コロナ禍でも成長中の短期レンタルアパートCosiが約26億円を調達

ベルリンを拠点とし、ブティックホテルや短期滞在型管理アパートに代わる選択肢を提供するスタートアップのCosi Group(コシグループ)が、2000万ユーロ(約26億円)の新規調達を明らかにした。

ラウンドを支えたのはウィーンを拠点とするSoravia(ソラビア)。同社はドイツ語圏の国々の大手不動産グループだ。既存の投資家からCherry Ventures、e.ventures、Kreos Capital、Bremkeが参加し、また多くの個人投資家もそれに続いた。個人投資家にはFlixbus、Travelperk、ComtravoおよびCosi自身の創業者が含まれるとのことだ。

Cosiは新しい資本により欧州での国際的な拡大を加速し、新しいブランドを築き、まもなく「新しい戦略的ビジネスユニット」を立ち上げると述べている。

もともとは、上手く運営されているブティックホテルや伝統的な地元の管理アパートメントと競合する、テクノロジーを装備した、または「フルスタック」のホスピタリティサービスだと説明されていた。同社は不動産所有者と長期リース契約を締結し、アパートメントに家具を備えつけインテリアデザインエクスペリエンスをコントロールする。同社はプロセスをデジタル化し、可能な場合は自動化したと主張している。最初のコンタクトから顧客ロイヤリティまで、ゲストの旅を通してサービスの品質を拡大し維持するためだ。

CosiのCEOであるChristian Gaiser(クリスチャン・ゲイザー)氏は筆者に、このスタートアップはパンデミックの影響を緩和できただけでなく、実際に成長したと語っている。パンデミックの間に複数の国でフルロックダウンが実施されるなどして、旅行が大きく制限されたが、同社が成長できたのは、休暇の旅行や短期出張に依存しない「新しい需要チャネル」を切り開いたためだ。

「ミッドステイ」(1カ月以上滞在するゲスト)と呼ばれる例としては、ある都市に到着し、長期のアパートが見つかるまで1〜2カ月家が必要な人や、シェアアパートメントから離れる必要がある人(おそらくリスクがより少ないため、または自宅で仕事をするため)、もしくは家を建てたり改築したりしているがパンデミックのために建設の遅れに直面している家族などがある。

「このようにして90%以上の稼働率に達し、キャッシュフローがプラスのまま事業を運営することができました」とCosiのCEOは付け加えた。「私が学んだ教訓はこういうことです。ほとんどすべての需要チャネルが枯渇したとしても、コントロールできることに集中すれば多くのことができます。私たちは新しい需要チャネルを活性化しただけです」。

さらに、パンデミックは需要の好みの変化を加速させた。巨大なホテルは個人用のアパートメントスタイルの宿泊施設に比べて人気が低くなっているとゲイザー氏はいう。

一方、Cosiは「供給の大幅な増加」も目にしてきた。ホテル業界では、業績の悪いホテル物件について特に多くの買収の機会がある。また、オフィススペースの需要が大幅に縮小していることから、ミッドステイの宿泊施設として使用するためにオフィススペースから転換する提案も受けている。

「新型コロナ下における強力な業績のおかげで、私たちは不動産コミュニティの間で多くの信頼を築き、ますます多くのオファーを受け取っています」とガイザー氏はいう。「こうした要因により、都市によっては供給価格が大幅に下がることもあります」。

そのために、Cosiは現在750ユニットの契約を有しており、さらに1500ユニットについて交渉中だ。

「長期的な観点から、Cosiの成長を加速する最適なタイミングです。みんなが怖がっていたりショックを受けたりしているときに明確な計画があれば、大きな勝利を収めることができます。私たちのビジネスモデルは回復力があり、凪いだ海でも荒れた海でも船を航行させる能力があることを示したために、投資家はこの計画に賛成したのです」とCosiのCEOは語る。

カテゴリー:その他
タグ:Cosi Group資金調達ホテル

画像クレジット:COSI Group

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(文:Steve O’Hear、 翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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