人気の写真編集アプリ「VSCO」に複数の写真や映像を重ねられる映像ツール「Montage」が加わる

写真編集アプリとして人気の高く、Z世代のお気に入りというミームでもあるVSCOは、このところビデオに力を入れているようだ。先月、同社はついに、写真とともにビデオも投稿できる機能を加えた。そして米国時間3月4日、Montage(モンタージュ)と呼ばれるさらに強力で複雑なビデオ編集ツールを発表した

すでにVSCOには、ビデオにフィルターをかけたり、露出を調節したりと、写真編集のようなビデオ編集機能がある。しかしMontageは、それらとはまったく異なるビデオ編集体験だ。まず、ユーザーは複数のシーンのある長いストーリーを作成できる。そしてストーリーには、複数のビデオや写真、色、形などを重ねてコラージュのような作品も作れる。

その新しい機能は、VSCOのいわば原点でもあるVSCO Studioから利用できる。使用するユーザーはまず、方形、横長、縦長などの縦横(アスペクト)比を指定し、「カメラロール」から複数の写真やビデオを加えてシーンを作る。

「モンタージュ」を作るときに重ねていく像の透明度を指定できる。ビデオに加えるシーンの数に制限はない。ただし投稿できるビデオは2分以内だ。最終結果はVimeo以外でも共有できる。

VSCOがビデオに投資するこの時期には、Instagramストーリーや、人気アプリTikTokやByteによってソーシャルメディア上のビデオ共有が急激に盛んになり、ビデオを編集することへの関心も急増している。

昨年VSCOは、ビデオ技術の企業であるRyloを買収して、ビデオに注力する意思を明らかにした。Montageなどに搭載される新しいビデオ機能には、有料会員を増やしたい思惑もある。12月に同社は「今のペースでは2020年内に有料ユーザーが400万人を超え、年商は8000万ドル近くになる」とコメントした。これは、年間19.99ドルの会費によるもの。VSCOの1週間のアクティブユーザーは2000万人を超えているが、そのうち200万人強が有料ユーザーだ。

無料ユーザーもMontageで遊べるが、完成したビデオの保存や投稿は有料ユーザーのみだ。MontageのiOSおよびAndroidバージョンは、本日から提供される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Z世代お気に入りの写真共有アプリ「VSCO」が動画投稿可能に

Z世代のミームになった写真共有アプリVSCOに、動画投稿機能が加わる。同社はすでにアプリでの動画編集はサポートしていたが、ユーザーが編集した動画コンテンツを、直接VSCOフィードに投稿することはできなかった。まずはiOS版のVSCOユーザーから、この状況が変わることになる。

動画投稿機能はアプリのユーザー間で、長い間待たれていた機能であり、同社によれば、VSCOプラットフォーム上での動画編集が盛んになってきた時期をみて実現されることになったという。

過去1年間で、VSCO上での動画編集数は倍増した。さらに、同社のGIF作成ツールであるDSCOは、引き続き最も利用されている機能の1つだと同社は主張している。12月にVSCOは、動画テクノロジー企業であるRyloを買収することで、動画市場により深く入り込む意向を示した。

かつてのRyloはコンパクトカメラの製造で有名だったが、最近では一連のモバイルビデオ編集ツールに注力していた。VSCOは、これらのツールを2020年中にコミュニティに展開する予定だと述べている。VSCOはどのツールを含めるかについては言及していないが、Ryloモバイルアプリは既に、動画安定化技術や、360度ショットの任意のセクションから完全にフレーム化されたクリップを作成する機能など、たくさんのものを提供している。全体的な考え方は、まずはより気楽な方法で撮影して、あとからシーンを構成できるようにしようというものだ。

現在、VSCOの動画編集ツールは、プリセットの使用や、露出やコントラストなどの調整といった、写真編集的機能により焦点を当てている。動画投稿の開始にあたってVSCOは、Ryloによるより高度な動画機能がまもなく登場することを約束している。

2011年にローンチされたVSCOは、盛り髷、派手な水筒、金属ストロー、そして貝殻ネックレスなどを身につけたある種のZ世代ガールのパロディといったVSCOガールミームや、VSCOのフィルターによって慎重に加工されたInstagramの写真などのおかげで、最近メインストリームになってきていた。

