暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年11月22日~11月28日の情報から。
三井住友海上火災保険が100%出資する三井住友海上火災保険(中国)有限公司(三井住友海上中国)は11月22日、上海億通国際および上海保険取引所と提携し、ブロックチェーン技術を活用したスマート国際貿易保険プラットフォームを開発したこと発表した。
提携先の上海億通国際は、中国の税関システムである国際貿易単一窓口(国際貿易に係るオンラインワンストップサービス)を運営しており、上海保険取引所は中国保険業界のITインフラの整備・開発を行っている。
スマート国際貿易保険プラットフォームは、上海国際貿易単一窓口が持つ税関手続きデータを、ブロックチェーンを活用して取得し、保険ユーザーが保険証券や保険料請求書などを自動発行できる保険プラットフォーム。税関データを利用し、正確かつ迅速な保険加入手続きを実現する。それにより、保険の加入漏れの防止、未加入貿易企業への保険加入の促進していく。中国保険業界共通のプラットフォームの構築による保険利用者の利便性向上を図るという。
今回は、貿易における輸送中の損害を補償する外航貨物保険のみを対象とするが、今後は生産物賠償責任保険、関税ボンド、輸出取引信用保険等、貿易に関わる他の保険にも対象を拡大する予定という。
プラットフォームの開発は、億通国際、上海保険取引所および三井住友海上中国の三社で行い、運営は上海保険取引所が行う。
現状の貿易プロセスは、荷主、物流業者、銀行、税関、保険会社など多くの事業者が参加する中で、売買契約書、信用状、船荷証券、保険証券など類似した膨大な量の書類のやり取りが行われている。各業務は個々の事業者、異なる国にまたがる状況下で事務作業が発生していることから、多量の人足と時間を要するといった課題を抱えている。それらの業務を、ブロックチェーンを活用し効率化することで、多大なコスト削減と時間の短縮が期待されている。
上海市は「上海五大センター設立」(国際経済、貿易、金融、水運、世界イノベーション)の国家戦略のもと、世界の経済、貿易、金融の中心都市となるべく各施策を推進している。三井住友海上中国は、貿易が盛んな上海において市政府関連機関と連携しながら、貿易プロセスにおける課題解決に挑戦し、顧客の利便性の向上と中国保険業界の発展に貢献していくとした。
また親会社の三井住友海上は11月18日、今回のプラットフォームの運営や今後の新たなシステム開発事業を積極的に行うことを目的に、中国上海市にてITシステム開発やその他のサービスを行う100%出資のMSIG管理(上海)有限公司を設立した。今後は、他業界ともブロックチェーン技術で連携を行い、さらなる利便性の向上を目指していく。
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