ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰

ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰

DIMITAR DILKOFF via Getty Images

アップルはウクライナ侵攻を受けてロシアでの製品販売を停止しましたが、それによりロシア国内の小売業者が経済制裁とインフレに備えてか、iPhoneやMacの価格を大幅に引き上げていると報じられています。

ロシアのテック系サイトiPhones.ruによると、アップルがロシアでの一時的な販売停止を発表した後に、同社の製品は「ほぼ全ての場所で」価格が急上昇していると伝えられています。

最たる製品は16インチMacBook Pro(2021)のM1 Max/RAM 64GB/1TBモデルで、2日時点での価格は113万8070ルーブル、およそ110万円以上と見積もられます。ちなみに、ここ数日ルーブルは暴落しているので、全ての円換算は「およそ」となります。

ウクライナ侵攻を受けた販売停止によりロシアでアップル製品価格が暴騰
またiPhone 13 Pro Max(1TB)は30万ルーブル以上で、ほぼ29万円ほど。iPhone 13系で最も安いiPhone 13 mini(128GB)でも約9万円以上となっています。またApple Watch Series 7の最も高価なモデルは約19万円、12.9インチのM1 iPad Pro(2TB)は35万円ほどという高騰ぶりです。

またロシア国内では、欧米がロシアの大手銀行5行への経済制裁を実施したことから、それらの口座に紐付けられたApple Payも利用停止となっています

ウクライナの人々はもちろん、物価の高騰や物資不足に苦しめられているロシアの方々、原油や天然ガスなどが途絶する危機に晒されている全世界を救うためにも、ロシア軍の侵攻が一刻も早く中止されることを祈りたいところです。

(Source:iPhones.ru。Via iMoreEngadget日本版より転載)

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

キオクシアの三重県四日市工場と岩手県北上工場の一部操業停止により、SSD用チップが最大10%高騰する可能性

iFixit

アップル製品向けにNANDフラッシュメモリを供給する主要サプライヤーの1つが生産工程の一部を停止したため、今後NANDフラッシュの価格が最大10%上昇するかもしれないとの予想が報じられています。

今月10日、半導体メーカー大手のキオクシア(旧東芝)は四日市工場と北上工場で生産工程の一部を停止したと発表しました。3次元NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の部材に不純物が混入していたとされており、少なくとも6.5EB(65億GB)分の製造が減少すると述べています。

今回の件につき市場調査会社のTrendForce社は、SSDの主要構成要素であるNANDの価格が最大で10%高騰する可能性があると警告しているしだいです。

アップルはiPhone 13やM1 Pro/Max MacBook Pro、iPad Proなど、多くの製品にキオクシアのNANDフラッシュを使っていることで知られています。たとえば修理業者iFixitがiPhone 13 Proを分解した際にはキオクシア製のNANDフラッシュが1つ、16インチのM1 Pro搭載MacBook Pro(SSD 256GB)ではキオクシアのKICM225UZ0460 128GB NANDフラッシュが2つ確認されました。

世界的な半導体不足のなか、2021年のPC出荷台数は前年比15%増との調査結果もあり、2022年にはさらに伸びるとの予想もありました。そこにNANDフラッシュの不足や価格が高騰する可能性が生じたことは、今後数カ月にわたって影を落とすかもしれません。

TrendForceによれば、米ウェスタンデジタルとキオクシアの提携はNANDフラッシュ市場の約30%に相当するとのことです。両社は主にPC用のSSDとeMMcストレージを供給しており、それだけPCの生産量に深く関わっているといえます。

混入の原因は明らかになっておらず、市場に出回っている製品を回収する必要があるかどうか、また生産をいつ再開するかも不明です。

米9to5Macは、もしもNANDフラッシュが値上がりしても、アップルが自社製品の価格を引き上げる可能性は低いと推測しています。

なぜならアップルは部品の調達交渉をかなり前から行う傾向があり、今後の契約ではコストが上がる可能性はあるものの、直近の製品に影響するとは考えにくい。その後も影響があるのは数カ月だけで、そのコストはアップルが負担して価格に上乗せしないと思われる、というわけです。

ただし該当する工場で作られたNANDフラッシュを使ったアップル製品が、今後リコールされる懸念はあるとの趣旨も述べられています。アップルで何か動きがありしだい、本誌でもお伝えする予定です。

(Source:キオクシア。Via the VergeEngadget日本版より転載)

アップル、自分でiPhoneやMacを修理するための純正パーツ・ツールを提供するプログラムを発表

Apple(アップル)からうれしい、そして予想外のアップデートがあった。同社は、ユーザーが自宅でデバイスの一般的な修理を行えるようにするための新しいプログラム「Self Service Repair」を発表した。このプログラムでは、故障したデバイスを持っているユーザーに、同社のGenius Bar(ジーニアスバー)で使用しているものと同じ「Apple純正」のツールや部品が提供される。

また、新しいApple Self Service Repair Online Storeでは、オンラインの修理マニュアル(動画ではなくテキスト)を提供する。これは、同社が独立系修理業者(現在、米国内に2800社とApple正規サービスプロバイダー5000社が存在)向けに、ディスプレイ、バッテリー、カメラの修理を中心にiPhone 12と13から展開してきたものと似ている。また、M1Mac向けの同様のサービスも「間もなく」開始する予定だ。

COOのJeff Williams(ジェフ・ウィリアムズ)氏は今回の発表のリリースの中で「Apple純正部品へのアクセスを拡大することで、修理が必要になった際の顧客の選択肢がさらに広がります」と述べている。「Appleは過去3年間で、Apple純正部品、ツール、トレーニングを利用できるサービス拠点の数を約2倍に増やしてきましたが、今回、自分で修理をしたい人のための選択肢を提供します」。

Appleは具体的な価格をまだ公表していないが、顧客が破損した部品をリサイクルのために郵送した場合、最終的な価格に対するクレジットを得る。2022年初めに米国でサービスを開始する際には、約200種類の部品やツールを提供する予定だ。修理作業を自宅で行っても機器の保証は無効にはならないが、修理の過程でさらに製品を破損させてしまった場合は無効になるかもしれない。なのでマニュアルをしっかりと読んだ方がいい。これらを確認した上で、Apple Self Service Repair Online Storeから部品を購入できる。

今回のニュースは、修理する権利の法制化を求める動きが強まっている中でのものだ。これには家電業界の一部の大物が反対している。米議会図書館は最近、ユーザーによる修理を妨げるDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の適用除外を承認した。「違法な修理制限に対処するために、FTC(米連邦取引委員会)は法的権限に基づいて、適切な法執行や規制、消費者教育などの選択肢を追求していく」と記されたFTCの5月の議会への書簡を受けて、大統領までもがこの問題に取り組んでいる。FTCはまた、消費者が購入・所有した製品を修理する際の選択肢を確保するために、州または連邦レベルで議員と協力する用意がある、としている。

修理できるようにすることを支持する人たちは、計画的な陳腐化による価格負担の軽減や、E-waste(廃棄物)に関する世界的な関心の高まりなど、多くの問題を挙げているが、後者は過去数年間にわたってAppleが取り組んできた問題でもある。スマートフォンの技術が高度化するにつれ、家庭での修理がますます困難になっている。バッテリー交換が可能だった時代からは程遠い状況だ。こうした中、ユーザーの修理性を前面に押し出したFairphoneのようなブティック系の製品が生まれた。

Appleの新しいプログラムは、2022年以降、さらに多くの国で展開される予定だ。それでも同社は明らかに、状況が許す限りユーザーに正規販売店での修理を奨励しているが(特にAppleCare+に加入している場合)、自分の手で解決したいと考える多くのユーザーにとっては、これはすばらしい一歩となる。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

M1 Pro / M1 Max搭載MacBook Proを使った暗号資産イーサリアムのマイニングは効率的!? ただし元を取るまで17年かかる

UFD Tech

新型MacBook Proに採用されたM1 ProおよびM1 Maxは大幅な性能アップを実現していることから、暗号資産のマイニング(採掘)に使えないかと脳裏をよぎった人も少なくはないはず。それを実際に試してみた結果が報告されています。

海外掲示板Redditにも、同じ疑問を抱いた人たちがスレッドに集まっています。最初の「M1 Maxは55MH/sでETH(イーサリアム)を採掘できる?メモリの帯域幅はRX 6700 XTとRTX 3060 Tiの間だ」というお題をきっかけに「M1 Maxが40以上のMH/sを出せるなら、M1 ProではなくM1 Max MacBook Proを注文するよ」などの話題が盛り上がっています。

ちなみに「MH/s」とは暗号資産を採掘する速度であるハッシュレートの単位であり、1秒間の計算が100万回ということです。

さらに「考慮すべき事実は、最も効率的なSoCであり、専用GPUよりも電力消費がずっとずっと少ない。MacBookのリセールバリュー(買取や下取り価格)は基本的に市場で最も優れています(中略) SoCには、画面出力、超高速ビデオエンコーディング、暗号化、非常に強力なニューラルエンジンなど、特定の処理に特化した複数の専用プロセッサが搭載されています(中略)基本的には最も効率的な汎用CPUであると同時に、最も効率的なプログラマブルASICでもあるんだ」といったレスポンスもあり。

また「私は64GBのM1 Max 16(インチ)を持っていますが、ハイパワーモードで動作させたところ、ストックのethminer-m1バイナリで約10.25MH/が出ています。決して高速ではありませんが、非常に効率的で、1Wあたりのハッシュレートはおそらくとても良いでしょう」との声もあります。

そして実際にテストをして、数字を出している人もいます。YouTuberのUFD Tech氏はM1 Pro搭載Macで採掘をして、その電力効率の良さに驚いています。すでにM1 Mac向けに暗号採掘用のコンパイル済みバイナリソースコード)が配布されており、本動画ではそのインストール方法と使い方(今回はイーサリアム)が説明されています。

まず注意すべきは、バックグラウンドでのマイニングはしない方がいいということ。ちょっとしたWebブラウズでもマシンのパフォーマンスを落としてしまうので、Macを使わないときのみ実行したほうがよさそうです。

