中国eコマースのPinduoduoが利益のすべてを農業に投資する理由

ここ数年、Pinduoduo(拼多多、ピンデュオデュオ)は、Alibaba(阿里巴巴、アリババ)の最強挑戦者として広く知られてきた。Alibabaの小売プラットフォームにおける年間アクティブユーザー数が、9月までの12カ月間で8億6300万人だったと報告されている一方、Pinduoduoは9月までの四半期の月間平均アクティブユーザー数が7億4000万人を超えたと発表している。

新たな成長エンジンを求めて、Pinduoduoはライバル企業とは異なる道を歩もうとしている。電子商取引の巨人である両社はともに成長が頭打ちになり始めているが、Alibabaがクラウドコンピューティングに力を入れているのに対し、Pinduoduoが資金を投入しているのは農業だ。

Pinduoduoは8月に「農業分野と農村地域の重要なニーズに直面し、対処する」ことを目的とする100億元(約1770億円)規模の農業プログラムを発表した。この包括的な取り組みには、農業関連のスタートアップ企業に対する出資や、基礎研究や人材育成への助成などが含まれている。

このプログラムは利益を目的としたものではなく、この第2四半期に得られたすべての利益と「今後の四半期に得られる可能性のある利益は、この取り組みに充てられる」と、同社は約束している。

Pinduoduoの農業に対する投資は、農村部の貧困を緩和するための努力であり、中国政府が最近呼びかけている「共同繁栄」(物心両面の豊かさをみんなで共有すること)への回答であるという見方もある。しかし、同社は当初から農業がその中核事業であることを繰り返し主張してきた。

2015年に設立されたPinduoduoは、果物のオンライン販売からスタートし、徐々に商品カテゴリーを広げていった。多くの生産者にとってeコマースは有益だった。中国の農業は、数百万もの小規模な家族経営の農場が中心で、生産した農産物を全国に販売するためには、何重もの流通業者に頼らければならなかった。そのため、農家はわずかな利益しか得られないことも多かった。

農産物の販売業者を誘致するため、Pinduoduoは手数料を免除しており、先週の決算説明会では「将来の四半期」もこの方針を維持する予定だと述べた。農家が登録すると、Pinduoduoは彼らをデジタルストアの運営やマーケティングに長けた人材に育成する。注文が入れば、中国の電子商取引ブームの中で形成された成熟した配送ネットワークを活用し、サードパーティの物流サービスが農産物を消費者に届ける。

農村の農産物を都市部の家庭に届けようとしているのは、Pinduoduoだけではない。AlibabaのTaobao(タオバオ)は、以前から「農業関連の電子商取引」を重要な取り組みとしており、Kuaishou(クアイショウ、快手)のような動画アプリは、ライブストリーミングを通じて農家の販売を支援している。

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しかし、Pinduoduoは販売だけでなく、農家の生産上の問題に関しても解決に役立ちたいと考えている。

2021年3月にColin Huang(コリン・ホアン)氏の後任としてCEOに就任したChen Lei(チェン・レイ)氏は「エンジニアとしての訓練を受けた私と私のチームは、農業のサプライチェーン全体に導入できる技術ソリューションを見つけることに専念してきました」と、決算説明会で語った

「当社の農業技術への取り組みは、需要と供給をマッチングさせることに留まらず、生産性、栄養組成、環境持続性を向上させるためのアップストリームな技術ソリューションを見出すことにまでおよびます。アグリテックの応用を強化することで、農業が技術に精通した若い世代にとって魅力的なものになることを、私たちは願っています」と、チェン氏は続けた。

販売や栽培のみならず、Pinduoduoは研究機関と協力して、肉や農作物などの生産物に業界標準を導入することにも取り組んでいると、同社の財務担当バイスプレジデントであるJing Ma(ジン・マ)氏は決算説明会で語った。

NASDAQ上場企業であるPinduoduoは、当然ながら投資家に恩義を受けている。第3四半期には、マーケティング費用の削減などにより、2四半期連続で営業利益が黒字となった。その一方で、同社は研究開発費に重点を移しており、これが第3四半期の営業費用の約19%を占めている。

Pinduoduoの農業投資が目に見える形で成果を上げるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。例えば、Pinduoduoで販売している1600万人の農家にとって、同社の技術はどのように収穫量の向上に貢献するというのだろうか?

Pinduoduoはいくつか初期の成果を公表している。例えば、同社は2020年、世界中のスタートアップ企業に、最も甘く最も環境に優しいイチゴの栽培を呼びかけ、優勝したチームの精密農業ソリューションは、すでにいくつかの農場に導入されているという。

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画像クレジット:Pinduoduo / A strawberry grower on Pinduoduo

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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