Instagramがサービス停止時にアプリ内でそれを通知する機能をテスト中

Instagram(インスタグラム)はプラットフォームの停止や技術的な問題が発生したときにユーザーに通知する機能をテストする。通知はユーザーのアクティビティのフィードに表示される。同社は、停止するたびにユーザーに通知を送るわけではないが、ユーザーが「混乱し答えを求めている」と判断される場合に、通知によって状況を明らかにすることができるかどうかを判断するとしている。

今回の発表の少し前である日本時間10月5日にFacebookとその傘下のサービスが長時間の停止に見舞われ、日本時間10月9日にも短時間停止した。Instagramは、この2回の停止は設定の変更に起因するが関係はないと説明している。

関連記事
フェイスブック、Messenger、Instagram、WhatsAppなどすべてがダウン中、DNS障害が原因か
フェイスブックとInstagramが再びダウン(30分ほどで復旧)

Instagramはブログの投稿で「コミュニティとの対話や広範囲にわたる調査を通じて、Instagramで一時的な問題が発生した際にどの程度の混乱が生じるかを把握しました。エンゲージメントや配信に影響を及ぼす際には、利用者がその問題は自分だけに起きていて自分の投稿のせいだと考える場合があることもわかりました。このように不明確な状況はいらだたしいことであるため、我々が状況を直接伝えて簡単に理解していただけるようにしたいと考えました」と述べた。

自分側の問題でアプリが動作しないのではないかとユーザーが心配しなくて済むようになるので、この新機能がアプリに追加されることは歓迎だ。Instagramはこの新しいテストを米国で今後数カ月間実施する。同社は、この機能の有効性を確認するために少人数から始めてその後対象ユーザー数を増やしていくとしている。

画像クレジット:Instagram

Instagramは「アカウントのステータス」という新機能も発表した。これは自分のアカウントが無効になる危険性があるかどうかを簡単に確かめる機能だ。同社によれば、この新しいツールは「自分のアカウントがどういう状態かを確かめるためのワンストップショップ」になるという。Instagramが誤って自分の投稿を削除したと考えるユーザーは、このツールですぐに「レビューをリクエスト」を選択してアピールすることができる。

Instagramはこのツールにさらに情報を追加し、自分のコンテンツがアプリのさまざまな部分でどのように配信され、おすすめされているかをユーザーが把握できるようにする計画だ。同社は、この2つの新機能について今後さらに情報を共有していくとしている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

コラム】消費者の同意を取り付けるためだけのプライバシー通知をやめませんか?

編集部注:本稿の著者Leif-Nissen Lundbæk(レイフ-ニッセン・ルンドベック)氏は、Xaynの共同設立者兼CEO。専門はプライバシー保護を目的としたAIだ。

ーーー

「プライバシー」は誰もが気にする言葉であり、大手テック企業でさえもこの問題に取り組んでいる。最近では、Apple(アップル)がiOS バージョン14.5の要(かなめ)として「App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性)」というユーザーのプライバシー保護機能を導入した。2021年の初めには、同社CEOのTim Cook(ティム・クック)氏が、プライバシーについて気候危機と同等に言及し、21世紀の最重要課題の1つとしている。

Appleの対応は、正しい方向への強い働きかけであり、強力なメッセージとなっているが、これで十分なのだろうか?表面上は、消費者はアプリによる追跡方法について通知を受け、希望すれば追跡を制限したりオフにしたりすることを選択できる、ということになる。ソ連の風刺作家イリフ=ペトロフの言葉を借りれば「溺れる者を救う方法は、溺れる者自身が知っている」(風刺小説『12の椅子』の「溺れる者は、自分が救え」をもじったセリフ)とでもなるだろうか、歴史的に見ても、あまり良い結果を生む仕組みとはいえない。