そうした注意を払った結果、M1 Proでは5MH/s以上の速度が出ており、総消費電力はわずか17W。Windows PCで同じ結果を出すためにははるかに多くの消費電力を必要とすることからも、十分にいい結果と言えそうです。

ただし電気代を差し引いた後の利益は、1か月あたりわずか12.82ドル、1日あたり約42セントにすぎません。もしも暗号資産マイニングのためだけにMacBook Proを買うとすれば、元を取るのに17年はかかる計算となります。購入から4~5年で下取りに出すとすれば利益はもう少し改善しそうですが、いずれにせよ小遣い稼ぎの域を出ることはなさそうです。

すでに購入している人は、Macを使っていないときにマイニングをしても害はなさそうではありますが、一攫千金は望むべくもないと思われます。4Kや8K動画編集などでM1 Max MacBook Proを24時間フル操業させている人は、今まで通り本来の業務に専念させておくのが賢明かもしれません。

(Source:RedditUFD Tech。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

【レビュー】Appleの14インチMacBook Pro(2021)、新・旧機能の融合

TechCrunchスタッフのリアクションはすばやく、私の知る限り、全員共通だった。特定の新機能についてこれほど多くの同僚たちが心から興奮したところを見たことがかつてあっただろうか。MagSafeが帰ってきた。iPhoneバージョンではないオリジナル(あちらにも魅力がないわけではないが)。MacBookバージョンだ。2017年にApple(アップル)が、オールUSB-C / ThunderboltのMacBook到来とともにあっさりと見捨てたあのバージョンだ。

これが、新しいプロ向けノートパソコンの長文レビューの始まりとして奇妙であることはよくわかっている。MagSafeが、2021 MacBook Proの最重要ポイントではない。最大の特徴はほぼ間違いなく、新しいチップ「M1 Pro」と「M1 Max」だ。しかし、この独自コネクターは重要な縮図である。ポートに喜び、ポートに悲しみながらこのシリーズにこだわってきた長年の信奉者にとっては魅力的な目玉となる。

新モデルは全部のせノートパソコンではない。実際Appleはそういう製品を出さない。しかし、同社はいくつかの新機能を追加するとともに、多くのユーザーが消えてしまうことを恐れていたに違いないかつての大好物を復活させた。MacBookが進化する過程において、さまざまな機能がやってきてはいなくなった。去る2016年にヘッドフォンジャックが廃されたとき、Appleはそれを「勇気」と呼び不評を買った。あれはAppleが明確に時代の先頭にいた数多くの場面の1つだった。ただし、それは勇気の話だ。ものごとはいつも予定どおりに運ぶわけではない。

画像クレジット:Brian Heater

我々消費者は、変化を要求し、一方でそれについて不満をいう。我々を満足させるのは大変だ。中には、ヘッドフォンジャックやその前のディスクドライブのケースのように、メインストリームの消費者の利用形態が追いつき、多くの人にとってその機能がほとんど惜しまれないこともある。メーカーの勇み足だったこともある。USB-AからUSB-Cへの転換についていえば、あれは明らかに不可避な進化の兆候だった。しかしMagSafeを失ったのは痛かった。

そのコネクターは、幸いにも帰ってきた。改良された形状で。他にSDXCカードスロット(SD 4.0規格、UHS-I、UHS-II SDXCカード対応)、HDMIポート、そして現在のMacラインナップから消えていたファンクションキーの隊列(窮地にたたされたTouch Barを置き換えた)も。USB-Cポートは3つで、13インチモデルの4つから減った。ポートを失いたい人などいないが、HDMIとMagSafeの復活は多くの人が正当なトレードオフだと感じているに違いない。個人の意見だが。

Appleは、同社のパソコン製品ラインナップにとって長年基盤となっているクリエイティブのプロたちを奪還しようと組織的な努力を行った。そして、多くの意味で、新しいProモデルはその最も純粋な意思表示だ。それはパワフルで図体の大きいMacの未来を示唆するマシンであるとともに、過去のヒットをいくつか再現している。

1年経ってみると、2020年の13インチMacBook Proは一種の珍しい存在になるのだろう、2016年のMacBookと同じように。現在も14インチ、16インチモデルの13インチの姉妹として製品ラインナップに残っている。奇妙な位置づけだ。実際のところ13インチMacBookのDNAは、同時に発売されたAirとの共通点の方が多く、たぶんMacBook Pro LiteかMacBook Air+ のようなものだ。当時、2つのモデルに我々が期待したような違いは見られなかったが、2021年のProモデルは「差」をはっきりさせた。

新モデルの中心は、もちろん、Appleの最新シリコンだ。我々は2021年10月の「Unleashed(パワー全開)」イベントで新チップが登場することを予測していたが、Appleは2種類のチップで我々を驚かすことに成功した。M1 ProとM1 Maxだ。いずれもM1(同じ5nmアーキテクチャーで作られている)のパワーアップ版だが、ほとんどのユーザーのほとんどのシナリオでは、2つのチップの違いは取るに足らない。そもそもほとんどのユーザーのほとんどのシナリオでは普通の古いM1が十分仕事をこなす。しかし、Appleのデモがターゲットにしているのはほとんどのユーザーではない。それはクリエイター層という、3Dレンダリング、8Kビデオ編集をはじめとする10年前のノートパソコンでは不可能に近かった作業でシステムを限界まで押し広げる人たちだ。

画像クレジット:Apple

要約すると。

  • M1:160億トランジスタ、8 CPUコア、7/8 GPUコア、メモリ帯域幅68.25 GBps、最大メモリ16 GB
  • M1 Pro:337億トランジスタ、8/10CPUコア、14/16 GPUコア、メモリ帯域幅200 GBps、最大メモリ32GB
  • M1 Max:570億トランジスタ、10CPUコア、24/32 GPUコア、メモリ帯域幅400 GBps、最大メモリ64GB

AppleがProとMaxを発表した後、すぐに湧いた疑問はAppleが2つのチップをどう使い分けるかだった。結局、同社は正しい選択をしたと私は思う。Maxを両方のシステムのアップグレードとして提供した200ドル(日本では2万2000円)で。もちろん金額はすぐにかさむが、Apple.comのショッピングカートにとっては歓迎だ。AppleはM1 Max、10コアCPU、32コアGPU、64GB RAM、2TBストレージという構成のシステムを編集部に送ってくれた。


メモリのオプションは16~64GB(後者はMaxでのみ使用可)、ストレージは512GBから最大8TBまで選択可能。この構成のシステムは4100ドル(日本では税込47万5800円)。ストレージを8TBに増やすと5899ドル(税込67万3800円)になる(ちなみに16インチにすると約68万円を超える)。これはエントリー構成の1999ドル(税込23万9800円)より3900ドル(約43万円以上)高い。



このベンチマークはスペックの違いを裏づけている。GeekBenchのAppleシリコン向けシングルコア・テストは大きな違いを見せておらず、2020年MacBook Proの1711に対して1781だが、マルチコアのスコアは7549から1万2674と飛躍的に向上している。



このGFXBench Metalグラフィックテストでは、新しいGPUがAztecデモで3490フレーム(54.3fps)から7717.5(120fps)へ、オフスクリーン版で4981フレーム(77.4fps)から1万7981(279.6fps)へと急上昇している。前者では一部のNVIDIA GPUより劣っているが、後者では他を圧倒している。中でも特に注目すべきなのは、Appleが高い性能数値をほとんどのライバルより著しく少ない電力消費で実現していることだ。

画像クレジット:Brian Heater

本機が熱を持たないという表現は行き過ぎだ。アルミニウム筐体の底部は快適な温かさになるが、真実はといえば内蔵ファンを働かせるためにはシステムにかなりの負荷をかける必要がある。バッテリー持続時間も長い。1回の充電でApple TV+を17時間29分見ることができた(新作のドキュメンタリー、Velvet Undergroundはいい。なぜわかるかというと「何度も」見たから)。ちなみに復活したMagSafeによる充電は高速で、0から50%まで30分で充電できた(96または140Wの電源アダプター使用)。3つあるUSB-Cポートでも充電が可能(専用プラグを家に忘れた時に重要)だが、速度は落ちる。

MagSafeプラグにはすてきなブレイデッドケーブルが付いてくるが、外見を除けばみんなが知っていてほとんどの人が愛する簡単着脱プラグと驚くほどよく似ている。

新しいMacBookは新しい内部に合わせてデザイン変更もなされている。たとえば16インチモデルは先行機よりも厚く、重くなり、4.3から4.7ポンド(2.1、2.2kg)に、高さ0.64(1.62cm)から0.66インチ(1.68cm)に増えている。14インチは13インチの3ポンド(1.4kg)対して3.5ポンド(1.6kg)だが高さは小さな姉妹と変わらない。

2020年版Airを持ち歩いている1人(時々アパートを離れるとき)として、これは無視できる違いではない。私の大胆な憶測は(少なくとも今のかたちの)13インチMacBookの将来を危ぶんでいるが、薄くて軽いAirがいなくなることは想像できない。

画像クレジット:Brian Heater

14.2インチのディスプレイは大きくて明るい3024×1964画素。13インチの227ppiに対して254ppiだ。2020年の輝度500nitは、持続時1000ニト、ピーク時1600ニトへと上昇した。これはミニLEDアレイと120Hzのリフレッシュレートのおかげだ(ProMotionテクノロジーによって作業に適応する)。支えているテクノロジーは最新のiPad Proや多くのノートパソコンに見られるものと類似している。

MacBook Air 2020(左)、:MacBookPro 2021(右)

このリモートワーク時代にはありがたいことに、FaceTimeカメラがアップデートされ、2021年の新iMacと同じ1080pカメラになった。これは2020年のProとAirに搭載されていた720pカメラからのうれしいアップグレードで、これまでは画像処理技術とM1の性能に頼ってホワイトバランスの改善や画像ノイズを減らしていた。上の画像でわかるように、最新のAirと比べてかなり劇的な向上だ。

