り注文できる「完全非接触自販機」が登場、キャッシュレス決済も対応

スマホでQRコードを読み取り注文できる「完全非接触自販機」が登場、キャッシュレス決済も対応

飲料向け自動販売機を手がける富士電機は、ボタンを押さずに商品を購入できる「完全非接触自販機」を飲料メーカー系の販売会社などに供給すると発表しました。

利用者は自販機に表示されたQRコードをスマートフォンで読み取ると専用Webサイトから商品を選択できます。支払いはキャッシュレス決済サービスか現金で行います。

商品選択後に商品取出口のフタが自動で開閉するため、フタに触れることなく商品を取り出せます。

同社によると、完全非接触自販機に搭載した通信端末を活用し、利用者と自販機運用事業者が双方向で通信し、さまざまな機能を提供できる自販機の開発を進めているそうです。

なお、非接触の自販機はダイドードリンコが2020年10月に発表し、社内で実証実験を行っていました。こちらは、事前にスマートフォンで決済をしなくても、足元のボタンで商品を選択したり、商品取出口のフタを開閉できる仕組みです。

(Source : 富士電機Engadget日本版より転載)

関連記事
AI自動販売機のスタートアップStockwellが7月1日に廃業、自販機業界には90%も売上が落ち込む企業も
コカ・コーラ系自販機がNFC Type A/Bに対応、VISAやMastercardでキャッシュレス決済
コカ・コーラの小規模オフィス向け簡易自販機でOrigami PayやPaidy翌月払いが可能に
コカ・コーラ自販機でLINE PayのBluetooth決済が可能に、Coke ON Pay対応を発表

カテゴリー:IoT
タグ:キャッシュレス決済(用語)販売日本(国・地域)

Greenstopが大麻自動販売機をカリフォルニアの大麻販売薬局に設置

大麻(カナビス)は、カリフォルニアの一部のディスペンサリー(大麻販売薬局)の自動販売機で買えるようになった。カリフォルニアを拠点とするGreenstop(グリーンストップ)が開発したこのセルフサービス式売店は、現地の規制に準拠しつつ、同時に4人までが利用できる。この販売機の登場は、まさに最高のタイミングだった。

新型コロナウイルス禍において、カナビスはカリフォルニアには欠かせないビジネスと考えられており、このシステムは、利用者と販売員の双方の安全を保つソリューションをディスペンサリーにもたらした。しかも、私のような内向的な人間は、Budtender(バテンダー、カナビスの相談販売員)と話をしたくないときでも、ただ行って買って帰って来られる。購入は数秒で済むと、Greenstopの幹部はTechCrunchに話した。

Greenstopはこれを「スマート・ディスペンサリー」と呼び、この自動販売機をスーパーのセルフ会計レジのようなものと位置づけている。この場合、店員、つまりバテンダーは、客の身分証を確認し、必要ならば相談に応じた後に販売機のアクセスを許可するという販売の監視を行うことになる。この監視役の店員を配置するればディスペンサリーは規制をクリアして、販売機を導入して運用できるようになる。

Greenstopは2015年、Timothy Island(ティモシー・アイランド)氏とJames Edwards(ジェームズ・エドワーズ)氏が創業し、自己資金で運営してきた。2018年にはプロトタイプを発表している。2020年9月現在、製品をローンチした同社は、10人の従業員を擁し、まずはロサンゼルスで、次にカリフォルニア全土、ゆくゆくは全米に事業を拡大する資金として500万ドル(約5億3000万円)の調達を目指している。

スマート・ディスペンサリーは、ローンチ時点で2カ所に設置された。カリフォルニア州マリーナ・デル・レイのMarina Caregivers(マリーナ・ケアギバーズ)と、カリフォルニア州エンシノのThe Healing Touch(ザ・ヒーリング・タッチ)だ。1台で同時に4人に対応できるため、小さなディスペンサリーなら1台導入するだけで、新たにバテンダーを雇わなくても販売能力を高めることができる。