今日、ネット上の消費者は、大量に表示されるプライバシーポリシー、Cookieのポップアップ、ウェブやアプリのさまざまなトラッキング許可に、まさしく溺れている。新しい規制はプライバシーの開示に関する同意の収集義務を増やすだけで、これには多くの企業が喜んで応じている。そして企業は情報管理の負担を消費者に押し付けている。消費者側は、大量の情報に1つ1つ目を通すことは合理的、経済的、主観的な観点から割に合わないので、これを盲目的に受け入れるしかない。責任を背負わされた消費者を救う選択肢はただ1つ……プライバシー通知を廃止することだ。

通知は見過ごされている

調査によれば、ネット上の消費者は往々にして「よくある」通知に悩まされている。ネットユーザーの大多数は、ウェブサイトに「プライバシー通知」または「プライバシーポリシー」という文書があれば、その企業は自分の個人情報を収集、分析、または第三者と共有しないはずだと期待している。同時に、大多数の消費者は、トラッキングやプライバシーを無視した広告のターゲットにされることに深刻な懸念を抱いている。

オンラインビジネスやプラットフォームの多くは、消費者に理解してもらうためではなく、消費者の同意を取り付けるために、プライバシーに関する通知やその他のデータの開示を行っている。

プライバシーの二重苦のようなものだ。消費者はプラットフォームを利用するために、プライバシーに関する通知を受け入れる必要がある。同意すると、トラッキングやプライバシーを無視した広告を許可することになる。同意する前にプライバシーポリシーを事細かに読めば、貴重な時間を無駄にすることになり、面倒で苛立たしい。Facebookのプライバシーポリシーが、ドイツの哲学者イマヌエル・カントの「純粋理性批判」のように難読なものだとしたら、それは問題だ。結局のところ、プライバシーに関する通知を拒否するという選択肢は形式的なものに過ぎず、プライバシーポリシーに同意しなければ、プラットフォームにアクセスできない。

このようなプライバシー通知にはどのような意味があるのか?企業にとっては、データ処理を正当化するという意味がある。一般的に、今のようなプライバシー通知は弁護士が弁護士のために作成した文書であり、実際のユーザーの利益は完全に無視されている。このような文言は誰も読まないとわかっているので、意図的に難解な文章にしたり、あらゆる種類のくだらない文章、あるいはおもしろおかしく本音を書き込んだりしている企業もある。

通知の中でユーザーの不滅の魂と永遠の命の権利を主張した企業もあった。一方、消費者にとっては、プライバシー通知への同意を押し付けられるのは面倒なもので、データの安全性について誤った認識を抱かせることにもつながる。

万が一、プライバシーに関する通知があまりにも不愉快なもので、消費者が別のプラットフォームに移動することがあっても、本当の解決策にはならないことが多い。ネット上ではデータの収益化が主流のビジネスモデルとなっていて、個人情報は最終的に同じ大手テック企業に流れる。たとえ消費者が直接的には彼らのプラットフォームを利用していなくても、代替のプラットフォームの多くは、プラグイン、ボタン、Cookieなどで大手テック企業とつながっているのだ。抵抗しても無駄なのだろうか。

旧態依然の規制の枠組み

もし企業が、誰も読まないような不透明なプライバシー通知を意図的に作成しているとして、立法者や規制当局が介入したら、消費者のデータプライバシーを改善することができるだろうか?うまくいったケースは歴史的にも見当たらない。デジタル化が進む前の時代でも、法律家は契約前に多くの情報を開示する義務があり、消費者はアパートを借りたり、車を買ったり、銀行口座を開いたり、住宅ローンを組んだりする際に、大量の書類に記入する必要があった。

特にデジタルの分野では、法律は後手に回り、技術の発展に大きく後れをとっている。EUでは、Google設立から20年、Facebook設立から10年を経て、包括的な法律である「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation、GDPR)」を制定したが、いまだに横行するデータ収集行為を抑制できていない。これは、より大きな問題の一部にすぎない。今日の政治家や議員はインターネットを理解していないのだ。インターネットの仕組みを知らないのに、どうやって規制するというのか。

