カーシェアリング事業を展開するGetaroundは1月8日、従業員のレイオフを実施すると発表した。The Informationによると、解雇される従業員の数は約150人、全体の1/4程度だ。Getaroundはソフトバンク・ビジョン・ファンドから出資を受けている。
2009年に設立されたGetaroundは、2011年より個人間のカーシェアリングサービス「Getaround」を展開。Getaroundでは、Getaround Connectと呼ばれるコネクテッド・カー技術により、スマホでアプリから利用可能な車両を探し解錠することで、車両のオーナーから鍵を受け取るなど無駄なアクションが一切必要のない、優れた顧客体験を提供している。同社は米TechCrunchが開催したDisrupt 2011のピッチバトルの優勝社だ。
ソフトバンクが支援するスタートアップでは、2019年4月に犬の散歩代行サービスWag、10月にWeWork、ならびに車のサブスクリプションFair、12月に建設領域のKaterra、そして2020年1月にピザのロボットZumeのレイオフが明らかになっている。
また、2019年はソフトバンクにとって、WeWorkのIPOの失敗やWagの経営からの撤退を経験し、かつ、UberやOneConnectのIPOが期待はずれとなった年でもあった。そして2020年に入って早々、Axiosは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが複数のスタートアップに対する出資を、タームシート提出後に見送ったと報じた。複数のスタートアップとは、介護領域のHonor、B2BセールスソフトウェアのSeismic、ハンバーガー製造ロボットCreatorの3社だ。Paul Graham氏は、「起業家たち、気をつけろ。これはスタートアップに起こり得る、最も有害なことの1つだ」とツイートしている。
Getaroundは2018年8月、ソフトバンク主導のシリーズDラウンドで3億ドルを調達したと発表。同ラウンドにはトヨタの未来創生ファンドも参加している。Getaroundは2019年4月、調達した資金で、パリに本社を置くDrivyを3億ドル(約325億円)で買収したことを発表。同年5月に同社の創業者でCEOのSam Zaid氏をTechCrunch Japanが取材した際には、同氏はDrivyの買収を「アメリカとヨーロッパだけでなく、グローバルを狙える企業になるためのステップ」と説明し、アメリカと欧州以外の地域での展開も既に視野にあることを明かしていた。
Zaid氏は、1月7日に公開した投稿で、「成長と効率のバランス」の重要性を強調。同投稿に書かれている「500万ユーザー、300都市」は昨年に取材した際に開示していた数字と変わりないが、同氏は「我々は引き続き、全ての車がシェアされる世界を目指し、交通量の過多を解決することで、数十億人もの人々に良いインパクトをもたらしていく」と力強く綴っている。
「チームに感謝すると共に、影響を受けた従業員、そしてユーザーには大変申し訳なく思っている。個人的には耐え難く、不甲斐なく思っているが、この決断が、会社、そしてユーザーにとって最善策であることには自信がある」(Zaid氏)