画像クレジット:Brian Heater

ベゼル(前面カバー)は前モデルより24%減少した。エッジ・トゥー・エッジまではいかないが、近づきつつある。この変更にともない、おそらく最も賛否を呼ぶ変更が、恐ろしいノッチ(切り欠き)の追加だ。このノッチの活発な評価についてはDevin(デビン・コールドウェイ)の記事を読んで欲しい。私は概してノッチにとらわれない立場で、つまり当然フルスクリーンがベストだが、ノッチが存在する理由も理解している。これは、Appleが4年前のiPhone X発売以来iPhoneで採用し続けているものだ。

関連記事:【コラム】アップルがMacBook Proにノッチを付けてしまった

先のイベントで会社がいうには「これはコンテンツに余分なスペースを与える実にスマートな方法であり、フルスクリーンモードでは16対10のウィンドウが得られ、見た目もすばらしい。これはシームレスです」。慣れるまでに少し時間が必要であることは間違いないと私はいっておく。

他のモバイル機器メーカーには、ピンホールあるいはスクリーン下カメラを採用しているところもある。後者は大部分が失敗で、画質が著しく損われる。Zoom会議の時代のウェブカムには決してあってほしくない事態だ。ノッチの採用は実質的にこれまでベゼルがあった上部にスクリーン財産が追加されたことを意味している。ほとんどの場合、適切な暗い背景や、フルスクリーン動画ならレターボックスの黒いバーが隠せないものではない。

しかし、フルスクリーンモードで、特にメニューシステムに依存の強いアプリにとっては厄介だ。メニューバーは自動的にノッチを回り込む。デベロッパーは何もする必要がなく、メニュー項目が隠されないうようにシステムがメニューバー移動する。これはノッチ対応はもちろんまだでAppleシリコンバージョンをまだ出していないAudacityの場合だ。ちなみにマウスポインターは、実質的にノッチの下を通過して動く。

14インチ画面以上のものが必要になった時(そういうときもあるだろう?)、ProチップはPro Display XDRを2台同時にサポートできる。Maxなら、Pro Display XDRと4K TVを動かせる。復活したHDMIポートは4K60およびHDRビデオに対応している。

画像クレジット:Brian Heater

キーボードはここ何年かMacBookラインナップにとって一種の弱点だった。うれしいことに、2020年同社はようやく実績ある機構に戻した。キーの固着や最終的にキーボード交換プログラムに至った惨劇を受けてのことだ。現在の構成は、ノートパソコンのキーボードではソフトな側に寄っているが、数年前の頑強な過ちより何光年も前進している。

Touch Bar(タッチバー)がそれ自身「頑強な過ち」に当たるかかどうかは視点の問題だが、Appleの予想に達しなかったことはかなりはっきりしている。キーボード上部に超薄型タッチディスプレイを置くことは理論上は興味深いアイデアだったが、定常的に触れ合った人が多くいたとは思えない。これは、好きになりたいけれども、最終的に存続する理由を正当化できずに提案を断念する類いのものだった。つまり、私は、それが消えゆくことを悲しまない1人だ。

画像クレジット:Brian Heater

完全な死を悼むにはまだ早い、なぜなら13インチMacBookにはまだ必死でしがみついていくのだから。しかし、まあ、その入力デバイスの未来は決して明るいとはいえない。代わりに、フルハイトのファンクションキーが戻り、Appleはその復活をすばらしい新機能として位置づけた。会社はこう書いている。

このたび、Magic Keyboardがフルハイトのファンクションキーを初めてMacBook Proにもたらしました。プロの愛するメカニカルキーの感触とともに。

キーには、明るさ、音声入力、音量、Spotlight、Siri、おやすみモード、音楽再生などが割り当てられている。さらに、常にTouch Barの最高の部分であったものを維持している。Touch IDだ。今度は2020年のAirに付いていた小さな突起ではなくフルサイズのキーだ。

画像クレジット:Brian Heater

MagSafeの復活と同じく、Touch Barの放棄は、新しいMacBookが数年来で最高と言われる主要な理由だ。彼らはいくつかの重要な ブレイクスルーを成し遂げてきた過去の世代のテクノロジーと学習に基づき、何よりもユーザーのフィードバックに耳を傾けて開発してきた。それは、うまくいかないものから離れ、うまくいくものを強化することを意味し、とりわけ重要なのは消費者にとって何がベストであるかを自分が知っていると思わないこと、非常に特化したクリエイティブのプロが相手となればなおさらだ。

税込23万9800〜67万3800円という価格は、みんなのためのMacBookという感じではない。ほとんどの消費者にとってはMacBook Airが役割を果たすかそれ以上だろう。しかし、マシンの限界を求めるような使い方をする人には、新しいProはMacBookライン最高の要素の集大成だろう。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルのデスクトップOS「macOS Monterey」公開、リモートワーク向け機能満載

この1年半で、さまざまな業界で大きな変革がもたらされた。ホワイトカラー社員の多くがオフィスからリモートワークへ移行したことで、自宅という環境が何時間ものZoom会議に対応できないことが浮き彫りになった。

2020年にパソコンやタブレットの販売台数が大きく伸びたときも、家電メーカーの対応は鈍かった。開発に着手してからプロダクトが市場に投入されるまでの期間は長いものであり、多くの未発表製品がまだ開発中だ。

米国時間10月25日、互換性のあるシステムに無料アップデートとして提供されたmacOS 12 Montereyは、リモートワークの時代にふさわしい重要な機能を(ある程度)有している。また、MacBook ProやM1搭載iMacなどのApple製ハードウェアがカメラとマイクのセットアップで長く待ち望まれていたアップグレードをようやく実現した中で、この新しいオペレーティングシステムが登場したことは、偶然ではないだろう。

Appleにとってそれは「FaceTime」のことだ。同社は、MicrosoftやGoogleなどと違い、ビデオ会議プラットフォームを持っていないという点で、独自の立ち位置にある。2020年、Appleは最大32名の会議を可能にしてその機能を拡大したが、それでも「FaceTime for Business」ではなくて、あくまでも友だちや家族のための機能だ。

しかし今回、Appleのビデオ通話アプリケーションには、重要なアップグレードが行われた。その筆頭にくるのが「SharePlay」で、残念ながらデスクトップでは今秋の終わりごろにリリースされる予定であり、iOS 15.1でも搭載されている。この機能は、2020年のパンデミック中にストリーミングサービス向けに展開された「共同視聴機能」の事実上のビルトイン版となる。

画像クレジット:画像クレジット:Apple

この機能は、Appleの自社サービスであるAppleTV+とApple Musicをサポートするためにカスタムされており、Disney+、Hulu、HBO Max、NBAアプリ、Twitch、TikTok、MasterClass、Zillow、Paramount+、ESPN+など、いくつかのローンチパートナーと連携する。しかしNetflix、Amazon、Spotifyなど、いくつかの大規模サービスが含まれていないのが気になるところだ。

この機能は、映像と音声を効果的に同期させ、グループ内のユーザーが視聴しているものをリアルタイムで反応できるようにするものだ。スピーカーの音量も調整され、ユーザーが再生 / 一時停止 / 早送りなどをすると再生が同期される。また、この機能をApple TVとセットにも拡張できる。

また、Zoomのような画面共有機能も新たに搭載され、通話中の他の視聴者にウィンドウを提示できる。FaceTimeには「空間オーディオ」も搭載されている。私は最近、最新のAirPodsを試した際にこの機能を試してみた。話者のウィンドウ位置を利用して、音声をその位置に配置するという機能なのだが、気に入った。現状はちょっとしたギミックだが良くできている。

今回追加された機能の中で最も興味深いのは、Appleのエコシステム外でもFaceTime通話に参加できる点だ。機能はまだ限定されているが、ユーザーがリンクを作成すれば、AndroidやWindowsデバイスで、ChromeまたはEdgeブラウザを使いさんかできるようになる。参加にはアカウントは必要ないが、リンクをクリックした後、誰かがそれを承認する必要がある。

画像クレジット:Brian Heater

また、ポートレートモードも新たに搭載された。これは、主要なテレビ会議サービスの「背景をぼかす」機能と同様の機能だ。Appleによると、この機能にはM1に搭載されているニューラルエンジンが使われているという。本機能と空間オーディオは、いずれもM1チップを搭載したシステムでのみ利用できるが、開発者にとっては、新しいチップが可能にする「境界線を曖昧にする力」は、macOSへのiOSの機能が採用が加速していることを感じさせるものだ。モバイルの機能がデスクトップに採用されるまでに、数回のアップデートを待たなければならなかった時代とは大きく違うものだ。

今回もSafariには、モバイル版の再考とともに大きなアップデートがいくつか行われている。デザイン面における最大の変化は、普遍的な検索バーからの決別だ。

新しい「コンパクトタブ」は、スペースを節約するために、タブを小さな独立したウィンドウに移動させる。ユーザーがこのような変更に苦しめられる場合もあるため、賢明にもAppleは設定で有効、無効を切り替えることができる。

「タブグループ」は、例えば「仕事用」や「自宅用」などユーザーがタブを束ねて共有できるようにする。使い方によっては創造性と高めることにもなるし、大量のブックマークを詰め込んでしまうということにもなるだろう。

 

ページ上のテキストをハイライトしたり、右クリックすると「クイックノート」を追加できるようになり、情報を1カ所にまとめることができる。ネットで調べものをすることが多い人にはうれしい機能だ。

iOS 15に搭載されることが発表された「集中モード」は、アクティビティや時間帯に応じて気が散るものを調整することができるというものだ。例えば、瞑想中、読書中、仕事中などに通知を制限することができる。これらの設定は、Appleデバイス間で自動的に同期される。ミュートされた通知はメッセンジャーアプリにも表示されるため、邪魔されたくないタイミングを周囲に知らせることもできる。

AirPlay to Macは、待望の新機能だ。その名のとおり、AirPlay 2を使って音楽や映画などをMacに送ることが可能だ。たとえばiMacを使っているが、スクリーンやスピーカーはもっと良いのがある、という場合に使えるだろう。

