アマゾンが配車サービス向け自動運転のスタートアップ「Zoox」を買収

Amazon(アマゾン)は、米国時間6月26日に2014年創業の自動運転スタートアップZoox(ズークス)を買収することを発表した(Amazonリリース)。Zooxはこれまで約10億ドル(約1070億円)を調達し、配車サービス向けのフルスタックソリューションを提供するために、車両を含む自動運転技術を開発することを目指してきた企業だ。

アマゾンの発表によれば、Zooxは独立したビジネスとして存続し、現在のCEOであるAicha Evans(アイシャ・エバンス)氏もCTOで共同創業者であるJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏とともにその役割を継続する。リリースノートにはまた、彼らの会社の全体的な使命も同じだと記されている。 Financial Timesの報告によると、この取引は12億ドル(約1290億円)相当で行われたという

The Wall Street Journalは2020年5月末の段階で、アマゾンはZooxを潜在的な買収ターゲットとして検討しており(未訳記事)、その取引がより進んだ段階に達したと報じていた。

Zooxは、自動運転業界で最もお金がかかる道の1つを選択した企業だ。自動運転機能を提供するためのソフトウェアやAIとともに、目的に合った自動運転の乗用車をゼロから構築することを目指している。Zooxはこの1年間でいくつかの目立ったコスト削減を行っており、2019年初めにインテルからCEOのエバンス氏を迎え入れた(未訳記事)。これは彼女の経験を商用化に向けた動きに役立てたいという思惑からだろう。

アマゾンのような資金に余裕のあるオーナーを得たことで、Zooxはその主たるライバル である Waymo(ウェイモ)に遅れを取らないような力を得ることができるに違いない。ちなみにWaymoは、Google(グーグル)の自動運転車プロジェクトとして始まり、現在ではGoogleのオーナーであるAlphabet(アルファベット)がオーナーである。

アマゾンは、独自の自動運転車両技術プロジェクトに取り組んできた。これには、小さなパッケージを顧客の家に運ぶようにデザインされた6輪の歩道走行ロボットのようなラストマイル配送ロボットなども含まれている。 同社は自動運転のスタートアップ企業であるAurora(オーロラ)にも投資しており(未訳記事)、また自動運転貨物車のスタートアップEmbarkの自動運転トラックのテストも行ってきた

アマゾンによれば、今回のZooxの買収は特にスタートアップの「自動運転配車のビジョンの実現」を支援することを目的としているため、アマゾンの荷物配送業務に直接焦点を当てていないようだ。しかしZooxがゼロから開発した技術、例えば特に自動運転利用のために開発されたゼロエミッション車などの技術は、アマゾンの業務に簡単に転用することができる。

その一方で、Zooxが本気で配車サービスに留まり続けた場合は、アマゾンはまったく新しい市場を開く可能性が出てくる。自動運転技術が成熟した暁には、UberやLyftと真っ向勝負を行う存在になるだろう。

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(翻訳:sako)

自動運転のZooxがサンフランシスコに次いでラスベガスに進出

自動運転車のスタートアップZooxがラスベガスに進出する。同社CTOのJesse Levinson(ジェッセ・レヴィンソン)氏がTechCrunch Disrupt SFで明らかにした。

これまでに8億ドル(約855億円)を調達し、サンフランシスコの公道でテストしてきたZooxは、ラスベガスが自動運転車両とサービスにとってターゲットマーケットだと話した。同社にとってラスベガスは中心的なマーケットとなる。自動運転車両による配車サービス展開を目的に、技術のテスト、確認、改良を行う計画だとレヴィンソン氏は述べた。

Zooxは2019年初めにネバダ州の道路で自動運転車を走行させる許可を州自動車局から得ていた。同社は現在、大ラスベガス地域で新しいルートのマッピングとテストドライブを進めている。Zooxは人を乗せて走ることも許可されているが、今回は実施しないとのことだ。

「今のところ、Zooxはコストに見合わせるために戦略的テストを行っている」とCEOのAicha Evans(アイシャ・エバンス)氏はDisruptでTechCrunchに語った。つまり、Zooxは改造したトヨタのHighlander自動運転車両を期間限定、おそらく6週間かそこらラスベガスに送り込む。同社は改造した車両を30台以上有しているが、うち5台のみを展開している。