ただし、VSCOはビジネスを後押しするためのミームを特に必要としていたわけではない。このアプリには現在、1週間あたり2000万人以上のアクティブユーザーがおり、200万人以上の有料顧客を抱えている。

さらに、VSCOは12月の時点で、2020年のどこかの時点で有料顧客が400万人を超えるペースだという発表を行っている。また同時に年額19.99ドル(約2200円)のサブスクリプションのおかげで、年間収益が8000万ドル(約88億円)に近付いていることも発表した。

VSCOは、ブランドを成長させるために11月にSnapと提携して、写真と動画に適用できるSnapchatレンズを初めて提供している。おそらく同社は現在、短い動画形式の投稿に先立って行われる編集機能の第1の選択肢となることで、TikTok世代の関心を集めたいと考えているのだろう。

iOSのVSCOユーザーが新しい動画投稿機能を使用するには、アプリの右上にあるプラスアイコンをタップしてから、動画タブに切り替えればいい。その後、ユーザーは動画を編集して、これまで写真で行っていたように投稿することができる。VSCOによれば、Android版も今後数週間のうちに登場し、動画のお気に入り追加や再公開もサポートされるということだ。

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(翻訳:sako)

有料ユーザー400万人を擁する写真共有サービス運営のVSCOが360度カメラ開発のRyloを買収

2019年のミームとなった「VSCO girls」を作りだした写真共有アプリ開発のVSCOが、ビデオ編集アプリを開発するスタートアップであるRyloを買収した。Ryloは、Instagram(インスタグラム)のHyperlapse(ハイパーラプス)を作ったオリジナルデベロッパーによって設立された。

設立8年のVSCOはサブスクリプションベースのサービスを展開しており、有料ユーザーは400万人を超えようとしている。VSCOの広報は、買収案件の詳細の公開は拒否した。PitchBookのデータによると、Ryloはベンチャーキャピタルファンディングで3800万ドル(約41億円)を調達し、2018年10月に発表した2000万ドル(約22億円)のシリーズBで評価は1億2025万ドル(約130億円)に達している。

サンフランシスコを拠点とするRyloSequoia CapitalAlumni Ventures Group、Icon VenturesAccelを含む多くの機関投資家の支援を受けている。Accelはシリコンバレーのベンチャーキャピタルファンドでオークランドが拠点であるVSCOの主要株主でもある。

2015年に設立されたRyloは、解像度5.8Kで映画のようなビデオが撮れる360度カメラで知られている。以前、このカメラは500ドル(約5万4000円)近くで販売されていたが、今ではBestBuy.comで250ドル(約2万7000円)ほどの低価格で売られている。VSCOの下で、Ryloはモバイル向けのビデオ編集ツールの作成に専念することになる。同社がTechCrunchに語ったところによると、デバイスの製造・販売は継続しないが、販売したカメラの保証には対応していくという。

RyloはAlex Karpenko(アレックス・カーペンコ)氏とChris Cunningham(クリス・カニンガム)氏によって設立された。CEOのカーペンコ氏は2013年にInstagramに買収されたビデオ撮影・スタビライゼーション・共有アプリのLuma Cameraを2011年に立ち上げた。これはInstagram初の買収だった。カーペンコ氏はソフトウェアエンジニアとしてInstagramのチームに加わったが、その後、このアプリはなくなった。そして同氏はInstagramのタイムラプスビデオアプリ、Hyperlapseの主要な開発者になった。

一方のカニンガム氏は2008年から2013年まで、Apple(アップル)でエンジニアとしてiLife、ApertureそしてiOS用のiPhotoに携わった。その後アップルを辞めてFacebook傘下のInstagramに移り、Instagram Direct専門のiOSエンジニアとして働いた。

VSCOは共同創業者でCEOのJoel Flory(ジョエル・フローリー)氏が率いている。モバイル写真編集ツールや高度な写真フィルター、チュートリアルなどアプリの全機能を利用するには年19.99ドル(約2200円)が必要だ。TechCrunchとの最近のインタビューでフローリー氏は、写真共有・編集だけでなくビデオやイラストレーションにも手を広げるという野望を描いてみせた。2015年のMoving SciencesArtifact Uprising以来となる今回の買収は、事業の成長と新たな収入源の確保が狙いだ。