また、今回の追加機能の中でも最も期待されている機能1つである「ユニバーサルコントロール」も搭載される。この機能により、iPadOSとMacの間の境界線がさらに曖昧になり、ユーザーは2つのデバイス間でアイテムをドラッグ&ドロップして、よりシームレスなAirDrop体験ができるようになる。また、キーボード、トラックパッド、マウスなど同じ周辺機器で、2つのデバイスを同時に操作することもできる。

もう1つの大きな追加機能は、iOSから移植された最新機能「ショートカット」だ。このアプリは、長年愛用されてきたAutomatorに代わるものだ。将来的にはAutomatorも廃止される予定となっている。現状では「ショートカット」の方がシンプルだが、Automatorのような洗練された機能がないため、AppleはユーザーがAutomatorのシーケンスをショートカットに変換できるようにすることで、その影響をゆるやかにしようとしている。ただし、ユーザーからのフィードバックを募るため、しばらくはAutomatorも存続する。

macOS Montereyは、2015年以降のiMac、2017年以降のiMac Pro、2015年以降のMacBook Air / Pro Early-2015、2013年以降のMac Pro、2014年以降のMac mini、2016年以降のMacBookに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルは新チップでテック業界を湧かせるが、ウォール街はあくびをする

Apple(アップル)がイベントで何かを発表しても、マーケットはほぼ反応しないことについてのおなじみの連載記事に、2021年もようこそ。

いやむしろ、Appleの株価は、同社自身が発表するものよりももっとずっと外部のイベントに対して敏感なようだ。同社による記者たちに愛想がいい長時間の発表の間、株価がNASDAQ総合よりも上がるとしたら、それはレアケースとなる。

そのことは今でも私たちにとってやや驚きだが、Appleのイベントは当日までに情報が十分リークしてしまうため、その日が来る前に新製品発表などは株価に織り込み済みになるのかもしれない。

そんな議論もおそらく必要なのだろうが、マーケットに関しては十分ではない。手は出すけど本格的ではない、なまぬるいというところか。本日のAppleは、PC用チップまで発表したのに、そのすごさは反映されなかった。そう、Appleは新製品M1 Proを詳しく紹介したし、M1 Maxチップだって驚異的だ。たしかに、これらの名前はいかにもベビーブーム世代らしい安っぽさだが、チップそのものは感動的な偉業ではないか。そしてAppleはその新チップを、一連の予想よりも高額なコンピューターに搭載している。

こんな考えもある。ハードウェアはすごい。しかしコンピューターの価格に対して高すぎる?この説は、どうだろう?しかもAppleの株は午後1時から2時までのイベントの間にNASDAQをかなり追っていた。下図のように。

この図における唯一の注目ポイントは、午後1時以降、Appleの最初の下降がNASDAQのもっと大きなテクノロジーコレクションの下降よりも急激であることだ。しかし、その後Appleはさらに急激に回復している。その結果、取引の全時間がまるで仮装だ。Appleも、他のテクノロジー株と同様に前進した。やれやれ。

私がAppleのエンジニアだったら、頭に来ただろう。おい、みんな見てくれ、すごいチップだぞ。長年インテルは、汚物を垂れ流して市場を食い物にしてきた。それができたからね!しかもそれなのに、ウォール街がまったく全然、感動しないなんて。

画像クレジット:Apple

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】アップルがMacBook Proにノッチを付けてしまった

Apple(アップル)は次期MacBook Proで、長年疑問視されていたデザインを撤回し、誰からも嫌われていたTouch Barをこっそり廃止するとともに、ユーザーが切望していたポートとMagSafeを復活させた。しかしiPhoneとの奇妙なつながりに固執するあまり、同社はその「世界最良のノートブックのディスプレイ」に大きな醜いノッチを設けている。

虚勢を張っているようにも見えるが、Appleは、同社のデザイン的なイノベーションはあまりにも長い間、ユーザーに評価されていないことを認めざるを得なかった屈辱的な瞬間だっただろう。このMacBook Proを待ち望んでいた人は、そもそもなぜ自分がそうだったのかを忘れてはならない。Appleはおしゃれな宣伝を追求して合理化しよう見当違いをしていたのだ。

関連記事:アップルのMacBook Proがデザイン一新、新M1チップとMagSafeを採用した14・16インチモデル登場

Touch Barは理論的にはおもしろいが、有力なユースケースがないため結局は邪魔になり、多く人があらゆるケースで、デフォルトのキーを求めた。重要な機能を、何も手がかりのないタッチスクリーン上に廃するという点もアクセシビリティにおいて過ちだった。

USB-Cの全面的な採用もやはり、現実性を欠く理想主義の1つだった。それはドングル業界を活気づけただけに終わり、多くの人が長い間で溜まってまったさまざまなデバイスやドライブを持ち歩くために、多数の2インチケーブルを持ち歩いた。

キーボードは、バタフライスイッチの悲惨な失敗を受けて「メカニカルタッチ」に戻った。わずか1mmにこだわってタイピングがしづらくなり、頻繁に壊れるような設計のキーは歓迎されない。

あれやこれやの改良を撤回したり失敗した挙げ句、Appleはそれらをまるで新しいアイデアであるかのように復活させた。コマーシャルはM1 Pro Maxのパワーを謳っているが、断面図で見えるSDカードリーダーの組み立てはとても厚くて、一見の価値はある(皮肉)。

そしてその後、Appleの悪いクセがまた出てしまった。

ノッチをつけた

ノッチは好きじゃないが、そうではない人もいる。しかし、パソコンのようなフルスクリーンのメディアを毎日使う者には、とにかく邪魔だ。穴はもっとひどいが、ノッチならいいとはいえない。新しいiPhoneは以前ほど醜くはないが、あのノッチはSE 2からだから、私にとっては長い。ご冥福を祈るばかりの最初のSEが、また戻ってくるだろう。

何がどうなったのかというと、Appleはディスプレイを上へ広げてベゼルに狭くしたが、そのためにカメラのサイズを十分小さくすることができなかった(Face IDのようなものはない)。まり、ある意味ではスペースを確保したことになる。長年のApple擁護派である私の同僚は、そう自分を納得させている。

しかし、メニューバーのセンター部分で一体何をするのか?Appleは何と言っているのか?それはメディアの中に置かれた郵便受けか?それは16:9や2:1、21:9など、よくあるサイズよりも高い新しいアスペクトレシオか?また、フルスクリーンアプリを使ってるときはノッチのどちらかは黒くなり、せっかく増えたスペースが消える。それを画面スペースにとって純然たるプラスだと同社はいう。

しかし、それにしても醜い。

ほら、見えないでしょう?もちろん、上の4分の1インチすべてが見えない(画像クレジット:Apple)

質問は単純で、ノッチのある画面が欲しいか、ないのが欲しいかだ。答えは常に「ノッチのない方」だろう。ノッチは、スクリーンの基本的な用途、すなわちモノを見ることの邪魔になるからだ。ユーザーが求めるこの大きな矩形の邪魔をするものは、それがどのようなものであり邪魔だから邪魔物だ。スペースをフルに利用できない。画面にノッチがあるとしたら、それは表示物にとって意味のあるノッチか、要らないノッチかのどちらかだ。

気にしない人もいる。何も気にしない人は、幸せ者だ。でも世の中には、テレビのモーションスムージングを常有効にして、どんな番組でもメロドラマのような表示にしてテレビを見る人もいる。同じ部屋に冷たいLEDと温かい白熱電球の両方がある人もいる。本を、背の色で揃えない人もいる。何をいいたいかというと、人はさまざまであり、私のように美に関して神経質な人間が極端な意見をいって構わないのだ。

技術は、できるだけ目立たない方が良い。すべての産業がワイヤレス化と自動化とスマート化を求め、自分たちのプロダクトが空気のように遍在的で見えないことを目指してきた。テニスボールほどの小さな球体(今では5色ある)が、ユーザーのデジタル世界の全体を制御できる。ちっちゃなイヤーバッドが「手品」のように自分で自分を充電し、自動的に接続し、ユーザーの耳の特性に合わせて音量を調節するなどなど。

そういう意味では、ディスプレイは魔法の窓であるべきだ。鮮明なRetinaディスプレイは本当に窓みたいだし、120Hzのリフレッシュレートは遅延やぼけを防ぎ、デジタルとフィジカルの差をなくす。ベゼルが最小になれば、この2つの世界の「境界」も最小化する。つまりディスプレイの進歩はそのすべてが、魔法の窓の実現を目指してきた。だから、ノッチは進歩ではなく退歩だ。そういう単純な事実だ。それは魔法から遠く、リアルから遠く、邪魔物であり、人工的であり、フィジカルに妥協しているデジタルだ。

あなたにとっては、どうでもいいことかもしれないが、これが真実だ。そしてAppleは、可能になればすぐに、このノッチを取り去るだろう。彼らと私たちにわかっていることは、画面はノッチがない方が良いということ。それがわかっているなら、彼らは車輪を再発明したかのように振る舞うだろう。今日彼らが、誰が頼んだわけでもないのに古い機能を復活してそれを今度の新製品の新機能と謳っているように。

画像クレジット:Apple

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル発表イベント「Unleashed(パワー全開)」でアナウンスされた内容まとめ

前回の大きな発表会から数週間しか経っていないが、Apple(アップル)はすでに次のイベントを開催した。

前回のイベントでは、iPhoneとApple Watchが中心だった。今回は?新しいチップ、新しいAirPods、そして新しいMacBook Proが主役だった。

ライブで見られなかった方のために、何が発表されたか要点をまとめてみた。

新しいAirPods

画像クレジット:Apple

ベースレベル(つまりProでない)AirPodsがアップグレードされる。新しい外観、空間オーディオのサポート、音楽や通話をコントロールするProラインの「フォースセンサー」、耐汗耐水性能の向上などだ。Appleによると、バッテリー駆動時間も改善され、1回の充電での駆動時間が5時間から6時間になったとのこと。新たにMagSafeでの充電に対応する。