画像クレジット:Greenstop

当初、Greenstopのマシンは、速度のことだけを考えて開発されていた。ビールの6本パックを買うときのように、店に入って大麻を買って出てくるまでの時間をできるだけ短くすることに注力していた。しかし、共同CEOのティモシー・アイランド氏は、開発途中で別の利点を発見したとTechCrunchに話している。

「セルフサービスでは、買うときに自分が運転席に座っている感覚になれるのです」とアイランド氏。

Greenstopのマシンには完全にインタラクティブなディスプレイが備えられていて、ディスペンサリーは、リッチメディアを用いてすべてのメニューを更新できる。客はゆっくり時間をかけて、カナビスの系統や品種に関する説明を読むことができる。ディスペンサリーで人と話さずにこの種の情報を得るのは、これまでは不可能だった。

もうひとつは、販売機なので人の体に触れることなく買い物ができるという点だ。同社は、新型コロナが流行している間は、臨時のアクリル遮蔽板を設置して、ソーシャルディスタンスの確保に務めている。

共同CEOのアイランド氏とエドワーズ氏は、将来的にモバイルアプリを立ち上げ、モバイル機器で情報を調べたり、注文ができるようにしたいと考えている。

現在、Greenstopは、ディスペンサリーとの共同ブランドでマシンを展開している。双方のブランドを表に出すことで、客には合法的な購入であるという安心感を与え、同時にGreenstopの知名度を高めることができる。

まずはロサンゼルスで力をつけ、その後、周辺地域に拡大させてゆく考えだ。いずれは、カリフォルニアと米国全土のディスペンサリーに導入されることを期待している。2人の共同CEOは、同社はディスペンサリーを経営しているわけではなく、販売用製品のメーカーであるため、他州に素早く移動できるのだと説明していた。

共同CEOのエドワーズ氏は、同社の製品は新型コロナウイルス禍の影響で注目度が高まっていると話す。「全国的にバテンダーと話をしなければカナビスが買えないことになっているので、多くの人がバテンダーと話さずに買えることを願っているのです」

彼は正しい。一部のディスペンサーでは、そのために長い行列ができてしまう。ソーシャルディスタンスが求められる中では、空間は大変に貴重だ。

新型コロナウイルスは、Greenstopに他にはない好機をもたらした。人々が感染蔓延に見舞われる中で、カナビスの人気は急上昇している。ソーシャルディスタンスは社会的な義務になりつつある。2020年のこの最悪の事態を少しだけ和らげようと、Greenstopの製品は作られ、次の展開を待ち構えている。

TechCrunch Disrupt 2018より

【Japan編集部注】大麻は米国ではカリフォルニア州など一部の州、カナダ、オランダなどでは全土大麻取締法で規制z禁されているが、日本では大麻取締法で規制されており、所持することは違法となる。
画像クレジット:Greenstop

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

AI自動販売機のスタートアップStockwellが7月1日に廃業、自販機業界には90%も売上が落ち込む企業も

鳴り物入りで登場したStockwell AI(ストックウェル・エーアイ)は、涙の退場が決まった。2017年に元Google社員によって設立され、生を受けたときはBodega(ボデガ)という社名だったこのAI自動販売機のスタートアップは、家族経営の小さな商店を悪く言い、無残にも一撃でそうした店舗を叩き潰しては大金を手にするというそのやり方(未訳記事)が、とても嫌われた(The Washington Post記事)。結局のところ同社は、新型コロナウイルス(COVID-19)と、それが私たちの生活に与えた影響に対処できなかった。

TechCrunchが調査し確認したところでは、Stockwellは2020年6月末で廃業することになった。コンビニと同じ商品を販売する屋内型のアプリ操作式「スマート」自動販売機は、儲かるビジネスにつながらなかったようだ。

「まことに遺憾ながら、今般の状況により事業の継続が困難となり、7月1日をもって弊社は廃業することとなりました」と共同創設者でCEOのPaul McDonald(ポール・マクドナルド)氏はTechCrunch宛の電子メールで述べている。「私たちはこの事業を可能にしてくれた有能なチーム、素晴らしいパートナーと投資家、そして称賛すべきお客様に深く感謝します。このような形で旅を終えるのはまことに残念ですが、人々の生活の場、職場、遊びの場に店を置くという私たちのビジョンは、他の優れた企業、製品、サービスの中で生き続けるものと確信しています」。

