エレクトロラックスがKickstarterのスター、低温調理デバイスのAnovaを2.5億ドルで買収

John Bedell Photography

Kickstarterのスターとして有名なスマート低温調理(Sous vide)器具のAnovaがスウェーデンの家電大手、Electroluxに2億5000万ドルで買収されることが明らかになった。

この買収でElectroluxグループの一員となるもののAnovaのブランドも組織運営も従来通り。共同ファウンファー、CEOのStephan Svajianが引き続き指揮をとる。

「Electroluxに参加したことで、販売チャンネルを含めて同社の豊富が資源が利用できるようになった。われわれは引き続き一般家庭の調理に革命を起こしていく。ElectroluxはAnovaキッチンの実現に向けてわれわれを支援することを約束している。Anovaキッチンのデバイスは精密にコントロールされ、使い方が簡単で、しかも低価格、しかもインターネットに接続可能だ。われわれは人々がプロ顔負けのクッキングができるようになることを日々助けていく」とSvajianはブログに書いた。

Electroluxのホームケア事業部CEOのAnova買収発表

今日(米国時間2/6)、SvajianはTechCrunchの電話取材に対して「Electroluxはインターネットに接続されたデバイスによるキッチンがスマート・ホームのハブとなることをを目指している。〔Anovaの買収は〕この動きによく適合する。われわれ両社が力を合わせればきわめて強力な資産が生まれるはずだ」と述べた。

Anovaの誕生は 2013年にさかのぼる。翌年にスタートしたKickstarterのキャンペーンは大反響を呼び、180万ドルの資金を調達することに成功した。それ以後Anovaは大忙しだった。去年はBluetooth/WiFi機能が内蔵された第2世代の低温調理ヒーターをリリースした。また今年のCESでは低価格バージョンの開発も発表している。

SvajianはTechCrunchに対し、計画どおりに作業を進めていくつもりだとしながらも、「現時点では将来のプロダクトについて話すことはできない」と付け加えた。

〔日本版〕TechCrunch JapanでもAnovaのスマートフォン接続バージョンについていち早く紹介している。訳者もTechCrunch記事でAnovaを知って購入したが、宣伝どおりの機能で使い方も簡単だった。耐久力も十分あると思う。基本的には投げ込みヒーターなので手持ちの鍋その他の耐熱容器に取り付けることができる。Biggs記者は「〔低温調理デバイスは〕本来なら大手家電メーカーから製品が出ていてもいいはず」と書いていたが結局日本でも有名なエレクトロラックスが買収するという結果となった。これで日本の家電メーカーも遅まきながら低温調理器具の存在に気づいたかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

家庭用真空調理ヒーターのAnovaがバージョンアップへ―Kickstarterですでに50万ドル集まる

昨日のMellowにつづいて、真空(低温)調理器の話題だ。

私が以前にレポートしたAnovaが真空調理用ヒーターのバージョンアップを発表した。鍋にこのヒーターを取り付けると、湯音を指定の温度に精密に温度をコントロールして調理ができる。AnovaのKickstarterプロジェクトは目標額10万ドルをはるかに越して50万ドルに達している。

現行の第一世代のAnovaは、タイマーや温度設定をすべてデバイスの中で行うものだった。 新システムではスマートフォンから専用アプリを通じて詳細なコントロールができるようになる。また外出先からリモートで調理をスタートさせることもできる。昨日紹介したMellowとは異なり、Anovaはユーザーの手持ちの鍋にクリップで取り付ける方式。またMellowと違って食材を入れるプラスチック・バッグは真空にする必要はなく、市販のジップロックでよい。

新しいAnovaは市販予定価格は169ドルと業務用真空調理器はもちろん、400ドルのMellowとくらべても大幅に安い。開発者のJeff Wuはこの種のデバイスを以前から作っており、最初に完成させたのは2013年だった。

家庭用真空(低温)調理器市場は現在立ち上がりかけているところで、まだまだ大きなチャンスがある。本来なら大手家電メーカーから製品が出ていてもいいはずなのに、私は一つも見つけられないでいる。デバイスのスタートアップを狙っている起業家には絶好の時期だ。低温調理の柔らかいステーキのファンとしては、この市場がさらに活気づくことを期待したい。