第3世代のAirPodsは、本日より179ドル(国内税込価格2万3800円)で予約注文が可能、来週から出荷される。

関連記事:アップルが新デザインのAirPods(第3世代)発表、空間オーディオ対応

M1 ProとM1 Max

Appleは、2020年に独自の高速チップ「M1」を発表して人々の度肝を抜いた。今回、同社は「M1 Pro」と「M1 Max」という2つの新しいM1チップを発表し、さらにその性能を高めた。

Apple によれば、M1 ProのCPUはオリジナルのM1に比べて最大70%高速で、GPUスピードは最大2倍、32GBのユニファイドメモリ、200GB/sのメモリ帯域幅を備えている。

一方、M1 Maxでは、ユニファイドメモリが64GBにアップしている。M1 Pro、M1 Maxともに、CPUは最大10コア、GPUはProが最大16コア、Maxが最大32コアをサポートしている。

両プロセッサとも、非常に速くなることは間違いない。

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新しいMacBook Pro

画像クレジット:Apple

この新しいチップを有効に利用するために、Appleは新世代のMacbook Proを発表した。そして、MacBook Proの最近の変更点のうち、反発が多かったものについていくつか、同社にしては珍しく巻き戻す決断をした。

ハイライトは次の通り。

  • サイズは16インチと14インチの2種類
  • MagSafeが復活!Touch Barは廃止!SDカードスロットやHDMIなどのポートを搭載!
  • 120HzのProMotionに対応し、よりスムーズなスクロールを実現
  • このモデルでおそらく最も議論されるであろう点は、カメラ部分のノッチだ。これにより画面を少し大きくすることが可能だが、しかしそれは、ノッチデザインを意味する
  • カメラは1080pにアップグレードされ、Appleは低照度下での2倍のパフォーマンスを約束している
  • オーディオシステム全体が見直され、ツィーターとウーファーがより大きくなり、オーディオの忠実度が向上している。
  • 14インチモデルは1999ドル(税込23万9800円)から、16インチモデルは2499ドル(税込29万9800円)から

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その他の発表

  • SiriにApple Musicでテーマ別のプレイリストを再生させることができるようになった。例えば、リラックスするためのプレイリスト、ディナーパーティー用のプレイリスト、ハイキング用のプレイリストなどだ
  • Appleは、Apple Musicで新しく、月額5ドル(日本では480円)の「ボイスプラン」を提供する。基本的には、従来のインターフェイスを捨ててSiriだけで楽曲をリクエストしたいユーザーのための安価なプランだ
  • HomePod miniに、ダークブルー、オレンジ、イエローの3色の新色が追加された

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画像クレジット:Apple

画像クレジット:Apple

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Aya Nakazato)

アップルのMacBook Proがデザイン一新、新M1チップとMagSafeを採用した14・16インチモデル登場

Appleシリコンが搭載された初代MacBook Proが発売されてから1年も経たないうちに、Appleが早くも次のモデルを発表した。ご存知のように、2020年版のMacBook Proは、M1版のProとAirの境界線が完全には明瞭ではなかったために、少々売るのが難しい代物だった。

それを正そうとするべく、本日Appleが発表したのは、MacBook Proの新バージョンだ。この新バージョンでは、長年にわたって人気を博してきた薄型軽量の兄弟機(Air)との間に、より明確な線引きが行われている。

画像クレジット:Apple

この新しいシステムには、本日のイベントで発表された改良版チップである新しいM1 ProまたはM1 Maxが搭載される。この10コアのチップは、16コアのGPU(Proの場合)と相まって、M1チップの最大3倍のメモリ帯域幅を可能にするという。一方、MaxではGPUのコア数が一気に32に増える。明らかなのは、同社の主力ユーザーであるクリエイティブのプロたちを、2020年モデルとは違うやり方でターゲットにしていることだ。

2020年モデルとは異なり、今回のモデルでは14インチと16インチの2種類が用意されており、デザインも一新されている。高性能なアプリケーションのためにファンも内蔵されているものの、Appleによればそれが回ることはほとんどないという。また、今回のシステムでは、あまり好評ではなかったTouch Barが廃止され、代わりに物理的なフルファンクションキーが採用されている。

こうして1つのフィーチャーが去り、昔の人気者が戻って来た。Magsafeが復活したのだ(解き放たれたというべきだろうか)。この第3世代の充電機構は独自のポートを採用しているものの、ユーザーはこれまで通りにThunderbolt / USB-Cポートを使って充電を行うこともできる。そして、もちろんこのマシンにはたくさんのポートが用意されている。具体的には、3つのThunderbolt 4 / USB-Cと、HDMI、そしてSDXCカードスロットだ。

ベゼルを薄くする代わりに、iPhoneスタイルのノッチをディスプレイ上部に設けることでウェブカメラを収納している。うれしいことに、ウエブカメラはいまや日常となったリモート会議用に1080pへとアップグレードされており、より大きなセンサーと広い開口部を備えている(残念ながら4Kではないが、従来のモデルより改善されている)。

16インチ(正確には16.2インチ)ディスプレイの解像度は3456×2234、14インチ(同じく14.2インチ)ディスプレイの解像度は3024×1964だ。ピーク輝度は1600ニトで、リフレッシュレートは120Hz。さらに音声も大幅に改善されている。表面の多くを占めるグリル部の下には、4つのウーファーと2つのツイーターから構成される6つのスピーカーシステムが隠されている。

Appleによれば、これらのシステムはより高速な充電に対応しており、かつビデオ再生で最大21時間のバッテリー駆動時間を実現している。このノートパソコンの「野獣」は軽くはない。それぞれの重量は、4.7ポンド(2.1kgと2.2kg)と3.5ポンド(1.6kg)だ。14インチは税込23万9800円から、16インチは税込29万9800円からとなっている。またいずれのモデルでもM1 Max版へのアップグレードが可能で、24コアGPU版へは税込2万2000円、32コアGPU版へは14インチは税込4万4000円、16インチは税込5万4000円の追加料金がかかる。

本日より予約受付を開始し、来週、10月26日に発売される。また、13インチのProも当面は継続され、標準的なMacBookが担っていた役割を実質的に果たすことになる。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

アップルがフラッグシッププロセッサ「M1 Pro」を発表

Apple(アップル)は、新しい「M1 Pro」と「M1 Max」チップで、PCに全面戦争を挑み、パフォーマンスを大幅に向上させると同時に、バッテリー消費量を大幅に削減した。M1 Maxは、グラフィックスのプロをターゲットにしていることは明らかだが、Macにさらなるゲーム機能をもたらすことになるかもしれない。

関連記事:アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

M1 Maxは、M1 Proのアーキテクチャをベースに、さらに強力な機能を追加している。このアーキテクチャでは、メモリ帯域幅を最大400GB/sへと大幅に向上させている。これは、すでに非常に高速なM1チップの約6倍、発表されたばかりのM1 Proチップの2倍に相当する。

新チップは570億個のトランジスタを搭載し、64GBのユニファイドメモリー(GPUとCPUの共有メモリー)をサポートしている。M1 Proと同じ10コアのCPUアーキテクチャを採用し、GPUを32コアに増強した他、ハードウェアアクセラレーションによるH.264やHEVCの映像処理のための新しいメディアエンジンを搭載している。また、2つの並列ビデオエンコーディングエンジンを搭載しており、ビデオエディターなどの重いグラフィックス処理を行うユーザーを喜ばせることだろう。

最も印象的な主張は、M1 Maxが1Wあたりの消費電力カーブを同じに保つとしていることだ。言い換えれば、数分でバッテリーを使い切ることなく、より重いグラフィックスを扱えるということだ。

Appleはイベントの中で「では、我々が見つけた最速のPCノートパソコンに搭載されているチップと比較してみましょう」とジョークを飛ばし、ライバルたちと比較しながら、そのパフォーマンス対消費電力スーパーパワーを見せつけた。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

Apple(アップル)は米国時間10月18日、予想どおり新しいチップを発表したが、その名前はほとんどの人が予想していなかったものだった。2020年11月に発表され、様々なApple製品に搭載されてきたM1チップをさらに強化した「M1 Pro」だ。Appleは、M1 ProがオリジナルのM1よりも最大70%高速であることを約束している。

これに加えて、同社はProのさらに強力なバージョンである「M1 Max」も発表した。その詳細はこちらでご覧いただける。

M1 Proは、M1の後継とまではいかないが、基本的には既存のチップをよりパワフルにしたものだ。AppleのTim Cook(ティム・クック)CEOは、この製品を「M1ファミリーの次のチップであり、ゲームチェンジャー」と呼んでいる。

同社によると、チップの再設計を行い、チップが利用できる帯域幅を200GB/sに大幅にアップしたという。そして最大32GBのユニファイドメモリーに対応している(一部のプロユーザーにはちょっと残念かもしれない)。

この5nmチップの特徴は、より多くの、合計10個のコアを備えていることだ。そのうち8つは高性能コア、2つは高効率コアで、さらに16個のGPUコアを搭載している(初代M1の8個から増加)。このSoCには、初代M1の2倍となる合計337億個のトランジスタが搭載されている。チップにはもちろん、AIアプリのためのAppleのNeural Engineも搭載されている。

このチップは、最大2台の外部ディスプレイに対応している。

画像クレジット:Apple

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがイベント「Unleashed」を日本時間10月19日午前2時開催、新MacやAirPods登場の噂

ハードウェアのシーズンは、まだ終わっていない。GoogleによるPixelイベントの前日、Apple(アップル)は米国時間10月18日(日本時間10月19日午前2時)にイベント「Unleashed」を開催する(おそらく)。Appleはこのイベントの招待状を送付した。イベントは再びクパチーノの本社からライブストリーミングされる。

午前10時(日本時間午前2時)に開始されるこのイベントは、新型iPhoneやApple Watchなどを発表した前回のビッグイベントからわずか1カ月ほどでの開催となる。どのようなものになるだろうか?前回は、新型Macが最大の注目を集めた。同社は現在、すべてのデスクトップとノートパソコンを自社製シリコンにアップグレードする2年計画の真っ最中にあるからだ。おそらく、2020年のM1チップをアップグレードした、新しいMacBook Proが登場するのではないだろうか。また、2020年に発売されたArmベースiMacの大型化や、新しいMac Miniの登場も噂されている。

