モバイル化が進むアフリカの医療業界―、遠隔医療相談サービスのKangpe

アフリカの医療業界と聞くと、国境なき医師団から派遣された医師が、人里離れた村で治療にあたっている様子を思い浮かべる人もいるかもしれないが、実際には、モバイルテクノロジーがアフリカ大陸全体の医療業界を急激に変化させている。Y Combinatorのプログラムに参加しているKangpe Healthは、モバイルデバイスを通じて医師と遠隔で連絡がとれるプラットフォームを開発し、変革が続くアフリカ市場に挑もうとしている。

ユーザーは、ベーシックな携帯電話やスマートフォン上のアプリを通じてKangpeのプラットフォームにアクセスし、健康に関する質問を送付することができる。簡単なものであれば、Kangpeの医療スタッフが10分以内に少額で質問に答え、もっと専門的なアドバイスが必要と判断された場合は、彼らがユーザーを専門医に紹介するようになっている。

もともとナイジェリアで医師として働いていたFemi Kutiは、Kangpeのアイディアを思いつき、友人のOpe OlumekenとMatthew Mayakiを誘って昨年同社を設立した。自分が担当した患者や友人から、常に何かしらの症状に関する質問のメッセージを受け取っていたKutiは、彼が無料で提供していたアドバイスを事業に転換できるのではと考えたのだ。

現在Kangpeはガーナとケニアでも営業しており、カバー地域の合計人口は2億4500万人に及ぶ。さらにKutiによれば、これまでのところ同社のプラットフォームには、6万人のユーザーが登録している。

もちろんKangpe以外にも、遠隔医療相談の事業を運営している企業は存在する。アメリカでは、Kangpeのように医師と遠隔でコンタクトできるプラットフォームのDoctor on Demandや、メッセージベースで医療関連の質問に答えるFrist Opinionといったサービスがある。さらにケニアのMedAfricaやウガンダのMatibabu、さらには現在アフリカの10カ国で営業しているHello Doctorなども、Kangpeと同じパイを狙っている。

一方で、新しいテクノロジーが急速に普及し、経済的に大きく成長している国々が存在するアフリカでは、まだまだ潜在的な顧客を獲得するチャンスは残されている。

さらにKutiは、アメリカの類似サービスをそのままアフリカに転用することはできないと指摘し、「Googleはアフリカ固有の病気について知りませんからね」と話す。

Kangpeは既に社会的にも注目されており、同社のプラットフォームはFacebookとのパートナシップを通じて、ナイジェリア向けFree Basicsプログラムではトップのサービスとして紹介されている。以下のFacebookが作ったビデオでは、Free Basics内でKangpeのサービスが宣伝されている様子を見ることができる。

しかし将来的には、”アフリカのOscar Health”を目指し、初期診断や医療保険、さらにはもっと専門的な医療サービスを提供できるようなプラットフォームへとKangpeを成長させていきたいとKutiは語る。

「私たちは、アフリカの人たちが納得できる価格で医療サービスを提供するため、日々努力を重ねています」と彼は付け加える。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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