ニオイを可視化するセンサーを開発し、関連サービスを提供するアロマビットは11月11日、Sony Innovation Fund by IGV(ソニーと大和キャピタル・ホールディングスが合弁で6月に立ち上げた新設ファンド)を引受先とした第三者割当増資の実施により、1億円を調達したことを明らかにした。
アロマビットは10月21日に日本たばこ産業およびEast Venturesから総額3.5億円の調達を発表しており、本ラウンドの調達金額は合計で4.5億円となる。また同社は3月にもソニーが運営するSony Innovation Fundから出資を受けたと発表している。
本誌でも何度か紹介してきたとおり、アロマビットが開発する小型ニオイイメージングセンサーは、さまざまなニオイの成分を複数の吸着膜で吸着し、重さの変化をセンサーで読み取ってパターンとして出力することで、ニオイのパターンを「可視化」するというものだ。従来のガスセンサーが特定の成分にだけ反応していたのと比べて、より生物の鼻に近い判断が可能となる。
同社は7月に、半導体素子を使った、より小型で高解像度のニオイセンサーの開発強化を発表している。感度が高い従来の水晶振動子型と並行して、高解像度・超小型のシリコンCMOS型センサーにより、スマホやIoT機器にも搭載可能なニオイセンサーの実用化を目指している。
アロマビット代表取締役の黒木俊一郎氏は、「顧客からのヒアリングによれば、次世代モビリティや自動運転、スマートファクトリー向けに、ニオイセンサーでなければ解決できない需要が明確になってきている」と述べている。世界的なハイテク機器メーカーやIT企業などから、ニオイセンサーのハードだけでなく、ニオイデータの活用についても協業案件が増えているとのことで、「今まさに、小型ニオイセンサー市場は立ち上がりのフェーズを迎えている」と黒木氏は見ている。
調達資金については前回発表と同じく、ニオイイメージングセンサーの開発強化・量産体制の整備とニオイデータベースによる新製品・サービスの開発強化、営業・マーケティング体制のグローバル展開へ投資していくということだ。
なお、アロマビットでは今回の発表に合わせて、ニオイの可視化・データ化テクノロジーがもたらす暮らしをイメージした動画を公開した。動画では、同社が実現しようとしている「ニオイ・カオリが可視化された世界」の一端を垣間見ることができる。