米国やヨーロッパの議員の多くは、ハイテク企業がどのように運営され、ユーザーデータでどのように収益を上げているのかを理解していない、あるいは(さまざまな理由で)理解していないふりをしている。議員たちは、自分たちで問題に取り組むのではなく、企業に「明確で理解しやすい」言葉でユーザーに直接通知するよう要求している。これは自由放任主義という名の無責任だ。

このような姿勢のせいで、私たちは、オンラインデータのプライバシー、プロファイリング、デジタル個人情報の盗難といった21世紀の課題に、古代ローマの法論理である「同意」を用いて戦うことを強いられている。ローマ法を非難するわけではないが、マルクス・アウレリウスにはiTunesのプライバシーポリシーを完全に読む必要はなかった。

オンラインビジネスや主要なプラットフォームでのプライバシーに関する通知やその他のデータの開示は、消費者にわかりやすく説明するのではなく、同意を得ることを目的としている。そうすることで、データフローを維持し、プライバシーに関する形ばかりの姿勢を示す機会があったときには、すばらしいアピールができる。とはいえ、消費者はこのでっち上げに気づきつつある。そろそろ変化が必要だ。

企業に真っ当な姿勢を求める声

ここまで、消費者がすべての「法律用語」を理解することは困難であり、理解したとしてもどうしようもないことを説明してきた。また、立法者にはテクノロジーを適切に規制するための知識やモチベーションが足りていないことも指摘した。ネットユーザーの多くが不満と苛立ちを表している今、デジタル企業は自らが行動を起こすべきだ。データプライバシーが21世紀の最大の課題の1つであるならば、一致団結した行動が必要だ。世界中の国々が二酸化炭素の排出量を減らすことを約束したように、企業も団結して消費者のプライバシーを守ることを約束しなければならない。

そこで、大小すべてのテック企業にお願いしたい。プライバシー通知の因習を捨てて欲しい。潜在的な法的請求から自社を守り、ユーザーの個人情報を収集し続けることを目的として、ほとんどの消費者が理解できない文章を書かないで欲しい。消費者に向けた、誰もが理解できるプライバシー通知を書いて欲しい。

文章だけでなく、行動も大切だ。個人データの収集や処理に依存しない製品を開発しよう。個人データの収集や処理に頼らない製品を開発し、インターネットのオープンソースやプロトコルのルーツに立ち返り、大手テック企業や広告主ではなく、自社のコミュニティに価値を提供しよう。これは可能であり、収益性があり、やりがいもある責務である。

関連記事
物議を醸すWhatsAppのポリシー変更、今度はEUの消費者法違反の疑いで
プライバシー重視の風潮に乗りユーザーの「同意」を管理するDidomiが好調
ニューヨーク市で生体情報プライバシー法が発効、データの販売・共有を禁止

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラムプライバシー通知透明性

画像クレジット:

原文へ

(文:Leif-Nissen Lundbæk、翻訳:Dragonfly)

アップルがiOS 15で「通知」を改良、新機能「フォーカス」「サマリー」でよりパーソナライズなものに

iOS 15へのアップデートの一環として、Apple(アップル)はiPhoneユーザーが現在のステータスに基づいて、着信、メール、アプリからのアップデートに関してその通知方法をさらにカスタマイズできるようにする。新機能「Focus(フォーカス)」では「Do Not Disturb」で通話や通知を遮断するだけでなく、運転中、仕事中、睡眠中などのステータスに応じて、さまざまな種類の通知設定が行えるようになる。

また、システムに搭載されたAIが、その時のユーザーの状態を判断。例えば、ジムに到着したら通知をオフにするよう提案するといったことも行う。

新機能の「Focus」では、いつ、どのように通知を受けたいか、通知の方法とタイミングをカスタマイズできる。例えば、同僚やメール、カレンダー、Slackなどのアプリからのみ通知を受けるように設定可能だ。また、ホーム画面上をFocusに合わせたページにして、仕事用アプリだけを表示させて、アプリやウィジェットを整理し誘惑を減らせる。また、Focusを使用することですべてのAppleデバイスにも同期されるとAppleは説明している。

