Amazonがドラマ番組を巡りインドで異例の謝罪

米国時間3月2日、Amazon(アマゾン)は同社のオリジナル政治ドラマの9回からなるミニシリーズでいくつかのシーンが一部のインドの人たちの宗教心を傷つけたという抗議について、同国ユーザーに異例の謝罪を行った。

Tandav」というそのドラマシリーズは、ヒンドゥー教の神と女神の描写を巡りインドの一部の人々(与党バラティヤジャナタ党員を含む)から批判を浴びた。

「Amazon Prime Video Apologizes(Amazonプライムビデオからのお詫び)」と題したそのメッセージでAmazonは「一部の場面で視聴者に不快感を与えたことを深くお詫びいたします」と謝罪し、視聴者から懸念について報告を受けた後、当該シーンを編集あるいは削除したと語った。

「当社は視聴者方の多様な信仰を尊重し、該当するシーンに傷つけられた方々には無条件にお詫びいたします。私たちのチームは会社のコンテンツ評価プロセスに沿って行動しており、視聴者へのサービス向上のためにこのプロセスの改訂に務めていく必要があることを認識しております。今後もパートナーとともにエンターテインメント性のあるコンテンツを開発しつつ、インドの法律に則り、視聴者の文化と信仰の多様性を尊重していく所存です」。

Saif Ali Khan(サイーフ・アリ・カーン)氏をはじめとするインドのトップ俳優陣が出演するこのドラマは、1月中旬の放映開始直後から議論と刑事告発を招いた。最近になってAmazon Prime Videoの上級幹部が当局の調査を受けたことで事態は激化した。

Prime Videoはインドで数百万人の会員を集め、DisneyのHotstarやNeftflix、Times InternetのMX Playerはじめ何十ものストリーミングサービスと競合している。Amazonはここ数カ月、インドにおいてPrime Videoを一層積極的に展開している。最近になってより低価格なサブスクリプションプランを導入し、クリケットの試合をストリーミングする権利を取得した。

同日のAmazonによる異例の謝罪は、インド政府がオンデマンドビデオストリーミングサービスおよびソーシャルメディアの会社に対する新たなルールを発表した数日後のことだった。

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これまでAmazon Prime Videoなどのストリーミングサービスは、インド国内でコンテンツ内容についてさほど心配する必要がなかった。しかし、新しいルールによってそれが変わりつつある。

「コンテンツのこのカテゴリー分類では、さまざまな種類の作品で起こりうるカースト、人種、性別、宗教、身体障害、性的指向などの事象が不快を与える可能性を考慮にいれ、分類の決定には与える影響の強さも勘案する」と新ルールは言っている。

TechCrunchが最近書いたように、政治的ドラマとインドのストリーミングサービスに対する新たなルールを巡る議論は、Amazonが65億ドル(約6940億円)以上を投入しているインド市場で直面してる課題のごく一部でしかない。

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2021年2月、インドで数百万の実小売店舗を仕切っている有力業社団体が国からAmazonを排除するようインド政府に働きかけたReuters(ロイター)の調査によって、米国のeコマース団体がインドの小さな小売業者グループを優遇し、その結びつきの事実を曲げて伝えることで国内の海外投資ルールを回避したことが明るみに出たのを受けたものだ。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

主要ストリーミングコンテンツ横断調査の結果、2020年人気1位は「ジ・オフィス」

ストリーミングサービスは視聴者数データを一部しか公表せず、会社によって測定方法も違うため、ストリーミングの番組や映画の人気を直接比較するのは難しい。

そこで、伝統的テレビ番組の視聴率(レーティング)を提供している(そしてその視聴率をストリーミングデータと統合しようとしている)Nielsen(ニールセン)は、同じ土俵で比較を行うべく、Netflix(ネットフリックス)、Amazon Prime(アマゾン・プライム)、Disney+(ディズニープラス)、Hulu(フールー)を横断した2020年人気ストリーミングコンテンツの独自ランキングを米国時間1月13日にCES 2021で発表した。

データは米国での視聴に限られる。Nielsenの従来型テレビ視聴率と異なり、今回のデータは視聴した総人数のみに基づくものではなく、視聴時間の合計に注目している。これは、Neflixが発表している数字とは著しく対照的でもある。Netflixが数えているのは「2分以上見た世帯」であり、見た時間が2分でも2時間でも20時間でも区別しない。

それでもテレビシリーズ部門のランキングはNetflixが完全に支配し、映画ではDisney+が好成績を示した。他のサービスは、3種類のトップ10ランキングのいずれにも入らなかった。

オリジナルシリーズ部門で(少なくとも私にとって)意外な1位は Neflixの「Ozark(オザークへようこそ)でストリーミング時間は305億分だった。同じく「Lucifer(「ルシファー)」が190億分、「The Crown(ザ・クラウン)」が163億分で続いた。パンデミック下の決定的ヒット作といえる「Tiger King(タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!」)」は、157億分で4位だった。ただし、Nielsenの測定方法は8回しか放映回のなかった同番組には不利だ。おそらく同じことは、ランキング中唯一の非Netflixシリーズである145億分ストリーミングされたDisney+の「The Mandalorian(マンダロリアン)」にもいえるだろう。

画像クレジット:Nielsen

ライセンス作品ではさらに数字が大きくなる。ランキング入りしたのはすべてNetflixで2020年に配信されたシリーズだが、第1位の「The Office(ジ・オフィス)」(ストリーミング時間571億分)はつい最近Peacock(ピーコック)に移った。トップ5の他の作品は「Grey’s Anatomy(グレイズ・アナトミー 恋の解剖学)」(ストリーミング時間394億分)、「Criminal Minds(クリミナル・マインド FBI行動分析課)」(354億分)、「NCIS(NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班)」(281億分)、「Schitts Creek(シッツ・クリーク)」(238億分)だった。

映画部門で最大のヒットは「Frozen II(「アナと雪の女王2)で、早くにDisney+で配信され、149億分ストリーミングされた。「Moana(モアナと伝説の海)」(105億分)、「The Secret Life of Pets 2(ペット2)」(Nitflix、91億分)、「Onward(2分の1の魔法)」(Disney+、84億分)、および「Dr. Seuss’ The Grinch(グリンチ)」(Netflix、62億分)が続いた。このカテゴリーは、子どもたちふぁ何度も見る可能性が高くファミリー向け作品に有利なようだ。

これらのランキングに加え、Nielsenはオンデマンド劇場作品、つまりオンラインでレンタルまたは購入用に公開された映画の視聴者数を測定するための新しいサービスを発表した。制作会社はすでにこうした作品の基本購入データを有していたが、Nielsenは「メディア食物連鎖全体」を表す情報を提供できると語った。視聴者の年齢、性別、民族、地域などに関する詳細情報だ。

Nielsenの視聴者測定担当ゼネラルマネージャー、Scott N. Brown(スコット・N・ブラウン)氏は声明で次のように語っている。

過去に例のないこのパンデミックが消費者行動に影響をおよぼし続ける中、測定を可能にすることによって顧客が新たな収入源を適切に収益化するために役立てることは、これまでになく重要です。重要なのは、いくらかでも回復した後、視聴者が何をするか、ステイホーム期間中に身につけた行動が映画館に行けるようになった時の行動にどう影響するのか、コンテンツクリエーターはこのデータを使って将来の配信プラットフォームに関して最良の判断を下せるのかということです。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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