Googleが、3億ドル規模の予算を持つNews Initiativeを発表してから、1年ちょっとが経過した。これは、独立したジャーナリズムの活動に資金を提供し、Googleが開発した製品も供給するというものだ。
その製品の1つが、News Consumer Insights(NCI)であり、すでにBuzzFeed、Business Insider、それにConde Nastなどの出版社で使われている。あらかじめGoogle Analyticsを通して収集されたデータを取得し、出版社にとってより利用価値の高いデータに加工するものだ。特に、異なる読者セグメントを理解したり、読者が有料の購読者になってくれそうかどうかを判断するのに役立つ。
「生のデータを、ビジネスに関する知力や、実行力を持つ洞察に変えるのです」と、Googleの分析および収益最適化の責任者兼、出版社開発責任者のAmy Adams Harding氏は説明した。
さらにGoogleは、Real-time Content Insights(RCI)という新たなツールを、NCI製品に追加した。
その名前が示すように、RCIは、出版社のサイト上で今何が起こっているのかを、各出版社に伝えることに重点を置いている。それにより、現在トレンドとなっているニュースストーリーを特定することを助け、より多くの読者の獲得に貢献する。初期のNCIデータは、出版社のビジネスおよび読者開発チームにとって、より有用なものだったと、Harding氏は指摘する。それに対してRCIは、「パートナー企業のサイトのコンテンツのダイナミックな動き、つまり何がトレンドなのか、何が下火になったか、牽引力をもっているのはどれか、といった情報を、編集サイドが理解できるよう手助けするために設計された」ものだという。
Googleは、ニュース出版社にリアルタイムのデータを提供する最初の会社というわけではもちろんない。しかしHarding氏によれば、この「開いてクリックするだけで使える」製品は、小規模のニュース編集室にとっては、特に有用なものになるはず、だという。そうした編集部は、多くのリソースにアクセスできるわけではなく、それほどデータに精通してもいないからだ。
Harding氏は、「ローカルは、Google News Initiativeの大きな柱です」と述べている。「パートナーをサポートするメカニズムとなるツールの開発を手助けするために、私たちに何がでるでしょうか? 彼らは、この変革期の中でも、持続可能であり続けることを目指しています。それは単にデジタル化というだけでなく、この多様化した収益源への移行を乗り切るための努力なのです。それは各出版社が、彼ら自身で引き受けようとしても、十分なリソースが得られない部分なのです」。
RCIは、画像を多用するダッシュボードの形式でデータを表示し、現在何人の読者が記事を読んでいるか、そしてその記事が過去30分間に獲得したビューの数を数字で示す。また、普段の日のトラフィックと比較して、今日のサイトの状況を確認し、地理的、および参照元別に、トラフィックを細分化して分析できる。
さらにこのダッシュボードは、現在Google検索やTwitterでトレンドとなっているトピックも表示する。もちろん、こうしたトピックのすべてが、それぞれの出版社の出版物にとって有効だとは限らない。しかしHarding氏は、それも編集者やライターが、カバーしているトピックの抜けに気付くのに役立つ、としている。Google検索では「人は何に興味を持っているのか?」、Twitterでは「彼らは何を話題にしているのか?」ということが見えるからだ。
ぱっと見には、RCIは、出版社が持続可能かつ多様なビジネスモデルを構築するのを支援する、という大きな目標に直接結びついているとは思えないかもしれない。しかしHarding氏によれば、RCIは、既存のNCI製品と組み合わせて使えるので、最も重要な読者を特定するのに役立つ、という。
「出版社が価値を見出すのは、『そうだ、直接参照されているトラフィックから来るユーザーのほうが重要なんだ。この記事は、そのタイプの読者からのビューを増やすことにつながっている』といったことが分かる状況なのです」と、彼女は説明する。
Googleは、RCIのソースコードをGitHubで公開しているので、力のある出版社なら、それをカスタマイズして、独自のデータ可視化機能を開発することもできると、Harding氏は付け加えた。
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画像クレジット:Google
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(翻訳:Fumihiko Shibata)