通知機能も新しくなり、連絡先の写真が表示され、アプリのアイコンが大きくなり識別しやすくなる。

2019年、Tim Cook(ティム・クック)氏は、自身が多くの通知をミュートにしていたことを認め「Appleは、ユーザーの使用時間をできるだけ長くしたいと思ったことはない。私たちはそのようなことをしたことはない」と述べたのは有名だ。しかし我々はこれに反論し、Appleはリアルタイムではなく、スケジュールに沿って通知を配信するシステムを設計することができたはずだと述べた。

関連記事:「iPhoneを使い過ぎないで」とティム・クックCEOが忠告

また、Appleは「Notification Summary(通知サマリー)」という機能を搭載する。この機能は受信した通知を時間帯などに応じてまとめ、優先順位をつけて表示する。このサマリーは、朝や夜など、任意の時間に配信されるようにスケジュールできる。

Appleによると、ユーザーのアプリケーションの使い方に基づいたデバイスインテリジェンスを使って、この「まとめ」をアレンジし、すばやくキャッチアップしやすくするという。サマリーでは、最も重要な通知が、あまり重要でない通知の上に表示される。

画像クレジット:Apple

もう1つの変更点は「Do Not Disturb(おやすみモード)」がiMessageに直接統合されたことだ。これにより、着信音に煩わされたくないとき、他のユーザーもそれがわかるようになる。

おやすみモードを使用しているときには、iMessageにそのステータスが自動的に表示されるようになる。また、本当に緊急なメッセージの場合であれば、連絡できる方法はあるとAppleは説明している。

また、時間帯ごとに大きなブロックとして説明文を送るように設定することも可能だ。これまでのiOSバージョンと比べて、ロック画面の通知がよりインタラクティブなものになる。

これらの機能は、ユーザーに合わせてスマートフォンをよりパーソナライズすることに関わるもので、何年も前にAndroidデバイスで人気を博した、AviateEverythingMeといった自分の行動や時間帯などに応じてデバイスをカスタマイズするスマートランチャーを思い起こさせる。Appleは、サードパーティ製のアプリが自社のモバイルOSと深く統合したり、デバイスのホーム画面を再設定することを許可していないため、これらのアプリはiOSでは普及することはなかった。

しかし、最近のAppleは、ウィジェットや「Siriからの提案」の導入など、ユーザーの好みをより反映させるためにiPhoneをカスタマイズしており、ホーム画面上におすすめのアプリをウィジェットで表示することもできるようになっている。

関連記事
アップルがmacOS 12 Montereyを発表、PCとタブレットのギャップを埋める
アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入
アップルのiOS 15新機能「Live Text」は写真内の文字を自動認識してテキストデータ化

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15iPhone通知

原文へ

(文:Brian Heater、Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルがiOS 15発表、「つながり続ける」「集中する」といった4つの柱を掲げFaceTime、通知などの新機能満載

Apple(アップル)は開発者会議「WWDC 2021」のバーチャル基調講演において、2021年後半にリリース予定の次期メジャーバージョンであるiOS 15の詳細を初めて公開した。2021年のリリースでは「つながり続ける」「気を散らさずに集中する」「インテリジェンスを活用する」「世界を探索する」という4つの柱を掲げている。

ソフトウェアエンジニアリング担当SVPのCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏は、次のように述べた。「多くの人にとって、iPhoneは必要不可欠なものとなっています。当社の新しいリリースはiOS 15です。大切な人とのつながりを大事にしたり、気を散らさずに集中できる空間を見つけたり、インテリジェンスを活用して必要な情報を見つけたり、自分の周りの世界を探索したりするなど、あなたのiPhoneの使い方にiOS体験を適応させ、補完する機能が満載です」。