時間をおいて段階的にZooxはラスベガスでの走行を拡大する。「公道におけるゼロからの車両のデモを2020年に開始し、そのすぐ後に商業展開となる」と同社は話した。

人口密度が第2位の都市環境でさらに学習する機会となり、またサンフランシスコに比べてさまざまなそしてユニークなユースケースがあることからラスベガスを選んだ、とZooxは話した。たとえば、ラスベガスにはリバーシブルレーン、複雑なピックアップ・ドロップオフゾーン、高温、夜間の活発さがある、としている。

画像クレジット: Zoox

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(翻訳:Mizoguchi)

カリフォルニア州がWaymoに自動運転タクシーによる乗客輸送を許可

Googleの社内ベンチャーとしてスタートしたWaymoだが、現在はAlphabet傘下の独立の企業に成長し、収益化を目指している。TechchCrunchは同社がこのほどカリフォルニア州当局から自動運転タクシーで実際に乗客を運ぶ許可を受けたというニュースをつかんだ。これはWaymoが商用サービスを実現する上で画期的な出来事だ。

米国時間7月2日にカリフォルニア州公共サービス委員会(CPUCは、州の実験的プログラムである自動運転車乗客サービスにWaymoが参加することを許可した。同社もこれを確認し、広報担当者はこの許可の意義と同社の目指すところについて次のようにコメントした。

CPUCの決定により、我々はこのパイロットプログラムに参加できることとなった。社員はサウスベイ地区内でWaymoの自動運転車によるタクシー業務を実施し、乗客を運ぶことができる。Waymoの自動運転テクノロジーへのアクセスをさらに多数のカリフォルニア住民に普及するという目標に向けての次のステップが実現した。当社はすでにアリゾナ州フェニックス地区でWaymo Oneによってこうしたサービスを提供している。

CPUCから得た許可は、すでにカリフォルニア州自動車局から受けている許可とは異なる。こちらは自動運転車を州内公道でテストすることを許可するもので、60社がこの許可を得ている。

今回得たのはWaymoが自社の自動運転車(現在はChrysler Pacificaハイブリッド、今後はJaguar I-PACE電動車)を用いて乗客を輸送する許可だ。ただしいくつかの制限が課せられる。料金を得ることはできないし、安全を確保するために人間のドライバーが運転席にいることを必要とする。また乗客を乗せて走行した距離や安全措置などの詳細をCPUCに報告しなければならない。

また安全ドライバーは自社の社員でなければならないという条項に関して、CPUCはWaymoが申請していた適用除外を承認した。これにより同社はサードパーティーに安全ドライバーの派遣を委託できる。この点についてWaymoは「安全ドライバーの一部は自社の正社員が加わるが、Waymoが計画しているような実験の規模の場合、非常に多数の安全ドライバーが必要となる。これは自動運転車の安全確保に専門化し高度なノウハウを持つサードパーティーと契約することによって効率的に実現できる」と申請書で述べている。

Waymoは安全ドライバーは全員が同社独自のトレーニングプログラムを受講すると述べた。

自動運転車によるタクシー業務の実験に参加する許可を得たのはWaymoが初めてではない。昨年12月にZooxが最初の許可を受けた後、Pony.ai、AutoXも参加が認められた。

Waymoはカリフォルニア州で長年自動運転車を実験してきた。ただしタクシー業務の実験を始めたのはアリゾナ州だった。これはカリフォルニアに比べて許可を受けなければらない規制の数が少なかったからだ。

Waymoは自動運転車に関する技術センターをアリゾナ州チャンドラーに設け、2016年以来テストを繰り返している。その後Waymoは自動運転タクシー業務の商用化に向けてテストを前進させ、2017年4月には実際に乗客を運ぶテストを開始した。これにより実験の幅が大きく広がった。

昨年12月にアリゾナ州フェニックス地区で開始されたWaymo Oneは商用タクシーサービスの実験で、乗客に料金を請求できる。ただし依然としてWaymoで訓練された安全ドライバーの乗務を必要とする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