また、AirPodsのようなアクセサリーも、可能性としては十分に考えられる。では、いったい何が「解き放たれる」のだろうか。上の図が示すように、Appleはある種のワープスピードでの宇宙旅行を発明したのかもしれない。乞うご期待。

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

シリコン価格が約2カ月で4倍近くに高騰、中国での電力供給不足からくる減産がハイテク企業を直撃か

中国での電力供給不足からくる工場の減産により、半導体の原料である金属シリコンの価格が2ヶ月足らずで約4倍にも高騰し、アップルをはじめとする大手ハイテク企業にとって大問題となる可能性が浮上しています。

金属シリコンはテクノロジー業界で重要な役割を果たしており、チップ製造のみならずガラスやコンクリート、太陽光発電パネルやシリコン製品などの様々な産業に使われています。シリコンは地殻の28%を占めるほど豊富に存在するものの、精製された高純度なシリコン原料は生産が追いつかず原料メーカーは増産に追われていましたが、中国での減産により供給がさらにタイトになっている模様です。

これまでの世界的な半導体不足は、チップ需要の増加や水不足などが原因となっていましたが、そこにシリコン原料の生産量が減らされたことが追い打ちを掛けるかたちです。

Bloombergの報道によると、中国政府が国内の電力消費量を減らすため、金属シリコン製造の主要拠点で減産を命じているとのことです。たとえば国内第2の生産地である雲南省は、9月~12月は8月の水準より90%の減産を命じられたそうです。そのため以前は1トンあたり8,000元~1万7000元(約13万3000円~27万円)だった金属シリコンが、現在では6万7300元にまで値上がりしたと伝えられています。

すでに材料不足は太陽電池業界にも影響を与えており、太陽電池用ポリシリコンは先週水曜(9月29日)に13%も値上がりし、2011年以来の最高値を記録しています。

またシリコン価格は長期にわたって高止まりすると予想されており、上海金属市場のアナリストの見解では2022年夏まで高水準が続くとのこと。その時期になれば、同年後半にかけて生産が増やせる見通しが開けると述べられています。つまり、それまではシリコン価格の値上がりが減産による品不足や、最終的に消費者が支払う価格などに影響する可能性があると思われます。

これまでアップルは例外的に半導体や部品不足の影響を免れてきたと見られていますが、とはいえiPhone 13 Proモデルの出荷予定は11月までずれ込んでいます。もしかすると、年末までに発売が予想される新型MacBook Proなどにシリコン不足のしわ寄せが直撃するのかもしれません。

(Source:Bloomberg。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

WWDC 2021で期待される発表は?iOS 15、iPadOSリニューアル、もしかしたら新Macも

あらゆることを考え合わせると、Apple(アップル)は2020年、非常に洗練されたバーチャルWWDCを開催した。Microsoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のような他の企業がよりライブ感のある(あるいはライブスタイルの)体験を選択したのに対し、Appleは、スムーズなドローン撮影と巧みなトランジションを駆使して出演した幹部たちを引き立てた。そして最初の1年を経て、同社がどのように新しい境地に達するか見ものだ。

キックオフからニュースを提供するWWDCの基調講演はいつも大盛況だが、今回もその例に漏れず、さらに多くの新情報が発表される可能性が高い。iOS / iPadOS、watchOS、macOS、tvOSなど、開発者向けの標準的なアップデートに加えて、このイベントで新しいハードウェアが発表される可能性もある。

いつものようにライブでニュースをお伝えしていくが、今回はライブブログを復活させる。ライブニュースをさまざまな方法でフォローすることが可能だ。イベントは、太平洋標準時6月7日(月)午前10時(日本時間6月8日午前2時)に開始される。

YouTubeのライブストリームはここで見ることができる。

例年通り、このイベントではiOSが最大の目玉となる。なんといっても、Appleは他の何よりも多くiPhoneを販売しているからだ。2020年には特に、同社の最新5Gデバイスが低迷するモバイル市場に救いの手を差し伸べた中でその傾向が強まった。

少なくとも最初の段階では、iOS 15はAndroidの最新バージョンほど過激なアップデートには見えない。しかし、今日から6月7日の朝までの間に、多くのことが起こり得る。(少なくとも今のところ)最重要課題は通知機能のアップデートのようだ。報道によると、モバイルOSの新バージョンでは、睡眠中、仕事中、運転中などのステータスに応じてカスタマイズ可能な通知が提供されるとのこと。

また、iOS 15には、新しいアクセシビリティ機能が多数追加されると考えられている。

画像クレジット:Apple

さらに大きなニュースは、待望のiPadOS 15へのアップデートだろう。最新のiPad Proのレビューではこの古いソフトウェアが問題となっていたが、iPadOS 15は、タブレット端末用のOSをモバイルOSからさらに遠ざけるための重要なステップになりそうだ。現在のiPadOS 15は、ほとんどの意図と目的においては、iOSをタブレット向けにスケールアップしたものとなっている。

関連記事:【レビュー】アップルのiPad Pro 2021は今回もすばらしい、だが……

まだ詳細は明らかになっていないが、ホーム画面はウィジェットを含めて大幅にアップデートされる予定だと言われている。これにより、大きくなったホーム画面をより有効に活用できるようになると思われる。また、新しい通知機能やiMessageの大幅な改良など、iOSの新しいアップデートも行われるはずだ。

Big Surで行われた大規模なオーバーホールの後、macOS 12はより小さな波となることが予想される。ここでのビッグニュースは、ハードウェアかもしれない。噂では、Appleの超高速M1チップがアップデートされると囁かれている。M1X(現在の呼称)は、14インチと16インチの新型MacBook Proと一緒に登場する可能性があり、そうなればAppleのラップトップ製品ラインのハイエンドとローエンドの間に、ようやく少しだけ日が差すことになる。

画像クレジット:Brian Heater

また、今のところ情報が少ないものの、watchOSも大きなアップデートの時期に来ているように見える。特に合併したばかりのGoogleとFitbit(フィットビット)と競合しているAppleにとって、新しい健康機能は確実な賭けだろう(最近発表されたSamsungのアシストはいうまでもない)。

そして、最も興味をそそられるミステリーがhomeOSだ。求人情報ではこの謎のOSが参照されていたが、これは単なるタイプミスかもしれない(その後、求人案件では「HomePod」に変更された)。

画像クレジット:Apple

噂のまとめということで、より大きなものにつながるかもしれない可能性を指摘しておく。これは、既存および近々発売されるAppleのホーム製品と連動するように設計された、より統合的なホームオペレーティングシステムだと思われる。おそらく、tvOSともう少し密接に統合するものだろう。長期にわたる噂の中心にあるのは新しいApple TVデバイスだが、これまでのところ、その点は確認されていない。

他には、新しいMac Miniの噂もある(ただしこちらは、2020年末にリフレッシュされたばかりだが)。また、Beats Studio Budsに関する噂も興味をそそられる。LeBron James(レブロン・ジェームズ)が未発表のハードウェアを身につけているのを見れば、人々は話題にせざるを得ない。しかしAppleは従来、Beatsチームに独自の発表を任せ、このような大きなイベントはAirPodsのような自社ブランドのオーディオ製品のためにとっておくことを選んできた。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleWWDC 2021WWDCiOSiPadOSMacMacBook ProApple M1watchOShomeOSOSバーチャルイベントApple TVmacOS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

MagSafeとAppleシリコン搭載の新MacBook Proを2021年後半に計画中か、Touch Barが廃止の可能性も

Bloomberg(ブルームバーグ)の最新記事によると、Apple(アップル)は2021年後半に新型MacBook Proの発売を計画しているという。これらの新モデルには14インチと16インチがあり、同社が2020年末に新型MacBook Airと新型13インチMacBook Proで投入したような、改良された新型の独自プロセッサが搭載される。また、MagSafe充電器(USB-Cの代わりに電源を供給するマグネットを利用した専用充電ポート)も復活し、最新のMacBook Proのキーボードに内蔵されている小さな有機ELディスプレイであるTouch Barが廃止される可能性もある。

Bloombergのレポートによるとこれらの新型MacBook Proには、現行のノートパソコンに内蔵されている既存のM1チップよりも多くのコアと、優れたグラフィックス性能を備えたプロセッサが搭載され、さらによりコントラストが高く明るいディスプレイが採用されるという。またその外見は既存モデルに似ているものの、電源ポートはUSB-C以前に使われていた磁気充電専用インターフェイスであるMagSafeが復活するという。

MagSafeには、誤って接続中の電源コードにつまずいた場合でも、ラップトップが引っ張られずに簡単に切断されるという利点がある。またMagSafeが搭載されれば、すべての外部ポートがアクセサリー用として利用できる。Bloombergによると、新しいノートパソコン向けに復活するMagSafeはそれらのメリットに加え、USB-Cよりも高速な充電を提供するという。

登場以来、議論の的になってきたTouch Barについては、特にプロユーザーがこのインターフェイスを好まない傾向にある。なぜなら、プロのワークフローで有用な専用の物理キーを置き換えるためだ。記事によると、Appleは「Touch Barをなくしたバージョンをテスト済み」だとしている。同社が最終的に決断するかどうかは不明だが、実現すれば多くの人に歓迎されるだろう。

最後にBloombergによると、Appleは新しいデザインのMacBook Airも計画しているという。ほんの数カ月前に更新されたばかりの同製品だが、レポートによると新型MacBook Proの「ずっと後」に登場するとしており、2021年に登場する可能性は低いようだ。

関連記事:「らしさ」を取り戻したMacBook Pro 16インチモデル

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleAppleシリコンMacBook ProMagSafe