FaceTimeにさまざまな新機能が加わり進化

Appleは、FaceTimeに空間オーディオを追加すると発表した。これにより、スクリーン上の友人・家族の位置に応じて声が広がるようになる。例えば、誰かの顔が左に見える場合、あなたの耳には彼らが左側にいるように聞こえる。FaceTimeの他のニュースとして、iOSはバックグラウンドノイズを検出し、友人や家族の声がより聞き取りやすくなるようにノイズを抑制するようになる。これはオプション機能で、例えばFaceTime通話中にコンサートを見せている場合などには、この機能を無効にすることができる。

もう1つのFaceTime機能は「ポートレートモード」だ。これは、ポートレートモードの写真のように、背景を自動的にぼかすことができるというもの。また、仕事の会議などでFaceTimeを使いたい場合、FaceTimeリンクを作成してカレンダーの招待状に追加することができるようになる。FaceTimeはウェブブラウザでも動作するため、Appleデバイスを持っていないユーザーでもリンクを通じFaceTimeの通話に参加できる。これらの機能により、FaceTimeはZoom(ズーム)やGoogle Meet( グーグル・ミート)などの他のビデオ通話サービスとの競争力を高めることになる。

Appleは「SharePlay」機能も発表し、FaceTimeに注力していることを示した。この同時再生機能を使うことで、FaceTimeで会話をしながら同じ曲や楽曲リストを一緒に聴くことができる。Apple Musicで再生ボタンを押すと、通話中の全員のデバイスで音楽が始まる。キューは共有されるので、参加している誰でも曲の追加や次の曲へのスキップなどが可能だ。

SharePlayでは、映画やテレビ番組を一緒に見ることもできる。通話中の誰かがビデオを開始すると、他の参加者のスマホやタブレットでも同じビデオが始まる。また、AirPlayやピクチャー・イン・ピクチャー(PIP)など、iOS動画に期待されるすべての機能に対応している。

これは、Apple TVアプリ内のビデオとの互換性だけではない。Appleは、動画をSharePlayに対応させるためのAPIを用意すると述べている。現在のパートナーは、Disney+、Hulu(フールー)、HBO Max、Twitch、TikTok(ティクトック)など。初期パートナーのスクリーンショットは下図のようになっている。

さて、Messages(メッセージ)に話を移そう。メッセージアプリは「News」「写真」「ミュージック」など、他のApple標準アプリとの連携が強化された。メッセージで共有されたアイテムは、これらのアプリに共有されたコンテンツとして表示される。つまり、メッセージ(およびiMessage)は、Appleアプリの上にあるソーシャルレイヤーとして機能するのだ。

新しい通知サマリー、フォーカスモード

Appleは、オンデバイスのインテリジェンスを使って通知のサマリーを作成する予定だという。これにより通知は、現在のようにアプリ別、日付別ではなく、優先度別に並べられる。例えば、友だちからの通知はトップに近い位置に表示される。

通知をサイレントモードにすると、iMessageの連絡先には、あなたが「Do not disturb(おやすみモード)」を有効にしていることが表示される。この機能はSlackの「Do not disturb」と少し似ている。しかし、新しい設定がある。Appleはこれを「Focus(フォーカス)モード」と呼んでいる。通知を受け取りたいアプリや人を選び、自分がその時していることに応じてフォーカスを変えることができるというものだ。

例えば仕事中であれば、個人的に使うアプリや個人的な電話・メッセージをサイレントにすることができる。逆に週末であれば、仕事のメールの通知をサイレントにできる。複数のAppleデバイスを持っている場合は、設定がiCloudアカウント間で同期される。さらに、モードによりアプリやウィジェットの表示・非表示を切り替えて、ホーム画面にも変化を与えられる。

