Scanwellが新型コロナ抗体テスト検証を1000人規模で開始

家庭での新型コロナウイルス(COVID-19)抗体検査については、科学者や医療関係者の間でかなりの議論がある。抗体を持っている個人を認証して経済活動を部分的に再開するプロセスにおいて必要なステップだと言う人もいれば、現在利用できるテスト手法の精度と効果に疑問を投げかける人もいる。あなたがどちらの側につくにせよ、さらなるテストが必要なのは確かだ。そしてスタートアップのScanwellが家庭での抗体検査をそれなりの規模で検証する取り組みを始めた。その一方で同社は診断にかかる緊急使用承認についてFDA(米食品医薬品局)と協議を続けている。

Scanwellは家庭用の抗体テストキット1000個を無作為に抽出した市民に配布するのにノースカロライナ州、そしてローリー拠点のWake Forest Baptist Health(ウェイク・フォレスト・バプティスト・ヘルス)の協力を得ている。この検証には州議会が10万ドル(約1070万円)を拠出した。対象者はウェイク・フォレスト・バプティスト・ヘルスのシステムに登録された患者の中から選ばれ、指先から血液を採取するキットが年間を通して毎月郵送で届く。これはウイルスと抗体を追跡するためであり、統計学的により多くの人を対象とした調査の縮図となる。

今回のScanwellのテストは、まだFDAから緊急使用の承認を受けていないため、研究目的でのみ使用することができる。FDAはこれまでのところ、遠隔診療で使用されているものも含め、COVID-19に関するいかなる家庭用テストも承認していない。しかしつい最近、「家庭用も含め、安全で正確な新型コロナウイルステストの利用を拡大するのは公衆衛生上の価値がある」とガイダンスをアップデートした。そして診断サービスの企業などと提携してテストの開発に積極的に取り組んでいる最中だ、としている。

すでに家庭用の尿路感染症診断サービスを展開しているロサンゼルス拠点のScanwell Healthは先月、家庭用の血清抗体テストの使用についてFDAの承認取得に取り組んでいると発表した。このテストキットでは、診断ラボにキットが到着すればわずか15分で結果がわかる。しかし新型コロナウイルスにかかる抗体テスト全体の精度については疑問が投げかけられている。そしてウイルスに感染し、回復した人の感染後の免疫の状態や期間についてもさまざまな意見がある。

免疫や回復した人をよく理解することは、外出禁止を徐々に緩和する上で重要な材料となる。免疫テストはその中核を担う。既存の分子テスト手法での感染テスト、そしてAppleとGoogleが実施しているシステムのような感染追跡とともに、大規模で行われる必要がある。

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(翻訳:Mizoguchi

15分で終わる新型コロナ家庭用テストをScanwellが開発、FDAの承認待ち

スマートフォンベースでの尿路感染症テストを手掛ける在宅診断スタートアップのScanwellが、新型コロナウイルスの家庭用テストを米国民に提供するべく取り組んでいる。中国の診断テクノロジー企業INNOVITAが開発したこの技術は、FDA(米食品医薬品局)に相当する中国政府の当局にすでに承認され、中国では「何百万」という人が使用している。このテストは家庭で行うことが可能で、遠隔からの医療専門家によるガイダンスに従いながら15分で終わり、結果は数時間で判明する。

ScanwellのテストはFDAの承認が必要だが、FDAの緊急認証プログラムを通じてすでに現在承認を得る過程にあるという。FDAのガイダンスでは承認プロセスには6〜8週間かかるとされている(もっと早くなることもある、とScanwellは話している)。そして現在、Scanwellは承認され次第すぐにテストを出荷できるよう、準備を進めている。FDAが緊急認証プログラムでこれまでに承認したのはPCRテストのみだが、今週初めに血清テストも含めるようガイダンスをアップデートした。Scanwellは「FDAの承認を得るのに何ら心配はしていない」とさえ話す。

Scanwellがローンチしようとしているテストは、患者の血液の中の抗体を探すという、いわゆる「血清学的な」テクニックを使っている。これらの抗体はSARS-CoV-2ウイルスにさらされたときにだけ出現する。現段階では、これらのウイルスに対する自然抗体がウイルスにさらされることなく存在するという証拠は見つかっていない。それとは対照的に、現在米国で使用されているタイプのテストである「PCR」は、ウイルスが粘液サンプルの中に遺伝子として存在するかどうかを確かめる分子ベースのアプローチをとっている。

PCRタイプのテストは、血清学的なものよりも専門学的にはより正確だ。しかし血清学バージョンははるかに扱いが容易で、より早く結果を得られる。また、全体的にはかなり正確で、PCRバージョンよりずいぶん低コストで生産できる。加えて、症状が出ている最もシビアなケースだけに限定せずに検査できるようになるかもしれず、すでに自宅で回復している症状がマイルドな人、無症状だがウイルスを持っていて他人にうつす可能性のある人を含め、ウイルスの存在を見つけ出すのに大きく貢献する。

月曜日からEverlywellが展開する予定のもののように、PCRベースの家庭用テストはすでに存在しているが、これらはテストサンプルの回収が必要で、時間もかかる。また、複雑でコストもかかり、世界的に現在不足している綿棒などの材料を必要とする。

テストが利用できるようになれば、人々はScanwellのScanwell Healthアプリにあるスクリーニングプロセスで申し込みができ、テストは翌日配送で届けれられる。検査を受ける人にはLemonaidの医師や看護師が遠隔から案内し、結果やその後のガイダンスはアプリ経由で数時間以内に示される。このテストは70ドル(約7800円)で、純粋にコストのみの費用とのことだ(Scanwellはまた、必要な人への無料サービスを提供する方法も模索している)。この検査はまずはワシントン州、カリフォルニア州、ニューヨーク州と新型コロナウイルス感染状況が深刻な他のエリアで展開される見込みだ。

テストがマーケットに出てくるまでに6〜8週間かかるとのことだ。しかし現在のCOVID-19の急速な広がりやテスト状況を考えたときに、6〜8週間というのは長いが、おそらくその頃にはこのテストがかなり必要とされているだろう。特に現在行われている他のテストを受けるための条件を満たしていない人のニーズに応えるものになる。

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(翻訳:Mizoguchi