中国が独禁法違反でアリババとテンセント子会社に罰金処分

中国政府は、国内で最も影響力のあるインターネット企業のパワーを抑えにかかっている。市場監督管理総局は米国時間12月14日、過去の買収案件で当局に申請して承認を得なかったとしてAlibaba(アリババ)とTencent(テンセント)のスピンオフのeブック(未訳記事)会社China Literature(チャイナ・リタラチャー)に罰金を科すと発表した。

Alibabaの中国大手モール運営会社Intownへの株式投資(未訳記事)、China LiteratureのフィルムスタジオNew Classics Media買収(未訳記事)が対象だ。公告によると、Alibaba、China Literatureともに50万元(約800万円)の罰金が科される。何十億ドル(何千億円)という買収規模に比べて罰金の額は取るに足りないものだが、今回の罰金は業界にとって警告となるはずだ、と当局の広報担当は記者会見で述べた。

Alibabaは近年、積極的な買収を通じてオフライン小売に事業を拡大してきた。デジタルエンターテイメント帝国を築いたTencentも同様に事業を拡大するために外部パートナーに投資してきた。

AlibabaとChina Literatureは当局に買収を申請しなかった。しかし買収はいずれも「マーケットの競争を阻害するもの」とみなされなかった。そのため、市場管理当局は中国の独禁法に則って買収を破棄するのではなく罰金を科した、と述べた。

China Literatureはコンプライアンスと申請の要件に取り組むために当局の命令に厳密に従っていると話した。Alibabaにもコメントを求めたが連絡がなかった。

一方、Tencentが出資しているゲームストリーミング大手HuyaとDouyuの合併もまた当局の調査を受けている。

AlibabaとChina Literatureは、市場集中違反で「持分変動事業体(VIE)である企業に中国が罰金を科した初のケースとなる。VIEの企業構造は、外資企業がコントロールしつつ国内企業として運営することができるため、中国のインターネット企業では人気だ。しかしこれは規制の抜け穴となるとして議論を呼んでいる。

2019年1月にパブリックコメントの募集を開始した中国の独禁法は現在、見直しが進んでいる、と当局は記者会見で述べた。先月、中国政府はインターネット企業の独占的な行動に照準を合わせた規制の草案を公開した(未訳記事)が、業界専門家はこの規制は複雑なものになると指摘した。

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画像クレジット:Chesnot / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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