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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


自動化スーヴィードシステムAnovaを使ってみる…Appleが調理器具を作ればこうなるか

スーヴィード(sous vide, 真空調理)はたぶんいちばんハイテクな料理法だと思うが、ハイテクといっても化学の学位は要らないし、事故で人が死ぬほどの危険性もない。だからぼくも、Anovaはすばらしいと思った。スーヴィード用の自動加熱循環機で、最初冷たかった鶏肉も、約1時間でジューシーなご馳走に変身するのだ。

スーヴィードは特殊な茹で方だ、とぼくは思う。肉や野菜を真空密閉したポリ袋に入れて、沸騰していない低温のお湯が循環している鍋でゆっくり煮る。たとえば、Anovaでお湯を循環させながら密封した鶏胸肉を煮ると、肉汁は一滴も失わないし、肉に焦げ目もつかない。お湯から取り出したら表面をちょっと炙(あぶ)る。すると、これまでで最高の鶏料理の完成だ。

Anovaはとってもシンプルな機械だ。必要なものは、お湯を入れる大きな鍋と、電源コンセントのみ。肉は必ず、真空密封すること。Ziplocなどよりも、真空加熱シーラーを使った方がよい〔参考ページ〕。そして、温度と時間をセットする。たとえばぼくの場合は、鶏肉を60℃で45分煮た。そのあと、塩で味付けし、フライパンで炙った。

温度調整は25℃~99℃のあいだでできる。お湯の循環能力は毎分12リットルだ。なお、材料は水から入れるよりは、最初からお湯の中に入れた方が結果は良いようだ。

ファウンダで制作者のJeff Wuは、家庭用の安価なスーヴィードシステムはこれが世界初だ、と言う。オープンソースのDIYプロジェクトは、前からいくつかあるが、デザインが良くて使い方が簡単なApple的製品は、これが初めてかもしれない。Wuは大学で生物化学とコンピュータ科学と金融学を専攻した。今の彼の本業は、製薬会社や化学企業のためのハードウェアの制作だ。

“ぼくが作る製品は主に、新薬の研究や医学研究、あるいは新素材の開発に関連している”、と彼は言う。“毎日のように、博士たちやノーベル賞受賞者など、エライ人たちに会う。スーヴィードを知ったのも、その人たちのおかげだ”。

“4年前にボストンの名門大学を訪ねたとき、研究室で数名の院生たちが鶏肉をスーヴィードしていた。実験用具の攪拌機をお湯を循環させるために使い、ホットプレートで表面を炙っていた。興味を抱いたぼくは、同じことを会社の実験室でやろうとして、大失敗した。2009年の当時は、ぼくはスーヴィードについて完全に無知だった。鶏肉を入れた袋が実験機械のシリンダに巻きついてしまって、たいへんだった”。

そんな苦労をしてまで、挑戦する価値があるのか? ある! スーヴィードは、一度食べると誰もがやみつきになる。ぼくも、そうだ。Anovaはわずか199ドルだし、真空加熱シーラー(と大きな鍋)は70ドルぐらいだ。高級レストランのジューシーな肉や味の落ちてない野菜の料理は、どうやって作るのだろう、といつも不思議だったけど、今ではその秘密が分かる。しかもスーヴィードは準備がほとんど要らないから、セットしたらあとは忘れてもよい(火事や黒焦げ事件は起きない)。低温での調理時間は最大72時間だから、簡単な煮豆でもそんじょそこらの煮豆とは違う最高の風味の煮豆ができる。

まあ日常の調理器具に199ドルは高いかもしれないが、スーヴィードを試してみたい人にとっては、これがたぶん、ベストのデバイスだ。ネット上には加水オーブンなんかも売ってるが、400ドル以上もする。しかもAnovaは、ほぼスタンドアロンのモデルで、真空ヒートシーラー以外にはほかの機器が要らない。しかも使いやすいしデザインもエレガントだ。

スーヴィードは本来、とても高度な料理テクニックだが、世の中にはつねに、Wuのようなナードがいて、Anovaみたいなクールな物を作ってくれるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))