中国での電力供給不足からくる工場の減産により、半導体の原料である金属シリコンの価格が2ヶ月足らずで約4倍にも高騰し、アップルをはじめとする大手ハイテク企業にとって大問題となる可能性が浮上しています。
金属シリコンはテクノロジー業界で重要な役割を果たしており、チップ製造のみならずガラスやコンクリート、太陽光発電パネルやシリコン製品などの様々な産業に使われています。シリコンは地殻の28%を占めるほど豊富に存在するものの、精製された高純度なシリコン原料は生産が追いつかず原料メーカーは増産に追われていましたが、中国での減産により供給がさらにタイトになっている模様です。
これまでの世界的な半導体不足は、チップ需要の増加や水不足などが原因となっていましたが、そこにシリコン原料の生産量が減らされたことが追い打ちを掛けるかたちです。
Bloombergの報道によると、中国政府が国内の電力消費量を減らすため、金属シリコン製造の主要拠点で減産を命じているとのことです。たとえば国内第2の生産地である雲南省は、9月~12月は8月の水準より90%の減産を命じられたそうです。そのため以前は1トンあたり8,000元~1万7000元(約13万3000円~27万円)だった金属シリコンが、現在では6万7300元にまで値上がりしたと伝えられています。
すでに材料不足は太陽電池業界にも影響を与えており、太陽電池用ポリシリコンは先週水曜(9月29日)に13%も値上がりし、2011年以来の最高値を記録しています。
またシリコン価格は長期にわたって高止まりすると予想されており、上海金属市場のアナリストの見解では2022年夏まで高水準が続くとのこと。その時期になれば、同年後半にかけて生産が増やせる見通しが開けると述べられています。つまり、それまではシリコン価格の値上がりが減産による品不足や、最終的に消費者が支払う価格などに影響する可能性があると思われます。
これまでアップルは例外的に半導体や部品不足の影響を免れてきたと見られていますが、とはいえiPhone 13 Proモデルの出荷予定は11月までずれ込んでいます。もしかすると、年末までに発売が予想される新型MacBook Proなどにシリコン不足のしわ寄せが直撃するのかもしれません。
(Source:Bloomberg。Via AppleInsider。Engadget日本版より転載)