テスラの株主総会が6月に開かれるのを前に、株主のJing Zhao氏はCEOのElon Musk氏が2004年から務める取締役会議長の職を、社外取締役が担うよう提案書を提出した。
Zhao氏の主張はこうだ。議長とCEOを同じ人物が担うというのは、社の創成期であればリーダーシップとして有効だったかもしれない。しかし、競争は厳しく、変化の激しい時代にあって、議長とCEO職を兼ねるのでは、事業や首脳陣の監督をする(特に、起こりうる対立を最小限に抑える)のは難しくなるばかりだ−。
テスラの普通株を保有しているZhao氏はまた、SolarCityやSpaceXでのMusk氏の役職にも言及し、これら2社にMusk氏が関与することは、今後混乱を招くかもしれないとしている。しかし、実際、ここでいう混乱は起こることは考えにくい。
取締役会はこの提案に対しすでに反対の意を表明し、かつこの提案を採決にかけることを勧めている。取締役会が表明した声明では、テスラの成功はMusk氏の取締役会議長として、そして社の代表としての舵取りなしにはあり得なかった、としている。
また取締役会は「将来、会社が成長するため、それをなし得るために必要なことを実行するという観点においても、Musk氏が今後も議長を務めるのがベストだと信じている」と述べている。さらには「仮に、社外からではない取締役が議長を務めることに伴ってガバナンスで問題が生じたとしても、筆頭社外取締役が社を守ることになる。この役職は、社外取締役の意見を反映させ、また代表取締役と定期的に意思疎通を図るという幅広い権限を取締役会により付与されている。加えて、社内には現在、2017年7月に加わった2人を含め計7人の社外取締役がいる」としている。
この件に関しテスラにコメントを求めたところ、取締役会の声明が送られてきた。下記が全文だ。
Elon Musk氏は日々社のビジネスに全力を傾けているが、そうではない取締役が取締役会を率いていたら、社のこれまでの成功はなかった、と取締役会は確信している。また、将来、会社が成長するため、それをなし得るために必要なことを実行するという観点においても、マスク氏が今後も議長を務めるのがベストだと信じている。
仮に、社外からではない取締役が議長を務めることに伴ってガバナンスで問題が生じたとしても、筆頭社外取締役が社を守ることになる。この役職は、社外取締役の意見を反映させ、また代表取締役と定期的に意思疎通を図るという幅広い権限を取締役会により付与されている。加えて、社内には現在、2017年7月に加わった2人を含め計7人の社外取締役がいる。取締役会としては、筆頭社外取締役が幅広い権限を持ち、そして他に6人の社外取締役がいることから、取締役会の独立性は保証されていると考えている。このような取締役会の構造は他の大企業と同じものであり、2017年Spencer Stuart Board Indexによると、S&P500社の72%の取締役会議長は社外取締役ではない。
今回の提案者は、社が多大な競争やテクノロジーの急速な変化に直面するまでの創成期において、CEOが議長を兼ねていたのはリーダーシップをとるという点で効果的だったことを認識している。まさに今も、社はめまぐるしい変化や外部からのプレッシャーに素早く適応しなければならず、そのためには取締役会は社の運営で足並みをそろえる必要がある。社はこれまで大きな成果を上げてきたが、それでも長期的目標を達成するには、まだなすべきことは多く、我々はゴールに向けその途上にいる。そうした観点から、現時点でCEOと議長の役割を分けることは、社にとって、そして株主にとっても最善ではないと考えている。
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(翻訳:Mizoguchi)