「VSCOとDSCOでビデオ編集ツールが倍になったように思われていますが、我々のGIF作成ツールは最も人気のある機能の1つであることにかわりはありません」とフローリー氏は同社のブログに書いている。「我々のユーザーが、より多くのビデオツールや、クリエイティブな自己表現を通じて自分たちのストーリーを伝えるための新たな方法を欲しているのは明らかです」。

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(翻訳:Mizoguchi)

写真フィルターの模倣でVSCOが競合のPicsArtを提訴、写真編集アプリメーカー同士の争い

写真編集アプリメーカーのVSCOが、ライバルのPicsArtを相手に裁判を起こした。訴えは「VSCOのフィルターからリバースエンジニアリングされた」と思われるPicsArtの19のフィルターに関するもので、嘘を広告し、PicsArtアプリの利用規約に反しているなど法的に問題だとVSCOは強く主張している。

「VSCOは自社の貴重な知的財産となっているプリセット(別名フィルター)の開発に多大な時間と資力を費やした」とVSCOは書いている一方のPicsArtは声明でVSCOの主張を否定した。

VSCOは直接の競争相手ではないが、明らかに彼らはPicsArtを脅威と感じている。VSCOの主張は全く根拠がない。我が社に対してこのような偽りの主張をしたというのはまったく残念だ。PicsArtはこうした根拠のない主張に対して毅然として正当防衛を行い、あらゆる手段を検討する」。

具体的にVSCOは、PicsArtの従業員少なくとも17人がVSCOのアカウントをつくり(おそらく競争行為としては一般的ではない)、彼らはフィルターをリバースエンジニアリングするためにそうしたアカウントを使用した、と主張している。これは、「ユーザーはVSCOコンテンツから生じた派生的な作品の販売、認可、貸し出し、修正、流通、コピー、複製、トランスミット、掲示、公演、出版、改造、編集、創作を行わないことに同意する」と定めている利用規約に反しているという。

加えて、PicsArtはPicsArt Goldサブスクリプションのフィルターを「唯一」「Goldユーザーだけ」などと表現することで虚偽の広告を展開しているとも訴えている。

なぜVSCOは、PicsArtのフィルターがVSCOのものをベースにしていると確信しているのだろう。その理由が訴状に書かれている。

VSCOのカラーサイエンティストは、PicsArtが公開している少なくとも19のプリセットが事実上、VSCOのアカウントでしか手に入らないVSCOのプリセットと同一であると結論づけた。具体的に言うと、そうしたPicsArtのフィルターは、VSCOのものより2つのCIEDE2000ユニットより少ないMean Color Difference(MCD)となっている(いくつかのケースでは2つのユニットよりはるかに少ない)。フィルター間のわずか2つのCIEDE2000ユニットというMCDは人の目ではわからず、偶然やマニュアルでの近似でできるものではない。そうしたことから、PicsArtはVSCOのアプリにアクセスするのに従業員のVSCOユーザーアカウントを使わなければ、PicsArtとVSCOのフィルターの類似性をそのようなレベルにできず、VSCOのプリセットをリバースエンジニアリングした。

また訴状では、VSCOの弁護士が2月に、VSCOからリバースエンジニアリングしたりコピーしたりしたフィルターを特定して削除するよう求める手紙をPicsArtに送ったことも記されている。この手紙では「そうしたフィルターによる売上高と収益の計算」と、VSCOのアカウントを作った従業員を特定することも求めている。

VSCOの話では、その後PicsArtは「期待よりもよくなかったフィルターの取り替えと、その他の修正をしている最中だ」と答えた。ここには疑いの19フィルターが含まれていたが、そのうち17のフィルターのみが削除された。そして推定では、「新しいフィルターの2つがVSCOが所有するプリセットからのリバースエンジニアリングと類似している」とのことだ。訴状ではまた「VSCOが要求した情報もPicsArtは提供しなかった」としている。

VSCOは具体的な額を訴状に記していないが「VSCOのフィルターを使ってPicsArtが得た利益に相応するもの」と、差し止め請求権、損害補償、「是正広告の費用」を要求している。

訴状の全文は下で閲覧できる。

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(翻訳:Mizoguchi)