画像クレジット:Apple

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

AppleのM1搭載MacBook Proは特にバッテリー駆動時間が驚異的

サバイバルゲームや戦略ゲームは段階的に進められることが多い。序盤ではロープの使い方を学習したり、システムを理解したりする。中盤ではリソースを集めたり、それを使ったりする。筆者が最も楽しいと感じるのは、この中盤部分の後半だ。能力やスキルをフルに管理できるうえ、リソースを活用できるし、終盤の難局に備えて自分の作戦を実行できる。

半導体産業というゲームにおいて、Apple(アップル)は現在この段階にいる。一方でIntel(インテル)は終盤戦を迎えようとしている。

アップルは、新しいM1システムをチップに搭載したマシンを3種類発表した。M1チップは、アップルが10年以上にわたり設計、開発を進めてきたARM命令セットをベースとする独自CPUである。これらのマシンは、高性能かつ強力で高い安定性を備えているが、中でも最大の進歩が見られるのはワットあたりのパフォーマンスだ。

筆者は13インチのM1搭載MacBook Proを自分でテストしてみた。厳しいテストを通して明らかになったのは、このマシンはこれまでの高性能ポータブルMacをパフォーマンス面で上回るだけでなく、同時にバッテリー駆動時間が最低でも2~3倍はあるということだ。

この結果は驚くべきものだが、これはアップルがゲームの序盤で長らくAシリーズプロセッサを使って取り組んできたことの産物だろう。アップルは2008年にPA Semiconductor(PAセミコンダクタ)を買収してこの取り組みを本格化させ、以来、プロセッサメーカーの製品ロードマップから、デバイスの機能や性能を解明しようとしてきた。

M1搭載MacBook Proの動作はスムーズだ。アプリも素早く起動するため、カーソルがDock上にあるうちにアプリが開くことも多い。

動画編集やレンダリングのパフォーマンスも素晴らしい。過去のマシンに劣るのはGPUの負荷が高い場合だけだ。それも、5500MやVega IIなどの高性能の専用カードを使用している場合だけである。

WebKitなどのプロジェクトをコンパイルすると、ほとんどのマシンよりもビルド時間が短くなる(M1搭載Mac miniが数秒差でMac Proに勝利)。しかも、能力の一部しか使わない。

iPadのような動作。簡潔に言うならそのような表現が最適だ。筆者はこれまで、あるイラストを使って、現在のMacBookユーザーが感じていることを説明してきた。慢性的な痛みを示すイラストだ。健康状態やケガによる継続的な痛みが投薬、セラピー、手術などで緩和された経験がある人は、痛みが突然緩和されるのがどのような感覚かわかるだろう。長い間重荷を背負っていたため、どれほどの重さなのかもわからなくなっている状態だ。他のMacを使用した後でこのM1搭載MacBookを使用するとそのような感覚に陥る。

クリックの反応がよく、処理も素早い。最高の状態にあるiOSデバイスのようだ。

チップレベルではiOSデバイスでもある。つまり、「M1で動くiOS」なのである。

M1で動くiOS

M1搭載マシン上でのiOS体験、というのが一番わかりやすい言い方かもしれない。アプリをApp Store(アップストア)からインストールして問題なくスムーズに実行できる。iOSアプリで測定されたベンチマークが示すところによれば、アプリはオーバーヘッドなしでネイティブに実行されている。iOSベースのグラフィックのベンチマーク測定も実行したが、良好な結果を示した。

しかし称賛はここまでだ。Big Sur(ビッグサー)を実行するM1搭載マシン上での現在のiOSアプリ体験は滑稽と言ってもよい。ばかげている。一般的なiOSの操作(端からのスワイプなど)を再現する方法を説明するツールチップがデフォルトでは用意されていない。代わりに、メニューの中にひどい形式のチートシートが埋め込まれている。アプリはウィンドウ内でのみ起動、実行される。全画面のiOSアプリはまったくない。MacでiOSをすぐに利用できるネイティブサポートがあることは、最初は素晴らしいと感じる。しかし1日使ってみれば、これはマーケティング面での勝利であって、ユーザーエクスペリエンス面での勝利ではないことがわかる。

アップルは、「Macで数百万のiOSアプリがサポートされるようになった」と言っている。しかし実際には、M1上でそれらのアプリを実行した場合の使用感は平均点以下である。この状況は間違いなく改善されるだろう。しかし現時点では、M1上でのアプリ体験は確実にネイティブM1アプリ>Rosetta 2(ロゼッタ2)アプリ>Catalystアプリ>iOSアプリの順番だ。当然、これはCatalyst(カタリスト)ポートをMac中心の動作や操作の環境に組み込める場合の話だ。iOSは存在するものの、M1上のあるべき場所にはないのは明らかだ。

Rosetta 2

ロゼッタ2については、たくさん語りたい点と、それほどでもない点がある。M1アーキテクチャ上でx86アプリケーションを正常に動作させるこの新しいエミュレーション層を使ってアップルが実現したことについては、今後、より詳しい情報が明らかになっていくだろう。しかし注目すべきは、アプリの変換で元の性能から約26%減(以下のグラフを参照)という結果を実現できるほど高性能なチップを作成できたことだ。しかもインテルのプロセッサを搭載したMacBookを超えるとまではいかないが、同程度の速さで動く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは実に驚くべきことだ。ユーザーはPowerPC(パワーPC)から昔のロゼッタへの移行を忘れたがっているが、アップルもユーザーにそれを忘れてほしいと思っている。それならば筆者は喜んで言おう。簡単に忘れられる。なぜなら、16インチMacBook Proのような、より古く「理論上はより高性能」なMacと比較した場合に実際のパフォーマンスヒットが見られなかったからだ。

ほとんどの場合、この点は問題にならない。Adobe(アドビ)やMicrosoft(マイクロソフト)のような企業では、すでにネイティブM1アプリをMacで使えるようにしようと取り組んでいる。そのため、必要性が高い生産性向上アプリやクリエイティブアプリは、基本的にはネイティブ対応によって無料で約30%のパフォーマンス向上を実現できる。ただし、それらのアプリは現在でも十分に高速であるため、ウィンウィンの状況である。

実機テスト方法

筆者が実施したテストの方法はシンプルだ。実際のパフォーマンスやタスクと人工的なベンチマークの両方が対象マシンに反映されるように設計したバッテリーテストを行った。はじめはマシンを電源に接続した状態でベンチマーク測定を実行し、その後バッテリーのみを使用して再度実行した。これは、安定したパフォーマンスと、ワットあたりのパフォーマンスを算出できるようにするためだ。基準が一定になるように、冷却期間を設けてすべてのテストを複数回実行した。

テストには以下のマシンを使用した。

  • 2020 13インチM1搭載MacBook Pro 8コア 16GB
  • 2019  16インチMacBook Pro 8コア 2.4 GHz 32GB(5500Mを使用)
  • 2019 13インチMacBook Pro 4コア 2.8 GHz 16GB
  • 2019 Mac Pro 12コア 3.3 GHz 48GB(AMD Radeon Pro Vega II 32 GBを使用)

これらのベンチマークの多くには、Matt Burns(マット・バーンズ)によるM1搭載Mac miniのレビュー、Brian Heater(ブライアン・ヒーター)がテストしたM1搭載MacBook Air(こちらで確認できる)の数字も含まれている。

WebKitのコンパイル

まずは「何だこれは」というようなグラフから紹介しよう。筆者はGitHub(ギットハブ)からWebKitをチェックアウトし、全マシンでパラメータを指定せずにビルドを実行した。上記で触れた仕様から乖離しているものがある。13インチマシンに原因不明の問題があったためだ。この問題はインターネットで見つけた友人に助けてもらって解決した。また、Tapbots(タップボッツ)のPaul Haddad(ポール・ハダッド)氏にもヒントを教えてもらった。

ご覧のように、M1は全モデルで素晴らしいパフォーマンスを示している。MacBookとMac miniはMacBook Airをわずかに上回る。20分以上続く高負荷のタスクとなる場合があるが、パフォーマンスの違いを可視化するうえでこれは非常にシンプルな方法だ。MacBook Airではスロットル冷却ファンが動作していないため、M1で多少時間がかかっている。スロットルを使用している場合でも、MacBook Airは高性能のMac Proを除く他のモデルより勝っている。

しかしここで重要なのは2つ目のグラフだ。WebKitのビルドを1 回実行した後で、M1搭載MacBook Proのバッテリーはまだ91%も残っていた。ここでは複数のテストを試したが、バッテリーを1回フル充電すれば、M1搭載MacBookでWebKitのフルビルドを8~9回は簡単に実行できただろう。一方、16インチでは約3回、13インチ2020モデルでは1回しかできなかったと思われる。

この常軌を逸したワットあたりのパフォーマンスがM1の秘密兵器だ。バッテリーのパフォーマンスは圧倒的である。プロセッサに負荷のかかるタスクを実行する場合でも同様だ。説明しておくと、WebKitのこのビルドで、Pクラスタ(パワーコア)では各サイクルで非常に高いピークを記録した。一方、Eクラスタ(効率性コア)では安定した2 GHzを維持していた。そのような状態でも、電力効率は非常に優れている。

バッテリー駆動時間

実環境でのテストにおけるバッテリーのパフォーマンスのグラフ化に加えて、専用のバッテリーテストもいくつか行った。あるテストでは、バッテリー駆動時間が長かったため、誤って電源をつないだままにしたかと思ったほどだ。それほど優れていた。

ブラウジングを再現するために、複数のページを開いて30秒間待機してから次に移動するという、ウェブブラウジングとウェブでの動画再生を組み合わせたスクリプトを実行した。結果は我々のテストでよく見られる内容と同じで、M1は他のMacBookを25%上回っているだけだった。

4K/60 fpsの動画をフルスクリーンで再生した場合、M1はさらによい結果を示し、輝度を50 %に固定した状態で簡単に20時間を記録した。その前に行ったテストでは、自動調整をオンにした状態で簡単に24時間を超えた。丸一日である。iOSのようなマイルストーンだ。

