主要ストリーミングコンテンツ横断調査の結果、2020年人気1位は「ジ・オフィス」

ストリーミングサービスは視聴者数データを一部しか公表せず、会社によって測定方法も違うため、ストリーミングの番組や映画の人気を直接比較するのは難しい。

そこで、伝統的テレビ番組の視聴率(レーティング)を提供している(そしてその視聴率をストリーミングデータと統合しようとしている)Nielsen(ニールセン)は、同じ土俵で比較を行うべく、Netflix(ネットフリックス)、Amazon Prime(アマゾン・プライム)、Disney+(ディズニープラス)、Hulu(フールー)を横断した2020年人気ストリーミングコンテンツの独自ランキングを米国時間1月13日にCES 2021で発表した。

データは米国での視聴に限られる。Nielsenの従来型テレビ視聴率と異なり、今回のデータは視聴した総人数のみに基づくものではなく、視聴時間の合計に注目している。これは、Neflixが発表している数字とは著しく対照的でもある。Netflixが数えているのは「2分以上見た世帯」であり、見た時間が2分でも2時間でも20時間でも区別しない。

それでもテレビシリーズ部門のランキングはNetflixが完全に支配し、映画ではDisney+が好成績を示した。他のサービスは、3種類のトップ10ランキングのいずれにも入らなかった。

オリジナルシリーズ部門で(少なくとも私にとって)意外な1位は Neflixの「Ozark(オザークへようこそ)でストリーミング時間は305億分だった。同じく「Lucifer(「ルシファー)」が190億分、「The Crown(ザ・クラウン)」が163億分で続いた。パンデミック下の決定的ヒット作といえる「Tiger King(タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!」)」は、157億分で4位だった。ただし、Nielsenの測定方法は8回しか放映回のなかった同番組には不利だ。おそらく同じことは、ランキング中唯一の非Netflixシリーズである145億分ストリーミングされたDisney+の「The Mandalorian(マンダロリアン)」にもいえるだろう。

画像クレジット:Nielsen

ライセンス作品ではさらに数字が大きくなる。ランキング入りしたのはすべてNetflixで2020年に配信されたシリーズだが、第1位の「The Office(ジ・オフィス)」(ストリーミング時間571億分)はつい最近Peacock(ピーコック)に移った。トップ5の他の作品は「Grey’s Anatomy(グレイズ・アナトミー 恋の解剖学)」(ストリーミング時間394億分)、「Criminal Minds(クリミナル・マインド FBI行動分析課)」(354億分)、「NCIS(NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班)」(281億分)、「Schitts Creek(シッツ・クリーク)」(238億分)だった。

映画部門で最大のヒットは「Frozen II(「アナと雪の女王2)で、早くにDisney+で配信され、149億分ストリーミングされた。「Moana(モアナと伝説の海)」(105億分)、「The Secret Life of Pets 2(ペット2)」(Nitflix、91億分)、「Onward(2分の1の魔法)」(Disney+、84億分)、および「Dr. Seuss’ The Grinch(グリンチ)」(Netflix、62億分)が続いた。このカテゴリーは、子どもたちふぁ何度も見る可能性が高くファミリー向け作品に有利なようだ。

これらのランキングに加え、Nielsenはオンデマンド劇場作品、つまりオンラインでレンタルまたは購入用に公開された映画の視聴者数を測定するための新しいサービスを発表した。制作会社はすでにこうした作品の基本購入データを有していたが、Nielsenは「メディア食物連鎖全体」を表す情報を提供できると語った。視聴者の年齢、性別、民族、地域などに関する詳細情報だ。

Nielsenの視聴者測定担当ゼネラルマネージャー、Scott N. Brown(スコット・N・ブラウン)氏は声明で次のように語っている。

過去に例のないこのパンデミックが消費者行動に影響をおよぼし続ける中、測定を可能にすることによって顧客が新たな収入源を適切に収益化するために役立てることは、これまでになく重要です。重要なのは、いくらかでも回復した後、視聴者が何をするか、ステイホーム期間中に身につけた行動が映画館に行けるようになった時の行動にどう影響するのか、コンテンツクリエーターはこのデータを使って将来の配信プラットフォームに関して最良の判断を下せるのかということです。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nielsenが現状に合わせて従来のテレビ放送とデジタル配信の視聴率調査統合を準備