自動運転スタートアップZoox、カリフォルニアで客乗車の許可取得に一番乗り

米カリフォルニア州で、ドライバーなしの車両テストの許可を受けている企業は60社以上にのぼるが、そうした車両で客を輸送することができる許可を初めてZooxが取得した。カリフォルニア公益事業委員会(CPUC )は今日、同州の自動運転車両による客輸送サービス試験にZooxが参加する許可証を発行した。

試験期間中、Zooxは安全のためのドライバーを運転席に待機させる必要があり、乗車した客に課金することは許されない。そして試験事業の一環として、ZooxはCPUCにインシデントや乗客を乗せて走った距離、乗客安全プロトコルについてデータやレポートを提出しなければならない。

「これは、完全自動運転を使った商業サービス展開に向けての重要な節目となる」とZooxのコーポレート規制問題の責任者はTechCrunchに対し電子メールでこう述べた。

今回の許可に先立ち、3カ月前にZooxはグローバル気候行動サミットの一部として自動運転乗車をテストしていて、4カ月前の8月下旬にはZooxの創業者Tim Kentley-Klayが追放されている。さらに追放の1カ月前にZooxはGrokベンチャーズのMike Cannon-Brookes主導で5億ドルを調達し、これにより累計資金調達額は8億ドルとなった。

Zooxは最終的に2020年までに自前の配車サービスという形で自動運転車両の商業展開を目指している。車両は全電動で完全自動運転だ。一方、この分野大手となるいくつかの企業と同様にUberやLyftといった配車サービス会社もまた自動運転車両に取り組んでいる。

CPUCによるZooxへの許可は2021年12月21日まで有効だ。経験を積むために、CPUCは2種類のパイロットプログラムを行う。1つはセーフティードライバー付きの客を乗せてのテスト、もう1つはセーフティードライバーなしで客を乗せてのテストだ。

イメージクレジット: Zoox

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(翻訳:Mizoguchi)

Uberのライバル「Zoox」のバリュエーションは15億ドル

Speeding

自動運転車の競争が激化している。いまだ秘密の多いスタートアップであるZooxは、まだ最初のプロダクトを発表する前にもかかわらず、15億ドルの価値があると判断されたようだ。

TechCrunchは、先日Zooxが香港のヘッジファンドであるComposite Capitalから5000万ドルを調達したという情報の裏付けを取ることに成功した。この資金調達の情報を最初に報じたのはThe Wall Street Journalだった。この資金調達は、10億ドルのバリュエーションで2億ドルを調達した前回の資金調達から1ヶ月も経たないうちに行われている。

Zooxはクルマそのものを消費者に販売するのではなく、Uberのライバルとなるようなサービスを創りあげようとしている。私たちが聞いたところによると、このサービスのベータ版は来年にもローンチされる予定だという。どのマーケットでローンチするかはまだ未定だ。

同社を立ち上げたのは、スタンフォード大学で自動運転車の研究グループを指揮するJesse Levinsonと、オーストラリア人起業家のTim Kentley-Klayだ。Menlo Parkを拠点とするZooxが設立されてからまだ2年といったところだ。それにもかかわらず、同社はすでに100人以上の従業員を抱えており、その中にはTeslaやAlphabet、Apple出身の者もいる。

今年初めにGeneral Motorsが自動運転のCruise Automationを10億ドルで買収したことで、自動運転車に関連するスタートアップのバリュエーションが引き上がっている。今回の情報の提供者によれば、自動車企業は今もこういったスタートアップの買収を検討しているという。

すでにUberは自動運転車による配車サービスのテストをピッツバーグで開始している。さらにはOttoの買収も完了し、彼らの自動運転車の開発チームはさらに強化されることとなった。

しかし、いまだに自動運転車に対する規制は多い。Comma.aiがそういった規制の多さに白旗をあげたばかりであり、失意の真っただ中といったところだ。

Zooxは以前にもDFJ、Lux Capital、Blackbird Venturesなどから資金を調達している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter