大学の講義のスケジュールを合理化して学生と大学経営を助けるCoursedog

2年前に、コロンビア大学の寮で同じ部屋にいたJustin Wenig(ジャスティン・ヴェニグ)氏とNicholas Diao(ニコラス・ディアオ)氏は、学生たちに人気のあるコンピューター科学のクラスを受講しようと苦労していた。結局、2人は受講に成功したが、クラスのスケジューリングをめぐるそのときのフラストレーションから「こんな問題はコンピューターが解決すべきだ」と決意した。

ヴェニグ氏とディアオ氏が創業したCoursedogは、クラスや教授や演習などのスケジュールを、それらに対する需要や関心に基づいて作るソフトウェアを提供している。「クラスのスケジューリングシステムのためのSuperhumanみたいなソフトだ」とヴェニグ氏は説明する。

米国時間3月9日、CoursedogはFirst RoundのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏など多くの投資家から420万ドル(約4億3400万円)を調達したことを発表した。その他の投資家や、投資に伴って同社の取締役会に入ることになった者について、同社は公表していない。Y Combinatorを卒業した同社のこれまでの調達総額は570万ドル(約5億9000万円)になる。同社の投資家はFoundersX VentureやEFund、そして学校の入学事務をコンピューター化するSchoolMintのCEOであるJinal Jhaveri(ジナル・ジャベリ)氏などだ。

資金は同社の新製品開発、特にコースの需要を予測し、そのコースで学生たちが効果的に勉強できるための席数を求めるプロダクトの開発に充当される。

ヴェニグ氏はTechCrunchのインタビューに対して「現在の高等教育は遅い、と考えている人が多いけど、勉強をしっかり身につけるためには遅いことも必要だ」と述べている。ただし、現在の大学はテクノロジーを採用することよりも、データの保護に関心があると彼は言う。

競合についてヴェニグ氏は、学習管理サービスのBlackboardは今でも大学に強いが、Coursedogは大学の管理者がスケジューリングのために利用する学生情報システムであるため方向性が違う、競合関係にはないと言う。

ヴェニグ氏とディアオ氏が何百もの大学に電話セールスとしたとき、最初に契約できたのがColumbia Law School(コロンビア大学のロースクール)だった。その後同社は、大小さまざまの60校のカレッジや大学を顧客にできている。

Coursedogの顧客は本当に大小さまざまで、最小は学生数約600人のLaguna School of Art and Designだ。顧客には公立校と私立校が入り混じっているが、ヴェニグ氏によると、公立校のほうがイノベーションに熱心だとのこと。

ヴェニグ氏によると「多くの州が州立大学を補助金で支えているが、ユタ州などでは大学の大きさで補助金の額がわかる」そうだ。Coursedogのソフトを利用してひとりひとりの学生に合ったクラスを受講させれば、無事に卒業できる学生が増えるという。

「今、我々は大学の学生情報システムを利用してスケジューリングやカリキュラムの計画、要覧の発行などを助けている。これによって徐々に、彼らがスプレッドシートを使ってやっていたような古いやり方を駆逐しつつある」という。

Coursedogの目標は、顧客である大学の数を年内に100まで増やし、製品開発チームをもっと大きくすることだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day2日目のスタートアップ88社

米国時間3月19日は、Y Combinatorが開催した、2019年冬クラスの2日間のDemo Day後半だった。1日目は85以上のスタートアップがステージに上がりピッチを行った。2日目も同様に多数のピッチが行われた。

以前はマウンテンビューのコンピューター歴史博物館で開催されていたこのYC Demo Dayは、今回からはサンフランシスコの巨大な倉庫へと場所を移して開催された。1日目のピッチと同じように、2日目も「パイオニア」と「ミッション」の2つのステージに分かれて同時にピッチが進行した。お急ぎの読者のために、私たちが選んだ初日のトップ10のまとめも行っている。またここでは、2日目の中のお気に入り9社をチェックすることもできる

以下に、2日目に発表した全社と、そのプレゼンテーションに対する私たちのメモを紹介する。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 2日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)※この記事
・Part 2:パイオニアステージ(2)
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)
・Part 5:ミッションステージ(1)
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)
・Part 8:ミッションステージ(4)

パイオニアステージ

YSplit
ルームメイトや愛する人との間で光熱費や月々に発生する支払いを、一人が立て替えて他の人たちから回収する作業はとても苦痛だ。YSplitは仮想デビットカードを提供することで自動的に請求書を分割し、ユーザーたちの銀行口座から現金を集めることを容易にする。2%の手数料を請求することで、YSplitは米国内の2600万軒のシェアハウスに対して、堅実なビジネスを構築することができた。

The Juggernaut
南アジアに関連したストーリーに焦点を当てた定期刊行物。彼らはフリーランスの作家を雇い、1日に1つのストーリーを発行し、そしてユーザーに対しては月5ドルを請求する。ここですでに、The Juggernautについての記事を書いている。

