フェイスブックのAR作成ソフト「Spark AR」がビデオ通話対応に

Facebook(フェイスブック)は、米国時間6月2日に開催された開発者会議「F8 Refresh(F8リフレッシュ)」で、同社の主力AR作成ソフトウェアである「Spark AR(スパークAR)」の新機能を発表した。Facebookによれば、Spark ARがF8 2017で発表されて以来、190カ国の60万を超えるクリエイターが200万以上のARエフェクトをFacebookやInstagram(インスタグラム)で公開しており、今や世界最大のモバイルARプラットフォームになっているという。Instagramの投稿で、自撮りした自分の髪が緑色になるエフェクトや、自分の顔を動かすことで犬の表情をコントロールできるエフェクトを使ったことがあるなら、Spark ARを使ったことがあるはずだ。

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今回発表されたMultipeer API(マルチピアAPI)の導入により、間もなくそのようなARエフェクトが、Messenger(メッセンジャー)やInstagram、そしてスマートディスプレイ「Portal(ポータル)」によるビデオ通話で利用できるようになる。クリエーターは、複数の通話参加者を共通のAR体験で結びつけるARエフェクトが作成できるようになる。公開されたプロモーションビデオでは、その一例として、ビデオ通話で行われる誕生日パーティーの様子が紹介されている。参加者の頭にはそれぞれARのパーティハットが現れる。

クリエイターは、ビデオ通話中に参加者がみんなで遊べるゲームを開発することもできる。Facebookのビデオ通話では、1分間に誰が最も多く空飛ぶARハンバーガーを口に入れられるかを競うゲームがすでに存在している。しかし、新しく軽いゲームを作れる機能が開発者に開放されれば、ビデオ通話中に友達同士で挑戦できる新しいゲームが数多く見られるようになるだろう。

このようなビデオ通話のエフェクトや複数の人が参加できるARゲームは、Sparkのプラットフォーム独自のMulti-Class Segmentation(マルチクラス・セグメンテーション)機能によって強化される。これによって、開発者は1つのエフェクトの中で、ユーザーの体を複数のセグメント(髪や肌など)ごと個別に拡張現実化することができる。

FacebookはARグラスの開発にも意欲を見せている。Spark ARのパートナーシップディレクターであるChris Barbour(クリス・バーバー)氏は、この目標はまだ「何年も先」のことだと述べながらも、革新的なウェアラブル技術の可能性をいくつか示唆している。

「友達の家のソファにテレポートして一緒に番組を見たり、ハイキング中に見かけた美しい景色の写真を共有したりできることを想像してみてください」と、バーバー氏はいう。何年か先に製品が発売される頃には、それほど未来的な話ではなくなっているのかもしれない。

2020年10月には最先端のクリエイターを対象としたプログラム「Spark AR Partner Network(スパークARパートナー・ネットワーク)」が起ち上げられ、2021年に入ってからは、Facebookの教育プログラム「Blueprint(ブループリント)」を通じて、クリエイターがARエフェクトを向上させる方法を学べるSpark ARカリキュラムも始まった。Spark AR Partner Networkの募集は、2021年の夏に再び始まる予定だ。現時点でクリエイターや開発者は、Spark AR Video Calling Beta(Spark ARビデオ通話ベータ版)を使って、ビデオ通話用エフェクトの作成を始めることができる。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ニューヨーク・タイムズが拡張現実を使ったクロスワードパズルをInstagramで公開

The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)が、名物のクロスワードゲームを拡張現実(AR)に持ち込んだ。同メディア会社は米国時間12月22日朝、AR対応の新しいゲーム「Shattered Crosswords」をInstagramで発表。プレイヤーは回転する砕けたクロスワードの破片をARで見つけて、手がかりを解くことができる。正しい視点に到達すると、プレイヤーはパズルの上にある破片の中に隠された単語を見つけることができる。

このコンセプトは「Polysphere」のような他の3Dパズルに見られるものと似ている。Polysphereは、表示されている破片をスワイプして回転させ、1つの絵を完成させるというものだ。しかし、ニューヨーク・タイムズの場合は、ゲーム体験全体を拡張現実で見ることができる。

この新しいゲームは、Facebook(フェイスブック)のARプラットフォーム「Spark」の技術を使って開発されており、ニューヨーク・タイムズがARゲーム体験を作るのはこれが初めてだと同社は述べている。

しかし、ニューヨーク・タイムズがAR技術を使うのはこれが初めてではない。

今秋、ニューヨーク・タイムズはFacebookとの複数年にわたる提携を結び、Instagram上でARを活用した一連のリポートを公開することに注力する(The New York Timesリリース)と発表した。このレポートは、AR技術を使って、よりビジュアルでインタラクティブな方法でストーリーを伝えるものだ。この新しい取り組みをサポートするために、ニューヨーク・タイムズは独自のARラボを設立。その十数人のスタッフがニュースルームの専任チームと協力して、ARジャーナリズムのコンテンツを開発している。

このARラボはこれまでに、女性参政権100周年フェイスマスクの有効性の裏にある科学カリフォルニアの山火事の報道などに関連したビジュアルストーリーの制作を支援してきた。

Facebookとの提携とは別に、ニューヨーク・タイムズは以前にもARを使った実験を始めている。たとえば2018年には、独自のiOSとAndroid向けアプリで、ストーリーを語るために拡張現実を使い始める(The New York Timesリリース)と発表した。

これまでニューヨーク・タイムズは、ソーシャルメディア上でプレイヤーを惹き付けるための方法として、Twitter(ツイッター)やFacebookなどのSNSプラットフォームで、クロスワードの「ライブ解答」を行ってきた。しかし、これらは独立したゲームでも、AR技術を使って作られたものでもなく、単なる視聴体験(Twitter投稿)に過ぎなかった。

とはいえ、この新しいゲーム自体には、ニューヨーク・タイムズによる興味深いARのデモということ以上の魅力は、限られているかもしれない。

パズルは小さくて単純すぎて、本格的なクロスワードファンにはアピールできないし、破片の中からヒントを見つけるにはジェスチャーや動きが必要で、時間が経つとイライラしてくる。また、Polysphereのようにスムーズに動かないことも気になった。

従来のモバイルゲームや一般的なクロスワードパズルと比較して、この手のパズルを度々楽しみたいという人がどれだけいるかはわからない。

この「Shattered Crosswords」ゲームは、Instagramアプリでニューヨーク・タイムズ(@nytimes)のプロフィールページを見ると、同社の他のARリポートと並んで「Effects」タブの下にある。iOSとAndroidの両プラットフォームで動作する。

カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:The New York Times拡張現実ゲームFacebookSpark ARInstagram

画像クレジット:The New York Times

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(翻訳:TechCrunch Japan)