現在ハリウッドの話題はもっぱらアカデミー賞に集中しているが、週末にはいくつか新しい映画も公開された ― Triple 9は、無秩序なクライムアクションで、キャストにはケーシー・アフレック、キウェテル・イジョフォー、アンソニー・マッキー、アーロン・ポール、ケイト・ウィンスレット、ウディー・ハレルソン、および未来のワンダーウーマン、ガル・ガドットらが名を連ねる。
私は公開前に、ジョン・ヒルコート監督をインタビューし、この映画、および業界全体の方向性について話を聞いた。ヒルコートの最近の活動は興味深いものであり、小さなインディーでも大ヒット作でもない映画を監督している ― 例えば、The Road[ザ・ロード]は、ベストセラー小説を原作とした世界滅亡後のドラマで、予算は2500万ドルと言われ、ヴィゴ・モーテンセンが主役を演じた。
ヒルコートはTriple 9について、新鮮で現代的な都会スリラーを作ろうとする彼の試みであり、The French ConnectionやHeat等の名作に対する現代化とも言える、と語った。違いは、彼によると、「今やハードルがずっと高くなっていること」だ ― 彼は作品にリアリティーをもたらすために、警察のアドバイスを受け、本物のギャングを映像に登場させたりもした。
「今は警察は軍事作戦のようだし、ギャングやラテン系カルテルは街中で事実上テロリスト的戦法を使っている」とヒルコートは言った。「すべてがエスカレートしている」。
ヒルコートは、Triple 9では他の監督作品と同じく「非常に道徳性の曖昧な世界」を見せたかったことを付け加えた。ヒーローと悪役の間に線を引きにくい世界だ。しかし、成人向けに道徳性の複雑な映画を作ることが「益々難しくなっている」ことに彼は気付いた(ちなみにTriple 9が封切りされた週末の成績は残念な結果に終りそうだ)。
「実際、映画界はおじけずいていて、その手のファンをテレビに譲り渡し、代わりにフランチャイズとスペクタクルに集中している」とヒルコートは主張した ― だから彼自身がテレビ作品に目を向けているのも驚きではないが、まだ具体的なことを話すには早すぎる、と彼は言った。
オスカーの話題にも、遠回しではあったが触れた。ヒルコートはかつてThe Revenant[レヴェナント:蘇えりし者]を監督したがっていた。ディカプリオの初オスカーが噂され、作品賞の最有力候補と言われている開拓時代を描いた映画だ。私がヒルコートに、完成作品についてどう思ったかを尋ねたところ、間をあけた後にこう答えた、「私は少々[関係が]近すぎる。私なら少し違ったものにしていただろう」。
それでも彼は、通常なら一緒に語られることのない2つの作品 ― The RevenantとDeadpool[デッドプール]― の興業成功を喜んでいると言った。ヒルコートにとってそれは「膨大な数の観客を呼んだ2本の大人向けの映画」だ。
「私にとって、これは良い兆候だ」と彼は言った。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)