Searchlight
リファレンスチェックを行うことで間違った採用を回避することは可能かもしれないが、それでも多くのビジネスがインタビューサイクルの最終段階までそれを行わなかったり、詳細なチェックが不足していたりする。Searchlightはレファレンスチェックをサービスとして提供する。求職者は自分に対する推薦文の発行を依頼するために、レファレンス対象者を招待する。それらの推薦文をSearchlightが集めて編集し、求職者のワークスタイル、理想とする環境、そしてスキルセットなどをまとめた報告書を作成する。1件の仕事に対して平均250ドルを売り上げているSearchlightは、米国国内で1年の間に行われる3000万件のスキル重視採用のすべてに関わりたいと考えている。

Allo
地元の親たち同士をつなぎ、「カルマ」ポイントシステムを通じて、ベビーシッターやちょっとした用足しなどを頼めるようにすることで、お互いが助け合えるようにする。平均的なユーザーは週に12回ほどの利用を行っている。

Coursedog
大学は教員たちをコースや教室へ割り振るために、フルタイムのスケジュール管理者を雇用している。Coursedogは、学校のデータに接続することで、この面倒な仕事を排除しプロセスの自動化を行う。Coursedogに対しては、すでに8つの大学が、3年契約に対してそれぞれ10万ドル以上の支払いを行っている。次に狙っているのは、キャンパス内のスペースの予約プロセスと、インストラクターならびに授業料の支払いプロセスの近代化である。

AI Insurance
保険金請求のためのクラウドベースのソフトウェア。さまざまなデータを、ファイルキャビネットではなくクラウドへ送り込むことによって、顧客は「1件の保険金請求当たり、莫大な時間を節約できます」と創業者たちは主張している。彼らの目標は、十分な請求データが得られたら、次はAIを使用して最終的に請求にかかるコストなどを判定することだ。

Nebullam
屋内で作物を栽培すれば、天候に左右されないことで、単位面積あたりの食糧生産量が増える可能性がある。だが問題は人件費の高さと高額な機器の回収期間の長さである。Nebullamは、屋内農業のJohn Deere(世界最大の農業機械メーカーのブランド)になりたいと考えている。同社は収穫を最大にしそして費用を最小にすることができる、屋内栽培棚やその他の機器を販売する。農場育ちのCEOを擁する同社は、すでに機器のコストを3年で回収することを可能にしている(業界標準は7年である)。

Pronto
ラテンアメリカの小都市でのライドシェアリング。共同創業者のミゲル・マルティネス・カノ氏は、Uberモデルはこうした小都市では機能しないと述べている。なぜなら乗客になるひとたちはクレジットカードを持たず、現金での支払いを希望するからだ。ドライバー側は月額59〜99ドルのサブスクリプションフィーを支払う。現在は月に6万2000回の乗車が行われている。

LEAH Labs
人びとは飼い犬の化学的治療に、たとえそれがその生命を一時的に伸ばすだけで、病気の治療にはならないとしても年間5億ドルを費やしている。LEAH Labsは、強力な新しい治療法であるキメラ抗原受容体発現T細胞(Car T細胞)を用いて、犬のB細胞リンパ腫を治療したいと考えている。最近、Car T細胞を扱う会社たちのエグジットは200億ドルに達しているが、大手企業の中で犬に焦点を当てているものはいない。LEAH Labsは食品医薬品局(FDA)ではなく農務省(USDA)の管轄であるため、承認を得るための投資は少なくて済む。このことにより治療費を5000ドルに抑えることが可能になった。

Balto
ファンタジースポーツリーグのマネージャーたちが、自分たちの仕事からお金を稼ぐためのプラットフォーム。ファンタジースポーツ賭博はより多くの州で合法化に向かって動いているので、彼らは他の方法ですでに賭けをしている観客を捕らえたいと思っている。

【訳注】ファンタジースポーツとは現実世界の選手を選んで仮想的なチームを作り、現実世界の成績に連動して仮想チームの勝敗などが決まる「遊び」の要素が強いゲーム。これまでもアナログな遊びや賭けが行われて来たが、プラットフォーム化を行うものが出始めている。

Visly
開発者たちは、iOS、Android、ウェブ向けに同じ製品をリビルドするために、膨大な時間を費やしている。Vislyは、この作業を単純化するためのツールを利用しているのは開発者のわずか15%に過ぎないと言う。VislyのクロスプラットフォームUI開発スイートにより、さまざまなデバイス用に一貫したアプリケーションをすばやく簡単に作成できる。CEOはFacebookでYogaと呼ばれる類似のバージョンに取り組んでいたが、それがウェブとの互換性を達成することはなかった。Vislyは、開発者たちが他のオペレーティングシステムへの移植ではなく、発明そのものに集中することができるように、移植性の問題を解決したのだ。

Y Combinatorの2019年冬のDemo Day初日の有望スタートアップ10社

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(翻訳:sako)

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