M1搭載MacBook Airも非常に優れているが、バッテリーが小さいため、再生時間も16時間と短かった。しかし両方とも以前のモデルを完全に凌駕した。

Xcode Unzip

これもリクエストがあったデベロッパー向けのテストだ。今回もPUバウンドで、M1はテストグループに含まれる他のシステムより優れていた。8コアの16インチMacBook Proより速く、13インチMacBook Proより大幅に速く、さらに3.3GHz Xeons搭載2019 Mac Proに比べると2 倍の速さだった。

画像クレジット:TechCrunch

 

性能の曲線を確認しよう。この期間中にMacBook Proのスロットリングがないことを示すために、使用率の曲線を示す(ちなみに、これより長い期間のスロットリングを筆者は見たことがない)。

ユニファイドメモリとディスク速度

アップルは大きな話題を提供している。たとえば、この最初のM1マシンのメモリがたったの16GBであることだ。しかし実は、アップルがユニファイドメモリアーキテクチャへ移行したことによる効果を感じられる程度までマシンを使う機会を筆者はまだ得ていない。RAMをSoCに移行するということは、増設できないということだ。永遠に16GBのままである。一方でこれは、メモリを最も必要とするシステム上のチップが、非常に高速でそのメモリにアクセスできるということでもある。

筆者の予想では、これは個別RAMという概念を完全に排除するための中間ステップである。最終的には、アップルMシリーズチップの将来(遠い将来。現時点ではただの想像)のバージョンで、永続ストレージとしても機能する大規模プールからさまざまなチップにメモリを提供するようになる可能性がある。しかし現時点で利用できるのは、限界はあるが、非常に高速のメモリプールだ。このメモリプールは、CPUコア、GPU、その他SoC上にあるもの(Secure Enclave(セキュアエンクレーブ)やNeural Engine(ニューラルエンジン)など)で共有される。

こちらの動画を見てほしい。Safari(サファリ)とChrome(クローム)でタブを400個開いて比較したものだ。アプリがM1(およびBig Sur)に最適化されている場合、このマシンでは非常に高性能だ。

OS X Big SurとM1プロセッサの密接な関係をアップルがどのように考えているか知りたければ(OS X Big SurとM1プロセッサはお互いのために作られた)、M1搭載MacBook Proのシステム情報画面にクロックスピードがまったく表示されていない点に注意しよう。

多くのアプリケーションを同時に実行している間、M1は極めて優れたパフォーマンスを示した。この新しいアーキテクチャは各要素が近い場所に配置されており、メモリはPCIeバスの向こう側ではなくすぐ近くにあるため、アプリケーション間のスワップはまったく問題にならなかった。タスク(負荷が高く多くのデータを使用するタスク)がバックグラウンドで実行されている場合でも、システムの残りの部分はスムーズに動作していた。

アクティビティモニタのメモリ圧迫を確認できるタブに、OS Xがスワップ領域を使用していると表示されている場合(これは時々表示される)でも、パフォーマンスの低下は確認できなかった。

実際に試すことはできなかったが、パフォーマンスが低下していることを表示させるには、膨大なファイルを投入する必要があるだろう。

M1搭載MacBook ProのSSDはPCIe 3.0バス上にあり、書き込みと読み取りの速度がそれを示している。

Thunderboltとウェブカメラ

M1搭載MacBook Proには2つのThunderbolt(サンダーボルト)コントローラがある。各ポートに1つずつだ。つまり、PCIe 3.0を4 つ、フルスピードで各ポートから利用できる。今後、アップルがアーキテクチャをあまり変更せずにポートを最大4つにする可能性が高い。

この構成はつまり、アップルのPro Display XDRと他のモニタを簡単に並べて使えるということだ。ただ、アップルのPro Display XDRモニタを2台並べてテストすることはできなかった。

ウェブカメラも強化された。アップルは、M1搭載マシンのISPは前世代より向上したと言っている。しかしカメラ自体はこれまでもMacBookに搭載されていた720pのウェブカメラだ。筆者が実施した多くのテストの結果では、今回もウェブカメラの性能は低く、これまでよりは多少ましという程度だ。おそらく、ホワイトバランスが向上し、ノイズ処理も多少向上したため「合格」となったのだろう。それでも高性能とは言えない。

冷却とスロットリング

筆者が実施したテストでは、どれだけ時間がかかる場合でもM1搭載MacBook ProでCPUのスロットリングは確認できなかった。我々がこれまで行ったテストによれば、処理が長くなると(20~40分以上)、明らかに時間とともにMacBook Airの性能が多少落ちる場合があった。

アップルは、M1搭載MacBook Proのために新たな「冷却システム」を設計したと言っているが、確かにそう言うだけのことはある。ファンは1つだが、他のどのファンよりも静かである点に注目すべきだ。実際、M1が「温かい」状態よりも大幅に温度が上がることはなかった。また、ファンのスピードは他のMacBookのような「ターボエンジン」の状態というより、水冷型リグのようだった。

Cinebench R23の長く負荷の高いセッションを処理した場合でも、M1搭載MacBookで大きな音は出なかった。高性能コアをすべて実行してベンチマークを測定している間、定期的に3GHzを記録した。また、効率性コアは2GHzを記録した。それにもかかわらず、他のMacBookと比較して非常に低温かつ静かに処理を続けた。まるで航空ショーのステルス爆撃機だ。

このCinebenchのテストでは、昨年の13インチMacBookのマルチコアの2倍のパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proのシングルコアのパフォーマンスにも勝っていることがわかる。

筆者は自分のテスト用スイートでFinal Cut Pro(ファイナルカットプロ)のテストを何度か行った。最初はiPhone 12 Proを使用した5分間の4K60fpsのタイムラインショットで、オーディオ、トランジション、タイトル、カラーグレードを使った。M1搭載MacBookは素晴らしいパフォーマンスを示し、16インチMacBook Proをやや上回った。

同じ長さの8Kタイムラインでは、16インチMacBook ProでRadeon 5500Mを使用すると、Final Cut ProのGPUアクセラレーションが素晴らしい結果だった。しかしM1も健闘し、13インチMacBook Proで統合型グラフィックスを使用した場合の3倍の速度だった。

この処理を行った際にM1搭載MacBook Proの消費電力が極めて少なかったのは印象的だ。17%のバッテリーだけで81GBの8Kレンダリングを出力した。13インチMacBook Proは1回のバッテリー充電ではレンダリングを終わらせることもできなかった。

 

このGFXBenchのグラフからわかるように、M1搭載MacBook Proは高性能ゲーム用ラップトップというわけではないが、Metalのラックのテストを実行したGPUテストでは、非常に驚くべき、印象的な結果を残した。それでも元々の性能は16インチMacBook Proのほうが高いが、Retinaでゲームをレンダリングする可能性は高い。

M1はCPU設計の未来

長年にわたり、インテルが提供するチップやチップセットの機能のせいで、Macのリリースに何度も制限が課されてきた。最近の16インチMacBook Proでも、アップルは1世代以上後れを取っていた。iPhoneが大ヒットした時点で前兆は現れていた。つまり、コンピューティング業界の残りの企業をすべて足したよりも多いチップをアップルが製造し始めるのではないかということだ。

アップルは現時点で20億以上のチップを出荷済みである。これはインテルのデスクトップ向けビジネスが贅沢品を作っているように見える規模である。先週の発表でインテルの名前に言及しなかったのは、アップルの政治的判断だったのだと思う。一方で、次の点も明白だ。つまり、インテル製チップがMacに搭載される日々が終わりに近づいていること、そして、アップルが他社向けにチップを作る可能性が極めて低いことが業界の他の企業にとって唯一の救いであることだ。

数年前、筆者はiPhoneの重大な欠点についての記事を書き、ワットあたりのパフォーマンスのせいで、提供できるはず新たな体験が制限されているという点を指摘した。その記事は不人気だったが、筆者は正しかった。アップルはこの10年間、Aシリーズチップで大きなパフォーマンス向上を実現しつつiPhoneのラインナップでも基本的には同じ(または多少優れた)バッテリー駆動時間を維持できるように努力を続け、バッテリー問題を「修正」しようとした。しかしバッテリーに関する奇跡のテクノロジーは出現していない。そのためアップルは方向転換し、チップの対応に力を入れるようになった。

現在我々が見ているものは、アップルが電力効率を本気になって追究し、それをMacに採用した成果だ。Macはそのままのバッテリーで5倍の性能を実現できる。素晴らしい成果である。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Macbook Pro レビュー Apple

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(翻訳:Dragonfly)

ARMベース「Apple M1」搭載MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniが11月17日発売

ARMベース「Apple M1」搭載MacBook Air、MacBook Pro、Mac miniが11月17日発売

Apple(アップル)は11月11日、ARMベースの独自SoC「Apple M1チップ」搭載のMac新製品として、13.3型ノートの「MacBook Air」および「MacBook Pro」、小型デスクトップの「Mac mini」を発表した。筐体デザインは従来通り。直販価格は、MacBook Airが税抜10万4800円から、MacBook Proが税抜13万4800円から、Mac miniが税抜7万2800円から。発売はそれぞれ11月17日。

    • 13.3インチMacBook Air:直販価格税抜10万4800円から。Apple M1(8コアCPU、7コアGPU、16コアNeural Engine)、8GBユニファイドメモリー、256GB SSD。最大解像度2560×1600ピクセル。Thunderbolt/USB4×2、Wi-Fi 6(11ax)。最大15時間のワイヤレスインターネット
    • 13.3インチMacBook Pro:税抜13万4800円から。Apple M1(8コアCPU、8コアGPU、16コアNeural Engine)、8GBユニファイドメモリー、256GB SSD。最大解像度2560×1600ピクセル。Thunderbolt/USB4×2、Wi-Fi 6(11ax)。最大17時間のワイヤレスインターネット
    • Mac mini:直販価格税抜7万2800円から。Apple M1(8コアCPU、8コアGPU、16コアNeural Engine)、8GBユニファイドメモリー、256GB SSD。Thunderbolt/USB4×2、USB A(最大5Gb/s)×2、HDMI 2.0。Wi-Fi 6(11ax)、有線LAN(1000BASE-T)