Nielsen(ニールセン)は、テレビ視聴率の調査を、リアルタイムで見る人と、さまざまな配信サービスやデバイスを使ってオンデマンドで見る人とが混在する世界を反映させた方式に刷新する。

同社は長年にわたりテレビ視聴率調査の標準的方式を提供してきたが、テレビがデジタルで視聴できるようになり、物事は大変に細分化されてしまった。そこで、間もなく運用が開始されるNielsen One(ニールセン・ワン)プラットフォームは、他社とそう変わらない新しいデジタル視聴率調査方式を提供するだけではなく、Nielsenの中核的な測定基準を刷新するものとなる。

「私たちの主な目的は、測定方法が複数メディアをまたぐ広告枠買い付けの妨げになっている現状を打開することです」とNielsen視聴率調査ジェネラルマネージャーScott Brown(スコット・ブラウン)氏は話す。

2022年秋にNielsen Oneの運用が開始されると、テレビ番組の視聴に関するNielsenの報告には、昔ながらのかたちでテレビを観ている人の数だけでなく、視聴者の現実の数が反映されるようになる。

さらに、オンライン世界のプログラマティック広告や、同等の広告枠買い付けツールが従来型のリニアなテレビ放送にも広がりつつあることを考えれば、「みんなが同じ広告を見る」という考え方は捨て去るときがきたとブラウン氏はいう。

つまり、このプラットフォームはNielsenのC3とC7という視聴率基準から「離れる」ことを意味する。この基準とは、テレビ番組の広告を、C3は3日間、C7は7日間の放映の間にどれだけの人が見たかを示す値だ。

ブラウン氏によれば、Nielsenは各プラットフォームごとに、何人の人が広告を見たかをきめ細かく調査できるようになるという。「個々の広告に推定視聴者数が示される」ことになり、2024年秋までには従来型測定方法の全廃を目指す。

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またNielsen Oneのスタートにともない、ブラウン氏が「新しいデータバックボーン」と呼ぶものが導入され、Nielsenのクライアントは、同社が報告書で示す数値の元となるデータに、もっと直接的にアクセスできるようになる。

このデータを提示するためには、テレビ視聴率の一般調査員「パネル」の協力に今後も依存することになるが、これからは「本当のクロスプラットフォーム」のデータになる点が違うとブラウン氏は話す。同社は、Amazon(アマゾン)、Hulu(フールー)、Roku(ロク)、Vivio(ビジオ)、Google(グーグル)およびYouTube(ユーチューブ)をすでに利用しているパートナー企業から追加データを引き出すことにしている。

多くのネットワークやメディア企業が独自の配信サービスを立ち上げたり買収したりしているが、誰もがNielsenで視聴率や広告の検証をしたがっているはずだとブラウン氏は示唆する。だが、Netflix(ネットフリックス)やDisney+(ディズニープラス)などの一部のサービスはインセンティブが低い。広告ではなくサブスクリプションのビジネスモデルに依存しているからだ。

「すべての視聴率がわかります」と彼はいう。「しかし私たちに寄り添い、一体となれる企業には、より細かい数値と、より総合的な調査を提供できるようになります」。

私は、オンラインの世界で議論されている大きな問題についても尋ねてみた。Facebook(フェイスブック)は動画を3秒間見たかどうか、Netflixは、番組の「視聴することを選んでいる」人が少なくとも2分間見たかどうかをチェックしているが、実際に何をもって1回のインプレッションと数えるのか?

「はっきり公表できるものとしては、最終的な答えは出ていません」とブラウン氏。だがNielsenでは、2021年にこの問題を細かく整理する作業部会を設ける予定だ。同時に、「1秒単位の解像度で測定」できる技術を構築し、どのようなルールが決められようとも対応できる体制を整える。

「現在の細分化された測定環境では、複数のプラットフォームにまたがるキャンペーンの計画、実施、検証が過度に複雑になり、予測がますます困難になっています」とデジタルエージェンシーEssence(エッセンス)の最高メディア責任者Adam Gerber(アダム・ガーバー)氏は声明の中で述べている。「アドレサブル広告モデルへ移行し、リーチを優先化し、成果をあげるための最適化を行うようになるほど、一貫した単一ソースによる測定ソリューションが必須となります。Nielsenの複数メディアにまたがるこの新しいアプローチは、総合的なキャンペーンを成功させたい広告主が求める信頼性と透明性を届ける重要なステップとなります」。

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(翻訳:金井哲夫)