Googleの社内ベンチャーとしてスタートしたWaymoだが、現在はAlphabet傘下の独立の企業に成長し、収益化を目指している。TechchCrunchは同社がこのほどカリフォルニア州当局から自動運転タクシーで実際に乗客を運ぶ許可を受けたというニュースをつかんだ。これはWaymoが商用サービスを実現する上で画期的な出来事だ。
米国時間7月2日にカリフォルニア州公共サービス委員会(CPUC)は、州の実験的プログラムである自動運転車乗客サービスにWaymoが参加することを許可した。同社もこれを確認し、広報担当者はこの許可の意義と同社の目指すところについて次のようにコメントした。
CPUCの決定により、我々はこのパイロットプログラムに参加できることとなった。社員はサウスベイ地区内でWaymoの自動運転車によるタクシー業務を実施し、乗客を運ぶことができる。Waymoの自動運転テクノロジーへのアクセスをさらに多数のカリフォルニア住民に普及するという目標に向けての次のステップが実現した。当社はすでにアリゾナ州フェニックス地区でWaymo Oneによってこうしたサービスを提供している。
CPUCから得た許可は、すでにカリフォルニア州自動車局から受けている許可とは異なる。こちらは自動運転車を州内公道でテストすることを許可するもので、60社がこの許可を得ている。
今回得たのはWaymoが自社の自動運転車(現在はChrysler Pacificaハイブリッド、今後はJaguar I-PACE電動車)を用いて乗客を輸送する許可だ。ただしいくつかの制限が課せられる。料金を得ることはできないし、安全を確保するために人間のドライバーが運転席にいることを必要とする。また乗客を乗せて走行した距離や安全措置などの詳細をCPUCに報告しなければならない。
また安全ドライバーは自社の社員でなければならないという条項に関して、CPUCはWaymoが申請していた適用除外を承認した。これにより同社はサードパーティーに安全ドライバーの派遣を委託できる。この点についてWaymoは「安全ドライバーの一部は自社の正社員が加わるが、Waymoが計画しているような実験の規模の場合、非常に多数の安全ドライバーが必要となる。これは自動運転車の安全確保に専門化し高度なノウハウを持つサードパーティーと契約することによって効率的に実現できる」と申請書で述べている。
Waymoは安全ドライバーは全員が同社独自のトレーニングプログラムを受講すると述べた。
自動運転車によるタクシー業務の実験に参加する許可を得たのはWaymoが初めてではない。昨年12月にZooxが最初の許可を受けた後、Pony.ai、AutoXも参加が認められた。
Waymoはカリフォルニア州で長年自動運転車を実験してきた。ただしタクシー業務の実験を始めたのはアリゾナ州だった。これはカリフォルニアに比べて許可を受けなければらない規制の数が少なかったからだ。
Waymoは自動運転車に関する技術センターをアリゾナ州チャンドラーに設け、2016年以来テストを繰り返している。その後Waymoは自動運転タクシー業務の商用化に向けてテストを前進させ、2017年4月には実際に乗客を運ぶテストを開始した。これにより実験の幅が大きく広がった。
昨年12月にアリゾナ州フェニックス地区で開始されたWaymo Oneは商用タクシーサービスの実験で、乗客に料金を請求できる。ただし依然としてWaymoで訓練された安全ドライバーの乗務を必要とする。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)