新しいスマート機能

Appleは、あなたの写真をスキャンしてテキストを探す機能を導入する。「Live Text(ライブテキスト)」と呼ばれるこの機能により、ユーザーは写真の中のテキストをハイライトしたり、他のアプリにコピー・ペーストできるようになる。iOSはその情報をSpotlight(スポットライト)機能に活用する予定だ。ハイライトした写真の中のテキストは、Spotlightで直接検索することができる。これらの機能はデバイス上で直接処理される。

iOS 15では、Memories(メモリー)機能がアップグレードされる。「この新しい『メモリー』は、その場で生成されます。インタラクティブで、生きています」と、写真エンジニアリング担当シニアマネジャーのChelsea Burnette(チェルシー・バーネット)氏は語った。メモリーは、写真アプリで見ることのできるインタラクティブなムービーだ。今回、指でタップしてムービーを一時停止できるようになった。バックグラウンドでは音楽が流れ続け、指を離すとフォトモンタージュが再開される。

また、メモリーに合わせて特定の曲を検索できるようになる。写真アプリの新機能は、今後詳しく見ていきたい。

Wallet、天気、マップ

Apple Walletのすべての機能をおさらいした上で同社は、将来IDをスキャンしてWalletに保存できるようになることを発表した。これは(米国の)参加しているいくつかの州で利用可能になっていくとのことで、ゆっくりとした展開になるだろう。政府のサービス(空港の保安検査など)がIDから何らかの情報を必要とするとき、ユーザーはiPhone上で直接そのサービスとデータを共有することを選択できるという。

天気アプリに関して言えば、Appleが買収した人気の天気予報アプリ「Dark Sky」にあった機能の多くが含められアップデートされた。新しいデザインと、より多くのデータが期待される。

Apple Maps(マップ)については、新しい地図データがいくつかの国で展開されたところで、同社はまだ欧州でロールアウトしている最中だ。Appleはサンフランシスコなどの一部の地域に、大量の新しい詳細情報を追加した。バスやタクシーのレーン、横断歩道、自転車レーンなどを見られるようになった。高速道路では、複雑なインターチェンジを3Dで見ることができる。これらの機能は、2021年後半にCar Play(カープレイ)でも提供される予定だ。

公共交通機関を利用するユーザーは、お気に入りの路線をピンで固定して、Apple Watchで情報を見ることができる。地下鉄やバスに乗っているときは、リアルタイムで自分の位置を確認できる。また(地域によっては)、携帯電話を目の前にかざすと、AR(拡張現実)で道案内をすることも可能になる。

AirPodsソフトウェアアップデート

Appleは、AirPodsも持っているユーザーのために、多くの新機能を発表した。新しい会話モードでは、スマートな補聴器として会話の音量を上げることができる。また「通知をアナウンスする」設定を有効にしていれば、より多くの通知をAirPodsで受け取ることができる。その設定を微調整することで、特定のアプリに限定したり、フォーカスモードに応じて変更することができる。

また、AirPodsがケースに入っていても、オーディオ通知付きのFind My(探す)アプリでAirPodsを探すことができる。空間オーディオは、M1チップを搭載したApple TVとMacに搭載される。数週間前に発表されたように、Apple Musicの空間オーディオは現在利用できる。

ご覧の通り、iOS 15には新機能が満載されている。Appleは本日(米国時間6月7日)、最初のリリースとなる開発者ベータ版を発表すると思われる。公開ベータ版はその後にリリースが見込まれる。夏の間はベータ版のアップデートが行われ、2021年9月に最終版がリリースされることになる。

関連記事
アップルがmacOS 12 Montereyを発表、PCとタブレットのギャップを埋める
アップルが動画や音楽をバーチャル共同視聴できる新機能「SharePlay」をiOS 15で導入
アップルのiOS 15新機能「Live Text」は写真内の文字を自動認識してテキストデータ化

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiOS 15iPhoneFaceTimeiMessageApple Wallet天気Appleマップ拡張現実AirPods通知

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)