もともと我々は、同社の廃業に関する電子メールを受け取った人物からの内報を受けて取材を行った。Stockwellの販売機は主にアパートやオフィスビルの中に設置されているが、先週、それらの顧客に同社からの廃業の知らせが届いた。

Stockwellを利用しているあるビルの運営会社は、Stockwellに代わって商品の補充をしてくれる業者を懸命に探しなんとか使い続ける道を見つけたそうで、これにはいくぶん慰められるが、厳しいことを言えば、今は売り上げが最大で90パーセントも落ち込む業者が出るほど、自動販売機業界にとって過酷な時期だ。

Stockwellの廃業は、現在の状況では頼れる支援者を数多く有し潤沢な資金があったとしても、誰もが必ず試練を乗り越えられるわけではないと再認識させてくれた点で意義深い。

2019年9月の時点で、Stockwellは少なくとも4500万ドル(約48億3000万円円)の投資をNEA、GV、DCM Ventures、Forerunner、First Round、Homebrewなどから調達していた。そのネットワークは1000カ所もの「ストア」に拡大していた。同社のスマート販売機は、ホテルの冷蔵庫を進化させたようなものだ。取り出した商品はセンサーが認識し、利用者は購入履歴の確認や支払いがスマートフォンで行える。

2019年秋まで、同社はそのビジネスモデルの拡大を目指して準備を進めていた。ビルやオフィスやアパートなどに置かれたStockwellの自動販売機で買える商品について、もっと利用者の意見を受け入れられるようにするというものだ。それは、水や清涼飲料水の他、おつまみ系のスナックや甘い菓子類、洗濯洗剤や鎮痛剤などの生活必需品に至る。

12月にマクドナルド氏の共同創設者であるAshwath Rajan(アシュワス・ラジャン)氏が静かに同社を去り、2020年が幕を開けると当時に新型コロナウイルスの影響が出始めた。

まずは利用者が自宅で仕事をし、家で過ごすようになった。外出が減り、買い物を最小限に抑えるためにまとめ買いをするようになった。そのため、気楽に少量の買い物ができるというStockwellなどの自動販売機の典型的なビジネスモデルに基づく事業の存続が困難になった。

次に感染拡大を抑えるための多くの人がマスクを着用し手洗いを徹底して、やたらと物に触らないように努める中で、人の手を離れた自動販売機をどうやって適切に消毒するのかという大きな問題が浮かび上がった。それは自動販売機の利用を減らしただけでなく、自動販売機に商品を補充したりメンテナンスをする業者にも重大な影響を及ぼした。

自動販売機業界の新型コロナウイルス対応には、おもしろい工夫が見られた。一部の企業は、商品をブレッツエルやスニッカーズから個人用防護具に変更した(Las Vegas Review-Journal記事)。またある業者はこの大変な時期に、簡単に栄養を摂取する方法がない最前線で働く人たちのために健康食品を販売する機会を探っている(EATER記事)。

だが全体的に、自動販売機業界はパンデミックの影響を大きく受けることになった。

通常の年であれば、この大きな市場の価値は年間300億ドル(約3兆2000億円)ほどと見積もられている(Grand View Research記事)。それが、Stockwell(旧Bodega)が投資家の目に留まった理由のひとつだ。しかし、数々の重大な要因が重なり、同社の事業は崖から転落してしまった。

2020年4月にEuropean Vending Association(欧州自動販売機協会)の会長は、政府高官に資金援助を求めた訴えの中で、取引高は最大90パーセント落ち込み、この分野に新型コロナウイルスが「壊滅的な影響」を与えていると説明している( FoodBev Media記事)。世界中のPepsi(ペプシ)やMondelez(モンデリーズ、旧Kraft)にとっても厳しい数字だが、若く有望でありながら当初から疑問を持たれていたAIベースの自動販売機スタートアップには、これが致命傷となったようだ。

画像クレジット:Bryce Durbin
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)