サーバーレスのデータ基盤ツールで非構造化データセットを解決する独Tiloがプレシード調達

一般的に企業内で使用されるデータセットは、ほとんどの場合さまざまなソースから、さまざまな非構造化形式で提供されている。それらを結びつけることは、非常に大きな頭痛の種になり得る。しかしそれができれば、特に金融分野では、不正行為の検知やKYC/AMLチェックなど、さまざまなメリットがある。これは特に金融機関が直面する問題だが、新型コロナウイルスの接触者追跡調査や一般的なビジネスインテリジェンス分野でも役に立つ可能性がある。

現時点で使用されている主なプラットフォームは、Neo4j、Senzing、またはAWSのNeptuneなどだ。あるいは、企業はElasticsearch(エラスティックサーチ)を使って独自のソリューションを構築しようとしている。だが、解決すべき大きな問題であることに変わりはない。

大企業からスピンアウトして理論を検証してきたベルリンの新しいスタートアップが、この難しい問題を解決しようとしている。

Tiloのデータ基盤ツール「TiloRes」は、サーバーレスでありながら、ほぼリアルタイムで大規模なデータマッチングを可能にすることで、企業が異なるソースやフォーマットのデータポイントをマッチングさせるのに役立つとしている。

Tiloは今回、欧州のVCであるPeak Capitalが64万ユーロ(約8300万円)を出資してリードしたプレシードラウンドで、120万ユーロ(約1億5500万円)のプレシード資金を調達した。今回の資金調達には、ベルリンを拠点とするTiny VC(Philipp Moehring、フィリップ・モエリング氏)、First Momentum Ventures、Enduring Venturesの他、Algoliaの創業者やContentfulの元CMOなどのエンジェル投資家が参加している。

Peak Capitalの投資先には、グローバルオークションマーケットプレイスのCatawiki、ヘッドレスコンテンツ管理システムのGraphCMS、オムニチャネルコミュニケーションプラットフォームのTrengoなどがある。

Tilo は、KYC/AML用のアプリケーションに加えて、新型コロナの接触者追跡調査に携わるすべての組織に、同社のソリューションを無料で提供する予定だ。

2021年11月に設立されたTiloは、企業やスタートアップとともにパイロットプロジェクトを開始した。Tiloのビジネスモデルは、企業がTiloResで処理するデータ量に応じてライセンス料を徴収するというもの。サーバーレスであるため、使用量に応じてコストが変動し、サーバーベースのソリューションよりも安価に利用できる。

Gartner(ガートナー)によると、Tiloが挑戦する市場は大きく、650億ドル(約7兆4740億円)の規模があると言われている。

TiloのSteven Renwick(スティーブン・レンウィック)CEOはこう述べている。「当社の最大の強みは、データがどれだけ増えても、エンティティがどれだけ複雑になっても、データの検索、照合、評価(例:オンライン決済プロセスにおける不正行為のチェック)がほぼリアルタイムで行われることです。これは、ほぼ常にリアルタイムの応答速度が求められる現代のニーズにとって重要なことです」。

Tiloの創業チームであるCEOのレンウィック氏、CTOのHendrik Nehnes(ヘンドリック・ネネス)氏、CDOのStefan Berkner(ステファン・ベルクナー)氏は、以前はドイツの消費者信用調査機関であるRegis24の技術チームだった。しかし、Regis24は彼らのソリューションをスピンアウトさせ、このスタートアップに戦略的に出資することに合意した。

PeakのDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイスのドイツ語圏)責任者であるMadeline Lawrence(マデリン・ローレンス)氏は次のようにコメントしている。「正直なところ、最初は Tiloが何を解決しようとしているのか分かりませんでした。そして、私たち自身がデータマッチングに苦労していることに気づきました。CRMの重複やスペルの違いが私たちの頭痛の種になっているとしたら、さらにリスクが高く、ニーズがリアルタイムで、問題となるデータの規模が桁違いに大きい場合の苦痛を想像してみてください」。

画像クレジット:Tilo Team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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