リモート試験の監視システムには「さらなる透明性が必要」と米上院議員が指摘

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行のために遠隔試験を受けざるを得ない学生たちから、公正さに問題があるという主張が続く中、試験監督システムを手がける大手3社は、透明性の向上が求められている。

試験監督システムは、学生たちが自宅からリモートで試験を受けることを可能にする。学生たちは大学が選択した試験監督ソフトウェアをインストールするように指示される。これによってシステムはウェブカメラやマイクを含む学生のコンピュータに深くアクセスし、不正行為の可能性を発見するために学生の行動を監視することができる。

しかし、試験監視システムを提供するProctorio(プロクトリオ)、ExamSoft(エグザムソフト)、ProctorU(プロクターユー)のような企業は、その試験監視技術が公正さに欠けるなどの問題に満ちているという学生からの批判の嵐を受けている。

苦情の中でも特に多いのは、試験監視ソフトウェアが、肌の色が濃い人や宗教的なかぶり物をしている人の顔を認識できないこと、インターネットの通信速度が受験技術の基準を満たすことができない低所得地域の学生や障害を持つ学生を差別しているといったことだ。

米国民主党の上院議員数名は、2020年12月にProctorio、ExamSoft、ProctorUの3社に書簡を送り、各社に技術やポリシーをもっと詳しく説明するように求めた。TechCrunchが確認したその回答によると、各社は差別の主張を否定し、生徒がカンニングをしたかどうかを判断するのは教師であって、これらの企業自身ではないと述べている。

しかし、議員たちは企業の透明性が十分ではないと考えており、教師たちが学生の行動について、技術が伝える以上のことに基づいて判断しているのではないかと危惧している。

「Proctorio、ExamSoft、ProctorUは不公正の問題はないと主張していますが、学生からの憂慮すべき報告は違うことを物語っています」と、民主党のRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンソール)上院議員(コネチカット州選出)は、TechCrunchに語った。「企業からのこれらの回答は、彼らがシステムをどのように運用しているのか、詳しく知るための最初のステップに過ぎません。しかし、学生の不正行為を告発する力を持つそのシステムには、はるかに多くの透明性が必要とされています。私は学生たちが確実に守られるように、必要なあらゆる修正に取り組むつもりです」。

全米の学生たちはすでに、プライバシーとセキュリティのリスクを理由に、学校に対して試験監督ソフトウェアの使用をやめるよう呼びかけている

我々は各社にいくつかの質問を送った。ProctorUの最高経営責任者Scott McFarland(スコット・マクファーランド)氏は、週末の休日を理由にコメントを拒否した。ProctorioとExamSoftは回答しなかった。

カテゴリー:EdTech
タグ:差別プライバシー

画像クレジット:Alain Jocard / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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TechCrunch Japan

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